21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」
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言語を伝達の媒体とするとき、「異」を自らのものとするために、必ず「翻訳」という作業が現れる。このようにして生み出される産物は、翻訳に用いられた原典がもっていた地位を超え、移植された文化圏において大きな影響を与えるに至ることすらありうる。それはなぜか。どのような文脈におかれたとき、「翻訳」は新しい意義を賦与されるのか。さらに、「翻訳」に用いられた「原典」資料はどのような姿をとっていたのか。文化圏間で文献の移植が起きるとき、文字はどのように処理されるのか。本研究会では、以上のような問題意識に基づいて、異なる文化圏間で言語移植された文献としての「翻訳」を広い視野と多様な角度から究明することを主たる研究目的とする。さらに、「原典」のさまざまなヴァージョンとしての草稿や、写本などをめぐる問題も取り上げる他、高度情報化時代において急速に言語情報のデジタル化が進行しつつある現在、原資料そのものをどう扱うかという技術の問題や、新しい文献の姿としての電子テキストをめぐる問題も研究の射程範囲としたい。
具体的な研究活動としては、以上のような包括的なテーマを討議する全体会議を設ける一方で、そうした諸問題が交差する翻訳文献をテキストとして選び、集中的に研究・討議する研究班を会の中に組織する。現在すでに活動を開始している第一研究班が選んだテキストは、Alexandr Pushkin. Eugene Onegin. Translated from Russian with a Commentary, by Vladimir Nabokov. Princeton University Press. 1975. である。
*本研究会は2007年3月で活動を終了しました。第一研究班の活動の成果は報告書『「ナボコフ訳注『エヴゲーニイ・オネーギン』」注解』にまとめられています。
「翻訳」の諸相trans-hmn@bun.kyoto-u.ac.jp