月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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1
8:45〜10:15
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2
10:30〜12:00
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福本薫
前期 特殊講義
伊藤順二
前・後期 特殊講義
小俣ラポー日登美
前・後期 独書講読
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藤田風花
前期 英書講読
岡澤康浩
後期 英書講読
栗原麻子
後期 特殊講義
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小山・金澤・安平
西洋史学実習
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卒論演習(演習Ⅴ)
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3
13:15〜14:45
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安平弦司
前・後期 特殊講義
下垣仁志
前・後期 英書講読
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伊藤順二
前・後期 露書購読
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藤原辰史
前・後期 特殊講義
佐藤公美
後期 特殊講義
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田崎直美
後期 特殊講義
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前・後期 大学院演習
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4
15:00〜16:30
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図師宣忠
後期 特殊講義
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林田敏子
前期 特殊講義
坂本優一郎
後期 特殊講義
小山哲
前・後期 ポーランド書講読
竹下哲文
前・後期 特殊講義
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小関隆
前・後期 特殊講義
菅原百合絵
前・後期 仏書講読
村瀬有司
前・後期 イタリア書講読
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5
16:45〜18:15
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金澤周作
前・後期 西洋史学講義
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小山哲
前・後期 特殊講義
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演習Ⅰ,Ⅱ, Ⅲ,Ⅳ
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講義内容【講義】
- 【前・後期・火5】 金澤周作 西洋史学序説
<授業の概要・目的>
授業全体のテーマ:ヨーロッパ史学史から学ぶ歴史への複眼的接近法
過去は変えられない。しかし、歴史は変わる。歴史とは、過去の見方である。すなわち、歴史を学ぶとは、単に重要な過去の事実を幅広く記憶するというだけではなく、多分に、過去の見方の多様性や変遷を知ることにほかならない。そして、さまざまな見方に触れるほどに、過去や未来の諸課題にも、柔軟性をもって取り組むことができるであろう。そこで本講義では、近代歴史学の基礎をなし、現在もなお世界の歴史研究にとって重要なインスピレーションの源となっているヨーロッパの歴史叙述の歴史を概観する。それによって、決して時代遅れでも有効期限切れでもない、しかも、互いに相いれないがいずれも説得的であるような、多彩な過去の見方を紹介し、歴史学的思考を深める素材を提供することを目的とする。そして、「西洋史学」の由来や現状や意義を解説する。
講義内容【特殊講義】
- 【前期・月2】 福本薫 美術作品から見た古代ギリシア・ローマ世界
<授業の概要・目的>
