研究科長挨拶

研究科長挨拶

「けったいな面々」への誘い

京都大学文学部のウェブサイトにようこそ!

京大文学部は、「人間とは何か」「よりよい社会とは何か」「本当に目指すべき価値とは何か」といった一つの正解がない問いにじっくり向き合い、考え抜き、言葉を紡ぎ出す「場」であり共同体です。

京大文学部は、人類がこれまで生み出してきた、そして現在も生み出しつつある、さまざまな文字資料、絵画・映像資料、生活・文化遺産を、文献読解、発掘調査、フィールドワーク、インタビュー、実験、データ解析などの多角的な手法を駆使して読み解く営み、すなわち人文・社会学、人間・社会科学といった学知の舞台でもあります。

京大文学部は、「京都学派」と呼ばれる、多彩な学知の運動体の発源地でもありました。例えば哲学の「京都学派」は非西洋圏の哲学運動の一つのパラダイムとして、現在、世界各地で盛んに研究されています。

これら「京都学派」の一つの特徴は、目先の流行を追うのではなく、時空を超えた古典との対話を重視し、西洋のみならず、アジアなど多様な文化圏・文明圏の知的伝統に目を向ける、広くて深い視野にあります。

京大文学部には、現在でも、あまたの研究者が集い、新たな未来の「京都学派」の息吹がいたるところに芽生えています。

京大文学部の原動力は、何よりも知の担い手である人であり、それらの人々の間の、時には「ちょっと濃すぎる⋯⋯」と天を仰ぎたくなるような、濃密な交流の時空間です。

脇目もふらずにわが道をゆく人。普段はグズグズ系なのに、ツボにはまった途端とんでもない膂力を発揮し出す人。京大文学部には、そのような「けったいな面々」がわらわらと集っていたのです。

僕自身、綺羅星のごとき「けったいな面々」と京大文学部で出逢いました。そして、ここでは、いまだに、そういった人たちが大手を振って闊歩していたりします。(あっ、僕のことではありません。)

「京都」は世界の人文社会系の研究者や学生の憧れの「聖地」でもあります。京大文学部には、世界から、われわれに負けず劣らず「けったいな面々」が、引きも切らずに訪れ、濃密な時空間をさらに濃厚にしてくださっています。

いま社会は、世界は、「価値」を必要としています。心に響き、人を動かす「言葉」を必要としているのです。

京大文学部は、このような価値や言葉を切実に希求されている国内外の産官学民の方々にも開かれた「場」です。

新たな時代の価値、来るべき世代のための言葉を紡ぎ出す京大文学部の「けったいな面々」に、あなたも、ぜひ、お加わりください!

2024年4月1日
文学研究科長・文学部長 出口康夫