「人文知連携共同研究会」について
京都大学大学院文学研究科は、2019年4月に文化財総合研究センターと研究科附属ユーラシア文化研究センターを再編・統合し「文学研究科附属文化遺産学・人文知連携センター」(CESCHI/セッシ)を設立しました。新センターは文化遺産学研究施設と人文知連携拠点から構成され、文学研究科がこれまで培ってきた豊穣な人文学諸分野を連携・総合する研究を推進するとともに、その成果を組織的に発信するための取り組みを推進することを目的としています。特に人文知連携拠点においては、文学研究科の専修・専攻の枠組みを超えて、異質な知や価値の共存に資する学術的知見を共同して探求し、新たな人文知の創成に貢献することが求められています。本拠点のこのような目的を実現するために、本研究科では、複数の専修・専攻に属する文学研究科教員をメンバーとする共同研究プロジェクトを進めております。
継続中の研究課題
- 研究課題名
東アジア「間文化」研究
- 研究課題名(英語)
East Asian Intercultural Studies
- 研究会幹事
池田恭哉(中国哲学史専修)
成田健太郎(中国語学中国文学専修)
筒井忠仁(美学美術史学専修)
田中和子
- 連携専修
地理学、東洋史学、哲学、中国語学中国文学、中国哲学史、社会学
- 研究の目的
京都大学所蔵の東アジアの文物を対象として、諸地域の風土の特質と文化の類似性や相違について詳細な比較分析を行い、多様な文化の伝播・交流とその意味を明らかにすることを本研究会の目的とする。2年間の研究期間では、主として、異なる文化を持つ人々と土地をどのように描いたのかという問題に焦点をあて、絵および地図という画像と文字を含む資料をとりあげる。情報の内容だけでなく、それらの表現方法をも含めて、異なる文化間の結びつきを解明する。さらに、この研究会を文学研究科人文知連携拠点の活動の一環として設立することにより、東アジア研究をテーマに緊密な協力関係を築いてきた京都大学、復旦大学、香港城市大学の諸分野の研究者たちとの文物共同調査における常設拠点の役割を担うことができる。これにより、人文知の情報発信を行うとともに、若い世代の研究者のための分野横断的で国際的な交流の場を提供することをめざす。
- 活動実績
■2020年9月23日(水)
人文知連携共同研究会 第一回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
なお、本研究会は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、Zoomを用いてオンラインで開催します。
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■2020年10月22日(木)
人文知連携共同研究会 第二回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2020年11月26日(木)(人文知連携拠点)
人文知連携共同研究会 第三回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2021年1月15日(金)
人文知連携共同研究会 第四回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2021年1月27日(水)
人文知連携共同研究会 第五回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2021年5月6日(木)
人文知連携共同研究会 第六回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2021年6月24日(木)
人文知連携共同研究会 第七回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2021年7月16日(金)
人文知連携共同研究会 第八回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2021年9月2日(木)
人文知連携共同研究会 第九回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2021年11月19日(金)
人文知連携共同研究会 第十回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2022年1月14日(金)
人文知連携共同研究会 第十一回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2022年3月23日(水)
人文知連携共同研究会 第十二回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2022年7月22日(水)