この講義では、美術作品を通して古代ギリシア・ローマ世界の変遷を概観する。古代ギリシア・ローマ美術は、その後のヨーロッパ社会の文化に大きな影響を与えた。しかし、古代ギリシア美術はアテナイのものであり、ローマ美術はギリシアの模倣であるという一面的な見方も根強い。本講義では、古代ギリシアにおける造形芸術の始まりから、古代ローマにおけるその受容と変遷、キリスト教美術の誕生までを、代表的な美術作品を取り上げ概観する。そして中心だけでなく地方的な作品も取り上げることで、古代ギリシア・ローマ世界の多様なあり様を把握することを目的とする。 - 【前期・月2】 伊藤順二 ロシア帝国末期のジョージア
<授業の概要・目的>
19世紀後半から1905年までの帝政ロシア支配下の南コーカサス史を、ジョージア中心に概観する。
ロシア人がチェチェン人やジョージア人に抱くイメージは、少なくとも19世紀以来現代に至るまで、「高貴な野蛮人」あるいは単に「野蛮人」である。南コーカサスは帝政ロシア初の本格的植民地であり、オスマン帝国との最前線の一つでもあった。住民に対する民族学的視線は帝国の統治政策に直結すると同時に、「高貴な野蛮人」への文学的憧憬をも産み出した。一方、「治安の悪さで悪名高い」南コーカサスは、傭兵の輸出地としても名高く、義賊伝説に溢れ、スターリン等の革命家を輩出した地でもあった。本講義では帝国とジョージア人の関わりを主軸に、19世紀後半におけるナショナリズムと社会主義の相関関係について考えたい。 - 【後期・月2】 伊藤順二 第一次世界大戦期の南コーカサス
<授業の概要・目的>
南コーカサスは「東部戦線」と並んでロシア帝国の最前線だった。ジョージアの社会主義者やアルメニアやアゼルバイジャンの民族主義者のほとんどは、第一次世界大戦開戦に際し、帝国の戦争に全面協力した。帝国の中心における革命は彼らにとって予期せぬ事件だったが、さまざまな構想を一気に開花させる力となった。本講義では南コーカサスにおける戦争と革命の経緯をジョージア中心にたどりつつ、ロシア革命なるものの影響力を再考したい。 - 【前期・月3】 安平弦司 近世オランダにおける宗派共存とカトリックのサバイバル
<授業の概要・目的>
宗教改革後のヨーロッパを生きた人々にとって宗派共存は大きな課題・試練であった。なぜなら、当時のヨーロッパで宗教的多様性は、一般的に公的秩序や政治=社会的安定への脅威として認識されていたからである。そうした近世ヨーロッパの中にあって、改革派(カルヴァン派)を唯一の公的教会とするオランダ共和国は、宗派共存が機能していた社会として知られ、ときに「寛容の楽園」とも称される。他方、オランダ共和国においてカトリックは潜在的な国家反逆者の烙印を押され、公的領域における多くの権利を剥奪されていた。本講義は、近世オランダの宗派共存を、従来の研究で主に用いられてきた改革派の統治戦略の視角のみならず、カトリックの生存戦術の視角からも捉えなおす。そうすることで、現代世界の喫緊の課題でもある共存や寛容といった問題を、政治=宗教的マジョリティと政治=宗教的マイノリティ双方の視点から歴史的・多角的に理解することを目指す。 - 【後期・月3】 安平弦司 近世オランダにおけるカトリックとジャンセニスム論争2
<授業の概要・目的>
近世のオランダ共和国は、改革派(カルヴァン派)を唯一の公的教会とするプロテスタント国家であり、かつ多宗派共存社会でもあった。オランダのカトリック共同体は、差別的待遇を受けながらも17世紀の過程で再建されていったが、ジャンセニスム論争を経て、1723年にユトレヒト教会分裂を経験した。ジャンセニスムとは、近世カトリック教会内部で異端視された思想である。教会分裂により、オランダのカトリック共同体は、ローマ教皇に認可されるもプロテスタントのオランダ政府には否認されたローマ・カトリックと、教皇に否認されるもオランダ政府には認可された古カトリック(ジャンセニスト)に分裂し、両者の分断は現在も続いている。本講義では、ジャンセニスム論争を通じて、17・18世紀のオランダ共和国のカトリック共同体の復興と内部分裂を考察する。そうすることで、宗教改革後の近世ヨーロッパにおける複数宗派の共存・競合という問題を多角的に理解することを目的とする。 - 【後期・月4】 図師宣忠 西欧中世における紛争と裁判
<授業の概要・目的>
この講義では、中世ヨーロッパの紛争や裁判に関するトピックを取り上げ、史料のあり方に着目しながら「メディアとコミュニケーション」という観点から具体的に検討していく。過去のヨーロッパ社会を生きた人々は、争いや諍いにどのように対応していたのか。あるいはいかに裁かれたのか。法と裁判のあり方(ひいては紛争と紛争解決のあり方)は、その時代の社会の構造や人々の価値観を映し出す。紛争の記録や裁判記録など関連する史料を読み解きながら、当時の社会について理解を深めたい。また現代の日本社会との比較を通じて、私たちが当たり前に受け取っている現代社会のありようを見つめ直すきっかけをもちたい。 - 【後期・火2】 栗原麻子 女たちの古代ギリシア
