研究会趣旨

 15世紀から17世紀にかけての時代は、世界史的にみてグローバルサイズの絵図・地図が多く作成された時代である。アジアでは、世界帝国を形成したモンゴル時代に伝統的な中国中心の東アジア図ばかりでなく世界図がつくられた後を受け、それらにもとづいた地図が明代中国や朝鮮においても作成された。一方ヨーロッパでは、世界進出による地理知識の拡大にともない、さまざまな世界図が作られるようになった。ヨーロッパ発の世界図はアジアの地図にも広く影響を与え、例えば日本では世界図を屏風仕立てにすることが流行した。また、中国・朝鮮・日本では地域ごとの地図作製も盛んとなり、江戸幕府では日本六十余州の絵図が一国単位でつくられた。

 従来の研究では、これらの絵図・地図をそれぞれの分野で個別に取り上げ検討してきた。しかし、巨視的にみると、この時期は世界的な地図作製期であったと想定され、また相互に影響をみることができる。それぞれを専門とする研究者がそれぞれの分野での知識を相互に提供しあい、またそれらの接点を領域横断的に相互に分析・検討することによって、より豊かな視角と総合的成果をともなって明らかになるはずである。この時代の各地域の人々がもった世界観を、従来の評価とは異なったかたちで、捉えられるはずである。


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