ニューズレター第2号
年も改まり、だんだん春が近づいてきました。新年初のニューズレター第2号をお届けします。ホームページ版では、これまでの活動状況の報告を内容としております。皆様、本年もよろしくご愛顧の程をお願い致します。
■ 第2回研究会彙報
第2回研究会は、2002年12月18日(水曜)の午後6時〜午後8時に、京都大学文学部陳列館会議室で行われました。まず最初に、京都大学文学部地理学研究室架蔵の「混一疆理歴代国都之図」写本や、杉山正明氏所蔵の「混一疆理歴代国都之図」「カタロニア地図」「海東諸国紀」等の写真の見学が行われ、杉山氏や井上充幸氏から地図についての解説を頂きました。その後、杉山氏より「混一疆理歴代国都之図とその前後―研究の現状と今後の展望―」というタイトルでご報告を頂きました。以下はご報告の要旨をまとめたものです。
- 「混一疆理歴代国都之図」は1402年に朝鮮半島で作成された。本地図はユーラシアとアフリカの全図で、そのもととなった「声教広被図」と「混一疆理図」は大元ウルス治下の中国において作成された。
- 「声教広被図」と「混一疆理図」は民間にある程度まで流布していた地図であり、それは活発な出版状況の副産物であった。
- 「混一疆理歴代国都之図」にはアフリカが描かれていることから、15世紀初頭の東アジアでは、アフリカ大陸の存在が知られていた。
- 「混一疆理歴代国都之図」は宋代地図の伝統を踏まえたものである。
- 「混一疆理歴代国都之図」は東アジアにおいてかなり普及した地図であった。
- 「混一疆理歴代国都之図」については、地名の解読や地形の描写等から、まだまだ情報が得られる可能性がある。
初の研究報告でしたが、23名の参加者を得て、大盛況のうちに終えました。懇親会も行われ、異なる分野どうしで交流を深めました。
■ 資料調査
2002年12月4日(金曜)から6日(日曜)にかけて、史跡足利学校(栃木県足利市)に所蔵されている文書・典籍、及び山浦拓氏所蔵の地図拓本の調査を行いました。参加者は、杉山正明氏、野田泰三氏、宮紀子氏、古松崇志氏、井上充幸氏の五名です。
■ 研究分担者の研究テーマ及び研究協力者についてのお知らせ
各研究分担者の研究テーマや研究協力者の方々についてお知らせします。まずは各研究分担者の研究テーマです。
- 藤井讓治(総括 日本における絵図作成と東アジア世界)
- 金田章裕(世界図とアジア図)
- 杉山正明(アジア発の世界図)
- 久保一之(イスラーム地理学とトルコ民族)
- 中砂明徳(16・17世紀のヨーロッパのアジア認識)
- 小山 哲(16・17世紀の東ヨーロッパにおける空間認識)
- 近藤真美(イスラーム地理学と世界図)
- 野田泰三(日本における15・16世紀の世界認識)
- 岩崎奈緒子(17・18世紀における北方世界)
- 山村亜希(都市図の変遷)
- 宮 紀子(中韓日を越えた世界認識の広がり)
- 古松崇志(プレモンゴル時代のアジア図)
- 井上充幸(中国朝鮮を中心とした東アジア図)
- 承 志(満洲語地図を中心とする17・18世紀のアジア東方における世界像)
- 井黒 忍(北アジア諸民族における世界像)
- 尾下成敏(日本における日本図・世界図)
つぎに研究協力者の方々についてお知らせします。
- 荒野泰典(立教大学)
- 有坂道子(京都橘女子大学)
- 井上 聡(東京大学)
- 應地利明(滋賀県立大学)
- 岡本隆司(京都府立大学)
- 木田知生(龍谷大学)
- 木下鉄矢(岡山大学)
- 金 浩東(ソウル大学)
- 杉本史子(東京大学)
- 礪波 護(大谷大学)
- 野島正宏(NHKエンタープライズ21)
- 村井章介(東京大学)
- 楊 普景(誠信女子大学)
- 李 啓煌(仁荷大学)
- 李 孝聡(北京大学)
- デニス ラムリー(ウエスタンオーストラリア大学)
- ドナルド トビ(イリノイ大学)
- ヴァレリー ハンセン(イェール大学)
- ポール スミス(ハーバーフォート大学)
- マイケル ジャメンツ(立命館大学)
- W J ボート(ライデン大学)
- (順不同・敬称略)
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