<授業の概要・目的>
古代ギリシアでは、民主政下であっても女性は参政権を持たなかった。同時代の戦争と外交を描くトゥキュディデス『歴史』には、個人名を伴う女性が3名しか登場しない。本講義の目的は、そのように声なき存在であった女性たちの視線から、古代ギリシア史を描きなおすことである。研究史を踏まえたうえで、女性たちひとりひとりに光を当て、女性とポリス共同体との関係性、宗教、法制度との関わり、親族ネットワーク、ジェンダー規範といった問題について論じたい。なお、資料的限界から分析は古典期のアテナイを中心とするが、他地域とヘレニズム時代についても展望する。 - 【前期・火4】 林田敏子 大戦とジェンダーー軍隊・記憶・セクシュアリティ―
<授業の概要・目的>
二〇世紀に起こった二度にわたる世界大戦は、銃後を広く巻き込む総力戦として多くの女性たちを動員した。前線にまで拡大した女性の戦時活動は、ときに「男の領域の侵犯」ととらえられ、様々な手段でジェンダー秩序の維持がはかられた。本講義では両大戦期のイギリスを対象に、大規模な戦時動員が引き起こした諸問題をジェンダーとセクシュアリティの観点から考察する。戦争に主体的に関わることを求められた女性たちの活動や経験を、軍隊(前線)と家庭(銃後)という二つの空間の重なりや連続性のなかに位置づけてみたい。女性に求められた戦時の役割や女性表象が果たした機能、戦時の「男らしさ」をめぐる価値観の揺らぎ、そして長い「戦後」という時空間における大戦の記憶の変遷に焦点をあてながら、女性たちの長い「戦い」を論じる。 - 【後期・火4】 坂本優一郎 証券投資と近現代イギリス社会
<授業の概要・目的>
この講義では「投資と貯蓄」が近現代社会に与えた影響を歴史学の立場から評価することを目的とする。
「投資と貯蓄」というテーマは、これまでおもに経済学ないし経済史学の領域にて経済学の視点からアプローチされることがほとんどであった。この講義ではこうした「投資と貯蓄」という対象を社会史や文化史の視座からとらえなおしてみたい。そこでは「投資と貯蓄」の主体の実像が明らかにされつつ、公債や株式への投資が19世紀以降の近現代社会にいかなる衝撃を与えたのか、また、現在のわれわれの生きる社会の基盤をいかに構成してきたのかといった諸点について、長期的な把握を試みることになるであろう。
具体的な検討対象として取り上げられるのは、19世紀から20世紀にかけての近現代イギリスの経験である。19世紀イギリスにおける近代社会の成長、同世紀後半からの第一次グローバル化の到来と帝国の拡大、二度の大戦とその狭間の戦間期、戦後の福祉国家の生成、1970年代以降のネオ・リベラリズムの到来と第二次グローバル化といった教科書上の主要な動きについて、「投資と貯蓄」の主体となる人びとの存在を可視化して問い直すと、それぞれどのような像として現れうるだろうか。そして、それが現在の社会のありかたとどう関係するのであろうか。こうした問題群を受講生の皆さんと共に考えていきたい。 - 【前・後期・火4】 竹下哲文 ラテン語中級講読
<授業の概要・目的>
ラテン語の初級文法を学んだ人を対象として,前年度に引き続き,サッルスティウス『カティリーナの陰謀』(およびキケロー『カティリーナ弾劾演説』,『カエリウス弁護演説』)を教材に講読を行う. - 【前・後期・水3】 藤原辰史 食と農の現代史
<授業の概要・目的>
とりわけ20世紀以降、食と農はどのように変化を遂げてきたのか? ドイツと日本を中心に、食べものをめぐる制度や文化や技術の変遷を追う。この講義の目的は、現代史の知識を蓄えることではない。あるいは、現代史の概略をつかむことでもない。現代史を批判的に眺める目を獲得し、食と農の未来の構築するためのヒントを考えることである。 - 【後期・水3】 佐藤公美 中世イタリアのコミュニティ・国家・政治文化
<授業の概要・目的>
中世イタリアでは、都市コムーネと「地域/領域国家」を舞台に高度な政治文化が繁栄した。そこでは社会の幅広い層の人々が日常の「政治」行為に関与し、現実の政治経験と政治理論の緊密な関係が見られた。近現代の政治、国家、社会と思想も、中世イタリアの歴史と切り離せない関係にあるのである。その中でも近年目覚ましい研究の進展が見られたのが、中世後期の党派(グェルファ党とギベリン党)とシニョリーア制である。本講義では、党派とシニョリーアに関するテーマを導入し、中世後期の政治反乱とコミュニティを分析する。これにより広い意味での政治文化と幅広い層の人々の政治行為をつなぎ、中世イタリア政治史を長い歴史の中に位置づける考察を学ぶ。 - 【前期・水4】 小関隆 大戦間期再考
<授業の概要・目的>
