2024年9月26日(木)に、人文知連携拠点の主催により、ゲームエンジン「Unity」を用いた3Dゲームの開発方法を学ぶワークショップを開催しました。人文知連携拠点では、人文学・社会科学分野の連携のきっかけのひとつとして分野横断的にデジタル的手法を学ぶ機会を提供してきました。その取り組みの一つとして、初学者でもデジタルツールを実践できるようになることを目的に、「Kyoto University Digitization Hub of the Humanities, Social and Cognitive Sciences (KUDH) Basics」と題したワークショップシリーズを2021年より始動しました。
今回のワークショップでは、無料で利用可能ゲームエンジン「Unity」を用いたゲームのVR化する方法を、人文知連携拠点の藤本花音助教に解説していただきました。授業動画は人文知連携拠点の Webサイト(https://www.ceschi.bun.kyoto-u.ac.jp/kyoten/)に公開されています。ワークショップは午前(10:30-12:00)・午後(13:15-14:45 & 15:00-16:30)の3部に分かれて行われました。オンサイトでは文学部校舎3階情報端末室で実施し、オンライン参加者向けにZoomミーティングにて中継を行いました。今回のワークショップでは演習が大半を占めることを鑑みて、拠点の教員2名もサブ講師に加わり、万全のフォローアップ体制でワークショップに臨みました。
第1部は導入編として、受講者各自のPCにUnityをインストールする作業を行いました。インストール作業では思いの外トラブルが少なく、どの受講者もスムーズにUnityを導入することができたようでした。第2部ではUnityの基本的な操作方法をレクチャーし、3D空間にゲームオブジェクトを設置したり、Unityの追加機能を導入するなどの演習を行いました。C#言語によるUnityのプログラミングについても簡単な解説がありました。第3部では、急速に社会に普及しつつあるバーチャルリアリティ技術(VR)の現状と学術研究への活用可能性について講義を行った後、Unityで作成したコンテンツをVR化する方法を実演しました。VRの実演では、まずVRゴーグルの「Meta Quest 2」を用いて、第2部で作成したコンテンツをVRとして視聴しました。次に、視線トラッキング機能付VRゴーグルである「 FOVE 0」を用いて、視線によってVR空間を操作するデモンストレーションを行いました。ワークショップの最後には、現地参加者を対象に、実際にVRゴーグルを装着してVR体験をしてもらいました。ワークショップ全体を通して、ステップバイステップでUnityの操作方法を説明することで、初心者でも教材を参照すれば確実にUnityを導入できるように授業構成が工夫されていました。
今回のワークショップには、学内外から学部生や大学院生、大学教員、研究員、会社員など約 45 名が参加しました。事前アンケートによれば、受講者のうちUnityの使用経験があったのは3割程度に留まった一方で、プログラミングの経験は9割の受講者が有していました。受講条件としてPCの性能を指定したことで、PCに習熟した受講者が多くなったことが考えられます。受講後アンケートによれば、内容については充実度・理解度共に高評価でしたが、個別のコメントを見ると、授業進行がやや早いという意見が複数寄せられていました。教材については好評で、授業時間の不足を教材で補う形になったようです。今後のワークショップでは、こまめに進捗状況を確認するなどによって受講者の理解度を高めたいと思います。
今回のワークショップが、参加者にとって、研究活動におけるVR化する技術向上の一助になれば幸いです。人文知連携拠点では、今後もデジタルツールを用いた研究手法・データ管理について入門的なワークショップを開催していきたいと考えています。なお、本ワークショップは若手重点戦略に関連する活動です。