行動文化学 地理学専修

米家 泰作 教授
歴史地理学
埴淵 知哉 准教授
都市地理学、健康地理学
杉江 あい 講師
社会地理学、開発地理学、地域研究

地球上の人間と環境に関わるさまざまな現象が地理学の研究対象です。古代の条里地割、大航海時代の地図に表現された情報、昨今の移民の増加やグローバリゼーション、子供特有の距離感覚なども、地理学の対象です。キーワードは地域・環境・景観・空間・場所ですが、アプローチの仕方は多様です。

取り上げる対象やアプローチによって、現地調査、聞き取り、古文書や古地図の解読、GIS(地理情報システム)を用いた地図化やコンピュータを駆使した計量分析など、手法を効果的に用いる必要があります。そのため、地理学実習と文献講読を地理学の必修科目としています。

地理学実習では、皆で調査地を選び、各自のテーマに沿った現地調査を行い、共同して報告書をまとめる経験も積みます。また、演習は、学部でも大学院でも大切な科目です。学部生には、自分の興味や問題意識を卒業研究に発展させるステップとして、大学院生には、修士論文や博士論文を作成するステップとして、定期的な研究発表が求められます。地理学専修の伝統は、自由で独創的な発想や現場で問題発見する鋭い観察力、新しい研究分野を開拓する柔軟な思考力を尊重する教育と研究です。個性の際だつ地理学者だけでなく、文化人類学、地域研究、地域政策学などの隣接諸科学で活躍する研究者も輩出してきましたし、大勢の先輩方が教育、行政、報道、建設、運輸など各界で活躍されています。後に続く皆さんにも、既成の枠にとらわれない活動を期待しています。

最近の卒業論文

  • ・上田城下町の形成と既存集落
  • ・コスラエ島・オマ山の東斜面における熱帯山地雲霧林の分布と立地環境
  • ・イノシシと猟師たちのもつれ
  • ・日本における航空交通ネットワークの地理学的分析

最近の修士論文

  • ・祭礼文化を支える地域のネットワーク
  • ・近代東京における露店と時間-空間の政治
  • ・「被災地」〈と〉生きる

最近の博士論文

  • ・ポスト・マスツーリズム時代の農村における生活空間の観光化に関する地理学的研究
  • ・韓国の島の植物地理学研究
  • ・現代日本におけるアイヌの「記憶の場所」に関する地理学的研究
  • ・気候環境の影響を大きく受けた農村の景観と社会の変化

実習で巡検(倉吉市)

最近の実習旅行報告書(地理学実習)

所蔵古地図「東西蝦夷山川地理取調図」

文学部受験生向けメッセージ

「地理」は中学社会科・高校地歴科の中に含まれていますので、どういった内容の科目なのか、このページをご覧の皆さまはよくご存じと思います。これに対し、大学で学ぶ「地理学」は、高校の地理の延長という性格ももちろんありますが、大学になって初めて学ぶ内容も少なくありません。それは、近年の地理学の発展がめざましく、分析手法の進展や、理論の構築が、大きく進んでいるからです。

当専修は、明治40(1907)年に、日本の大学では初めて開設された地理学教室です。初代の教授は、日本人初のノーベル賞受賞者として著名な湯川秀樹先生の実父にあたる小川琢治先生でした。その後現在に至るまで、日本を代表する地理学教室の一つとして、各方面に多数の卒業生を送り出してきました。

実習で巡検(倉吉市)

グローバル化が進展する一方で、世界の諸地域では格差や対立が止むことがありません。地球上の各地域は互いに関係を深めながらも均質になっていくわけでなく、むしろそれぞれの地域の主張が強まってきたようにもみえます。現代における内外の複雑な動きの理解や問題の解決のためには、地理学的な見方が大変重要です。当専修では、様々なテーマや地域に関心を持った高校生の皆さんに、おいでいただくことをおおいに期待しています。

なお、当専修のウェブサイトもご覧いただくと、幸いです。

地理学専修ウェブサイト

大学院研究科受験生向けメッセージ

本専修の創設は1907年にさかのぼります。日本の大学では最初の地理学教室として、京都帝国大学文科大学に設置されました。当初は史学科のなかの小教室に過ぎませんでしたが、日本の地理学研究の中心として、多くの研究者を育ててきました。草創期には人文地理学の方法論や歴史地理学が盛んとなり、ついで地政学に傾斜する時期を経て、20世紀後半以降には人文地理学のさまざまな分野の研究が展開し、今に至っています。現在は日本を代表する地理学会の一つである「人文地理学会」の事務局も、かつては当教室に置かれていました。

専任の教員スタッフは3名であり、地理学の幅広い分野をカバーするには足りない面もありますが、人間・環境学研究科(総合人間学部)そのほかの地理学関連分野の教員と連携しつつ、地理学のさまざまな分野の授業を提供するように努めています。また、学内でカバーしきれない領域については、最先端で活躍されている地理学者を非常勤講師に招いて、学問的な刺激に満ちた授業が履修できるように留意しています。

大学院生の教育の中心は「演習」です。あらかじめ院生全員の年間報告スケジュールをたて、それにしたがって、毎週1~2名が各自の研究の進捗状況を報告し、それをめぐって教員・院生全員でディスカッションを行います。各院生は主たる指導教員を選び、基本的にはその指導を受けつつも、自主的に研究テーマを選び、それを探求することになります。とくに博士後期課程に進学した場合は、毎年1本の研究報告をまとめて学会誌に投稿すること、そしてそれらを軸として博士論文を提出し、課程博士の学位を取得した上で、研究者の道に進むことを期待しています。

なお、当専修のウェブサイトもご覧いただくと、幸いです。

地理学専修ウェブサイト