現代世界の起点となった第一次世界大戦は「未完の戦争」であった。いわゆる大戦間期においても、「次なる戦争」への懸念は広く共有され、実際に第一次世界大戦終結の約20年後には第二次世界大戦が到来した。この授業では、ナショナリズム、デモクラシー、帝国主義、資本主義、等、さまざまな視点から大戦間期の動向を再検討し、特にイギリスに注目しながら、二度目の世界大戦を防ぐことがなぜできなかったのかを考える。 - 【後期・水4】 小関隆 イギリスの第二次世界大戦経験
<授業の概要・目的>
前期の授業を受け、後期にはイギリスが第二次世界大戦をいかに経験したか、に焦点を合わせる。「至上の時」の神話、戦時経済、戦時メディア、核兵器、等の論点をとりあげるが、中でも、首相として大戦を指導し、戦後には歴史家として今日でも影響力の強い大戦回顧録を執筆した、ウィンストン・チャーチルに注目する。 - 【前期・水5】 小山哲 ポーランド史の窓から――ヨーロッパ史のもうひとつの視角
<授業の概要・目的>
19世紀前半、ポーランドの詩人ユリウシュ・スウォヴァツキは「ヨーロッパがニンフなら/ナポリが彼女の碧い瞳/ワルシャワが心臓/…/パリが頭、ロンドンがぱりっとたった衿/ローマは僧侶の胸当て」と歌った。ポーランドから見ると、ヨーロッパ史はどのように見えるのだろうか。ポーランドの人びとは、ヨーロッパ世界のなかに、どのように自らを位置づけてきたのだろうか。そのさいに「東」と「西」の区分とその境界には、どのような意味が与えられてきたのだろうか。東に隣接するウクライナとの関係にも論及しながら、中世から近現代までの幅のなかで、ポーランド史におけるヨーロッパ認識の変遷について考察する。 - 【後期・水5】 小山哲 ヤン・フリゾストム・パセクの世界――17世紀のポーランド貴族の回想録から
<授業の概要・目的>
ポーランドの17世紀は「日記・回想録の時代」とも呼ばれる。出版を想定しない手書きの記録が多数残され、書き手の多くは貴族身分の男性であった。本講義では、そのようなテキスト群のなかから、ヤン・フリゾストム・パセクJan Chryzostom Pasek (c.1636 – 1701) の回想録をとりあげ、その内容を紹介しながら、17世紀のポーランド貴族が自らの生きる世界をどのように認識し記述したか、その歴史的特質を探る。 - 【後期・木3】 田崎直美 第二次世界大戦期のフランス :音楽文化史の視点より
<授業の概要・目的>
第二次世界大戦期に4年間(1940-44年)ナチス・ドイツに占領されたパリでは、実のところ戦前以上に、多彩で活発な音楽活動が展開していた。ここでは音楽/音楽活動にどのような「力」が作用し、どのような意味を纏うことになったのか、そして後世にどのような影響を及ぼしたのか。本講義では、ヴィシー政権下のフランスの音楽界を主な対象として、史料研究より明らかになった事実・事例を紹介しつつ、社会のなかで音楽と政治が直接的/間接的に影響しあう諸相について検討し、現代にも通じる文化史の意義について考えることを目的とする。
講義内容【集中講義】
本年度は開講されない。
講義内容【演習】
- 演習Ⅰ 西洋古代史演習 (藤井崇)
<授業の概要・目的>
この授業は、ギリシア・ローマ史を中心とする西洋古代史の研究を本格的におこなう能力を養成することを目的とする。主に外国語で書かれた一次史料ならびに二次文献を分析することで、基本的な歴史的事象やこれまでに学界で議論されてきた代表的論点を学び、自身で歴史学的課題を設定し、それを解決する能力を涵養する。また、研究の成果を口頭・文書で論理的に表現し、他の研究者と意義あるディスカッションをおこなう技能の獲得も目指す。一部を同時双方向型メディア授業とし、多様な素材を通じて西洋古代史をより深く理解することも目的の一部とする。 - 演習Ⅱ 西洋中世史演習 (佐藤公美)
<授業の概要・目的>
本演習では、ヨーロッパ史に関係する欧米の相対的に新しい英語研究文献を読解し議論する。これにより英語で専門研究文献を精読する力を養うとともに、現在の歴史学方法論、解釈理論、史料論、および研究上の諸論点を学び、理解を深め、ヨーロッパ史についての基本的な知識を身に着ける。本演習では中世史を中心に扱うが、テキストの一部は近世も対象としてる。
今回のテーマは中・近世における「市民権 citizenship」である。市民権は近代国民国家において、国内の社会統合を支え国民の権利を保障し義務を定めてきたが、このような市民権概念はグローバル化時代の人の移動の拡大と恒常化にともない見直しを余儀なくされている。それともに、移動する人間が関わる今日の政治的・社会的コミュニティの多様な姿と新たな課題と可能性が浮かび上がってきつつある。このような現代社会に磨かれた新しい目で、中・近世ヨーロッパ史の大動脈である「都市」と「共同体」という問題に、市民権を軸に、真正面から飛び込んでみたい。そして長い研究の蓄積の中で「都市」と「共同体」と四つに組み合ってきたヨーロッパ前近代史からこそ得られる、現代社会と長い歴史の不断の対話の可能性に手を伸ばしてみたい。