人文知連携共同研究会 第十三回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2022年12月7日(水)
人文知連携共同研究会 第十四回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2023年3月26日(日)、27日(月)
人文知連携共同研究会 第十五回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2023年8月31日(木)
人文知連携共同研究会 第十六回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2023年9月11日(月)
人文知連携共同研究会 第十七回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2024年3月18日(月)
人文知連携共同研究会 第十八回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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■2024年3月21日(木)
人文知連携共同研究会 第十九回東アジア「間文化」研究会を開催しました。
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過去の研究課題
- 研究課題名
古代人の感情に関する共同研究
- 研究課題名(英語)
Joint Research into the Emotions in the Ancient World
- 研究代表者
南川 高志(西洋史学専修)
- 連携専修
西洋史学、西洋古典学、西洋哲学史(古代)、考古学、キリスト教学
- 研究の目的
本研究は、古代ギリシア・ローマ時代に生きた人々の感情を考察することを目的とした共同研究である。「感情」は、文学・哲学から社会学や心理学、そして医学に至るまで、実に多くの分野が関わることができる研究テーマである。しかし、異なる研究分野を専攻する者が、研究の観点や方法の違いを相互に理解しつつ共同で考察を進めることは、実際には容易ではない。幸い、文学研究科には古代ギリシア・ローマ時代の文学・哲学・歴史学を研究・教育する専修が設置されており、他の分野の研究を尊重しつつ連携する環境が整っている。また、文学・哲学・歴史学の研究法では文字情報を扱うが、古代の人々の感じ方を知るためには、考古学的情報も重視すべきであり、その点でも文学研究科では考古学専修の貢献を期待できる。本研究では、西洋古典学、西洋哲学史古代、西洋史学、考古学、キリスト教学の5専修の教員が共同して、感情というテーマに挑戦する。この大きな問題に対して5専修で1つの解答を得ようとするのではなく、個々の分野の研究の発展に共同研究の議論や成果を反映させることが目的となる。
- 活動予定・活動実績
■2020年7月31日(金)
2020年度第1回研究会を研究会メンバーのみで開催しました。
報告⑴ 金澤周作教授(西洋史学)「近年における感情史研究の新展開」
報告⑵ 南川高志教授(西洋史学)「古代ギリシア人・ローマ人の「感情」に関する研究」
■2020年9月25日(金)
2020年度第2回研究会を研究会メンバーのみで開催しました。
報告 早瀬篤准教授(西洋哲学史(古代))「古代哲学と感情の問題」
■2020年11月26日(木)
2020年度第3回研究会を研究会メンバーのみで開催しました。
報告⑴ 河島思朗准教授(西洋古典学)「西洋古典文学における『感情』の解釈」
報告⑵ 下垣仁志准教授(考古学専修)「造墓への想い─公共事業説批判─」
■2020年12月21日(月)
2020年度第4回研究会を研究会メンバーのみで開催しました。
報告 津田謙治准教授(キリスト教学)「神の怒りへの弁証―マルキオンに対するテルトゥリアヌスの議論の位置付け」
■2021年3月8日(月)
第5回研究会を研究会メンバーのみで開催しました。
研究会活動全体を振り返り、「感情」の研究から人文学全体に視野を広げて、今後の研究のあり方について意見交換を行いました。
- 研究課題名
人文学の方法論
- 研究課題名(英語)
Methodology of Humanities
- 研究代表者
伊勢田 哲治(科学哲学科学史専修)
- 連携専修
科学哲学科学史、西洋哲学史(中世)、東洋史学、国語学国文学、社会学
- 研究の目的
人文学の諸分野における方法論を比較検討し、言語化していくことが本研究の目的である。
