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文明十四年三月二十六日漢和聯句(「花濃飜畫錦」)

底本 国立国会図書館蔵連歌合集二十七

翻刻

 
文明十四年三月廿六日  関白點
 漢和聯句
1 花濃飜畫錦勧修寺大納言
2 日かけもなかきあを柳の絲海住山大納言
3 春雨ははれても空やかすむらん
4 わけいる山に夕かせそ吹勧修寺中納言
5 嶮路驢猶澁宗山
6 幽栖鶴日随姉小路宰相
7 松高撑老月 実隆
8 みきはによする秋のさゝ漪勧修寺大納言
9 舩とむるこの湊江は霧こめて源冨仲
10 郷信耐相思勧修寺中納言
11 曲几繙鴻寶元修
12 新圖抹燕脂実隆
13 雲横山掃卓宗山
14 湖浄水成施元修
15 おも影の立そふ波に袖ぬれて勧修寺大納言
16 春の名こりとにほふ藤か枝
17 一しほにかすむを松の色なれや海住山大納言
18 みさほにのほる日こそ遅けれ実隆
19 軾亦労残夢元修
20 徐元洗悪詩姉小路宰相
21 瀧の音きくに心は猶すみて勧修寺中納言
22 かくれ家とてややまは歆
23 一夜たにしたひもとめぬ秋の月実隆
24 旻天漏易移元修
25 ねになくはたれをまつてふ虫ならん姉小路宰相
26 ふりぬる庭はあるゝ籬そ
27 をく霜にのこれる菊の冬かけて海住山大納言
28 かれし千種のさむきみち芝実隆
29 山与吟肩聳勧修寺中納言
30雨兼愁鬂垂
31 行つるゝ友もまれなる旅の空勧修寺大納言
32 夢さへうとしさていかにせん海住山大納言
33 待わふる夜半も程なく明そめて源冨仲
34 依君恨不涯宗山
35 孰楼酸耳笛元修
36 此座費心棊海住山大納言
37 三十四十とうつり行世の思はれて
38 筆にものこるかゝみをそ知姉小路宰相
39 第入芙蓉汚宗山
40 笠裁楸葉宜元修
41 わかうへに露も置そふ秋のきて姉小路宰相
42 閨のいたまの月見はや唯
43 鶏燈窓欲曙源冨仲
44 鳳暦國知時宗山
45 打乱倚坡竹元修
46 相傾向日葵勧修寺大納言
47 鈎簾山似笑宗山
48 市人とよむさとそ卑き
49 身に かへてたれかはおしむ花の陰実隆
50 なれこし春のくれは悲な姉小路宰相
51 夢魂空託蝶勧修寺中納言
52 畋獵昔非羆元修
53 あひ見つる心のうらは嬉しくて姉小路宰相
54 ちきること葉のすゑは遺れし海住山大納言
55 共約松連理宗山
56 彼榮黍半炊勧修寺中納言
57 鳥呼鏖午枕海住山大納言
58 牲備列宗彛勧修寺大納言
59 雪痩蘋漂渚元修
60 霜厳楓映墀
61 わきてしも雲井の月は色そひて宗山
62 みやまの秋をなかむるや誰侍従中納言
63 捨てたに春に心はひく物を
64 都をやとにしめよ鸝姉小路宰相
65 除松花一様
66 隔竹樹参差海住山大納言
67 うき世そといとふはおなし思ひにて勧修寺大納言
68 周皆慕伯夷姉小路宰相
69 送行強扣馬実隆
70 勤課屢焼蜊元修
71 湖落音猶断宗山
72 日斜戈可麾勧修寺大納言
73 人はいま御階にちかき衛にて海住山大納言
74 花たちはなのかほるさ夜颸勧修寺中納言
75 なきわたれまつにつれなき郭公宗山
76 月はみえけりくるゝ山眉実隆
77 むら霧に峯のかけはし末たえて
78 嘆秋客正疲勧修寺中納言
79 飛仙常縹緲勧修寺大納言
80 さは辺の鶴やそらを窺
81 をよひなき恋にもねをは鳴なるに実隆
82 心にくたすうらみ弥姉小路宰相
83 もしほたれ釣するあまのぬれ衣
84 ころもへにけりひなの衰実隆
85 帰思放鵬切源冨仲
86 勇威搏虎奇姉小路宰相
87 某村風竹嘯
88 何處野梅披宗山
89 雪残る山には春の色もなし実隆
90 かすまぬかたに雪そさえ之勧修寺大納言
91 講罷僧鐘暮宗山
92 興長樵曲滋姉小路宰相
93 渓毛添水緑
94 巷口雜泥犂宗山
95 折屐元哦句勧修寺中納言
96 賜綈曽辱笞勧修寺大納言
97 身にあたる風やさむさをつけぬらん姉小路宰相
98 かへさわするゝ花も萎めり海住山大納言
99 春従鴬語少源冨仲
100 あひやとりしてかはつなく池実隆
     僻墨廿五句
御製 十六句 九句円
 宗山 十三 三
 勧修寺大納言 十一 一
 海住山大納言 十 一
 勧修寺中納言 九 三
 姉小路宰相 一三 二
 源冨仲 五
 元修 十 三
 実隆 十三 三長

右以逍遙院内府手跡之一巻写之出本者式部大輔所持也      
  天和元年孟冬念九
京都大学大学院文学研究科21世紀COEプログラム
「極東地域における文化交流」
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