研究代表者 藤 井 讓 治
このたび京都大学大学院文学研究科が21世紀COEプログラムに申請した「グローバル時代の多元的人文学の拠点形成」というプロジェクトが採用され、そのもとに複数の研究会が編成されることになりました。その一つとして、東洋史学の杉山正明さん、人文地理学の金田章裕さんと私の3人が中心となって、「15・16・17世紀成立の絵図・地図と世界観」というテーマの研究会を計画しました。文学研究科だけでなく、人文科学研究所、総合博物館の先生方の参加をえ、さらにこうした問題に関心があり協力をいただける学外あるいは海外の研究者の参加をお願いして、研究会を運営していきたいと考えています。多くの方々のさまざまな形でのご参加、ご協力をお願いします。
研究会の目指すところは、この研究会の計画書に記した以下のようなところです。
15世紀から17世紀にかけての時代は、世界史的にみてグローバルサイズの絵図・地図が多く作成された時代である。アジアでは、世界帝国を形成したモンゴル時代に伝統的な中国中心の東アジア図ばかりでなく世界図がつくられた後を受け、それらにもとづいた地図が明代中国や朝鮮においても作成された。一方ヨーロッパでは、世界進出による地理知識の拡大にともない、さまざまな世界図が作られるようになった。ヨーロッパ発の世界図はアジアの地図にも広く影響を与え、例えば日本では世界図を屏風仕立てにすることが流行した。また、中国・朝鮮・日本では地域ごとの地図作製も盛んとなり、江戸幕府では日本六十余州の絵図が一国単位でつくられた。
従来の研究では、これらの絵図・地図をそれぞれの分野で個別に取り上げ検討してきた。しかし、巨視的にみると、この時期は世界的な地図作製期であったと想定され、また相互に影響をみることができる。それぞれを専門とする研究者がそれぞれの分野での知識を相互に提供しあい、またそれらの接点を領域横断的に相互に分析・検討することによって、より豊かな視角と総合的成果をともなって明らかになるはずである。この時代の各地域の人々がもった世界観を、従来の評価とは異なったかたちで、捉えられるはずである。
計画は5年計画です。本年度はあまり時間的余裕がありませんが、以下のような手順で研究会を進めようと考えております。
平成15年度は、研究会を継続するほか、初年度の成果をもあわせ、「15〜17世紀の世界図目録」(暫定版)を刊行したいと思っています。
この研究会に参加していただく学内の研究者は、以下の通りです。この研究会に参加いただこうと考えている学外・海外の研究者の方々については、すでに参加を承諾下さっている方々もありますが、なお依頼中ですので、次号のニューズレターでお知らせします。
最初に研究代表者の藤井氏より挨拶があり、研究の目的と計画、研究協力者や研究経費等の説明があった後、担当者間で自己紹介がなされ、本研究への抱負や問題意識等が述べられた。つぎにニューズレターの発行が話し合われ、第二回及び第三回研究会の日程も決定された。
初会合ということで、担当者どうしの顔合わせや運営に関わる話し合いが中心となったが、そのなかから、共通認識を得るための場を作る必要性や海外調査の必要性等、今後の活動にとり有益と思われる内容も議論された。