自然科学や社会科学の諸分野では、大まかに、問題を立て、その問いに答える手段を明確にし、実験や観察を行って答えを出し、それについてさらに考察を加える、といった、研究の典型的なながれについてのイメージがあって、論文もそうした流れにそって構成される。人文学においてそれに相当するプロセスのイメージは非常に漠然としているが、「よい研究」や「悪い研究」が存在する以上、やはり方法論的な規範はそれぞれの分野にあるはずである。それを明らかにすることが本研究の大目標である。
もちろん、人文学と一口に言っても、哲学、歴史学、文学等のそれぞれの分野において、研究対象も研究対象へのアプローチの仕方は異なるし、人文学のそれぞれの領域の中でも必ずしも方法論が一致するわけではない。そういう意味で、「人文学の方法論」という単一のものがあるとは考えにくい。とはいえ、それは自然科学や社会科学も多かれ少なかれ同じことである。そうした方法論の多様性をとらえることも本研究の目的である。
もう一つ本研究が目的とするのは、人文学の方法論について抽象論を超えた言語化を試みていくことである。「テキストを丹念に読み、正しく解釈する」といった、漠然とした仕方であれば「方法論」を述べるのは簡単だが、「丹念に読む」とか「正しく解釈する」とかといったことはさらに具体的には何を意味するのだろうか。これは非常に困難な課題であるが、実は、社会科学の質的研究は、同じような困難をかかえつつも方法論を言語化してきた歴史を持つ。人文学の方法論の言語化において大きな参考となるだろう。
- 研究課題名
グローバル視点の近代史教育
- 研究課題名(英語)
Teaching modern history from a global perspective
- 研究代表者
高嶋 航(東洋史学専修)
- 連携専修
東洋史学、日本史学、西南アジア史学、西洋史学、現代史学
- 研究の目的
近代史がグローバルな視点から検討されるべきこと、改めて言うまでもない。とはいうものの、実際の研究や教育においてそれが果たされているかというと、必ずしもそうはなっていない。文学研究科では近代史関連の研究が、日本史学、東洋史学、西南アジア史学、西洋史学、現代史学で分散しておこなわれており、なおかつ専修間の交流は活発とはいえない。こうした現状に鑑みて、数年前より日本史学、東洋史学、西洋史学の教員と院生が参加して研究発表の場を持ってきた。今回、これをさらに西南アジア、現代史学に拡大して、研究分野の境界とともに研究対象地域の境界も取り除き、グローバルな視点から、自分たちの研究を見直すことを目指す。グローバルな問題に関心をもつ院生も、そうでない院生も広く参加を求めることにしたい。また、研究発表者の要請があれば、コメンテーターを招聘することも考えている。
- 活動予定・活動実績
■2020年7月9日(木)
石原香(西洋史)「フランス革命総裁政府期における国民祭典と「共和国理念」―地方都市トゥールーズを例に—」
■2020年10月1日(木)
林祐一郎(西洋史)「ドイツ帝国における愛国的少数派の歴史観―アンリ・トランとドイツ・ユグノー協会」
■2020年10月19日(月)
堀雄高(日本史)「明治期における青年団体の生成と変容―群馬県の事例を中心に」
■2021年1月18日(月)
藤本健太朗(現代史学)「1920年代ソ連の対日政策における「漁業問題」」
■2021年3月6日(土)・3月13日(土)
『歴史学の縁取り方―フレームワークの史学史―』書評会を研究会メンバーのみでオンラインで開催予定です。
3月6日:「歴史家とフレームワークを俯瞰する―序章・第一章・第二章・第七章を中心に― 」
・各章評者:
林 祐一郎氏(京都大学大学院・西洋史学専修)
堀 雄高 氏(同上大学院・日本史学専修)
中山真由香氏(同上大学院・西洋史学専修)
杉谷 倫生氏(同上大学院・東洋史学専修)
・タイムテーブル
14:00-14:10 趣旨説明
14:10-15:30 評者による報告
15:30-16:10 著者による応答
16:10-17:00 全体討論(著者・評者への質問等)
3月13日:「個別論点における歴史家とフレームワークー第三章・第四章・第五章・第六章を中心に―」
・各章評者:
谷 雪妮 氏(京都大学大学院・現代史学専修)
石原 香 氏(同上大学院・西洋史学専修)
新田さな子氏(同上大学院・西洋史学専修)
白木 正俊氏(京都大学大学院・現代史学専修)
・タイムテーブル
15:30-16:50 評者による報告
16:50-17:30 著者による応答
17:30-18:30 全体討論(著者・評者への質問等)
<司会(両日とも)> 小堀慎悟氏(京都大学大学院・東洋史学専修)
■2021年7月8日(木)
小堀慎吾(京都大学大学院・東洋史学専修)「「イギリス公衆衛生学会」についての備忘録―「予防医学/医療」と帝国での活動に注目して」
■2021年10月18日(月)
鷲澤遼祐(京都大学大学院・日本史学専修)「思想対策協議会を起点とする各省の「日本精神」認識とその利用ー文部省・内務省・陸軍省を事例にー」