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「現代科学・技術・芸術と多元性の問題」

■研究会の趣旨■

現代文化の特徴の一つとして、グローバルな規模での一元化の動きとこれに対抗する多元化の運動との緊張、軋轢ということがあげられるであろう。このことは、科学、技術、芸術など、現代の広い領域にわたる文化全体に見られる特徴である。本研究会では、このような緊張にたいする意識の重要性を認めたうえで、一般に科学、技術、芸術において一元的傾向とみなされているものの具体的なありかたを検討し、われわれの通念となっている一元性への信仰が一種の「神話」と化していることを、広範な具体例に照らして明らかにしようとするものである。すなわち、現代科学における「方法」としての一元性、技術における「標準」としての一元性、あるいは芸術における「美の規範」という一元性が、いずれもある種のバイアスのもとでのみ認められるものであり、文化の実態の理解としては偏ったものであることを明らかにしようとするのである。

本研究会では、以上のような実証的研究と平行して、「多元的な真理や価値」という概念の分析的な研究もおこなう。世界のありかたや価値の意味について多元的な観点を採用することは、哲学的にはいかなる存在論、認識論を前提にすることなのか。この問題を追求することによって、一元性神話の解体に向けた研究が、同時に多元的世界像構築の基礎づけともなることを目指そうとするのである。