今回の演習では、この問題に関する最新の研究成果に向き合い、歴史研究の思考力と知識と技術を磨きながら、参加者各自が新たなヨーロッパ史像を考えることを目指す。 - 演習Ⅲ 西洋近世史演習 (小山哲・安平弦司)
<授業の概要・目的>
近世のヨーロッパ史にかんする欧米の比較的新しい研究文献を読解し、また、個別の論点について討論することをつうじて、近世ヨーロッパにかんする基本的な知識を身につけると同時に、最近の研究動向や研究史上の争点についての理解を深めることを目指す。 - 演習Ⅳ 西洋近代史演習 (金澤周作)
<授業の概要・目的>
この演習では、西洋の近代(18世紀半~20世紀初頭)を主体的に探求するのに必要な作法を学ぶ。そのために、まとまった分量の欧米の研究文献を精読することを課す。 - 演習Ⅴ 卒論演習 (小山・金澤・安平)
<授業の概要・目的>
卒業論文の研究テーマについて、参加者が中間報告をおこない、教員3名と受講者の全員で討論する。研究報告と討論を通じて研究テーマに関する理解を深めるとともに、研究を進める上での問題点を認識し、卒業論文の完成度を高めることを目標とする。西洋史学専修4回生は必修。 - 大学院演習 (小山・金澤・安平)
<授業の概要・目的>
この授業では、受講する大学院生が各自の専門研究の成果を発表し、授業に参加する院生・教員全体でその発表にかんして問題点を指摘し議論する。本演習をつうじて、受講者の大学院における研究の発展に資するとともに、西洋史上の様々な時代・地域にかかわる研究テーマ、研究の視角や手法、史料の特徴とその利用の方法などについて相互に理解を広め、また深める場とする。
講義内容【講読】
- 【前・後期・月2】独書講読 (小俣ラポー日登美)
<授業の概要・目的>
ドイツはデジタル・ヒューマニティーズ先進国である。各地の様々な大学にこの方法論に特化した研究所が設立され、新たな分析ツールが開発され、それを用いた研究が推進されている。統計学的な分析は、もともと歴史学ではアナール学派によって積極的に活用されていたが、現在はさまざまなツールの開発により、経済史や人口学以外の分野(例えば文学/史・宗教史など)でもこの分析方法の目覚ましい活用が見られる。
本講義では、ドイツで2017年に初版が発行された以下の基本的なテクストを輪読することで、この新しい学問手法に触れる機会とする。本テクストは、2024年9月に新版の公刊が予定されているが、適宜関連する情報や論文を紹介することで古い情報を補う予定である。
Fotis Jannidis et al. (hrg.), “Digital Humanities: Eine Einfuehrung”, J.B. Metzler, 2017. - 【前・後期・月3】英書講読 (下垣仁志)
<授業の概要・目的>
考古学の射程を大幅に広めたことで名高いV・G・Childeの出世作にして最高傑作である『The Dawn of European Civilization』(6版)の精読をつうじて、①ヨーロッパ新石器時代の概要、②考古学の方法論、③本書が世界考古学および日本考古学におよぼした影響、などを習得する。テキストの輪読と内容についての解説および議論が、講読の基本的な枠組みとなる。 - 【前期・火2】英書講読 (藤田風花)
<授業の概要・目的>
本授業では、N. Malcolm (2019), Useful Enemies: Islam and The Ottoman Empire in Western Political Thought, 1450-1750, Oxfordの一部を読む。本書は、15世紀から18世紀までの西欧で、「東方」について政治的に思考し著述した人びとの精神世界を照らし出そうとするものである。本書の精読をつうじて、英語で書かれた研究文献の読解力を向上させるだけでなく、ヨーロッパとオスマン帝国の関係史や、西欧の人びとのイスラームにたいする認識についての理解を深めることが、本授業の目的である。
授業にさいして、予習は毎週必須である。また、毎回授業内に課題として和訳を提出してもらう予定である。
本授業は講読の授業であるが、読解するうえで必要と思われる背景知識についても、授業中に適宜解説する。 - 【後期・火2】英書講読 (岡澤康浩)
<授業の概要・目的>
本講義の目的は二つある。一つ目は知覚・物質性・デザイン・技術などをキーワードとしながら、メディア論・メディア史と科学技術論・科学技術史とを結びつける方法について検討することである。二つ目は、適切な学術書を適切な方法で読むための読書技術を習得することである。
美術史家であるジョナサン・クレーリーの『〈観察者〉の系譜』や、メディア理論家のフリードリッヒ・キットラーらによって代表されるドイツ・メディア論の仕事によって、メディア論・メディア史と科学技術史的とを「知覚の歴史」や、「書き込み技術の歴史」として統合的に理解しうる可能性が示された。その生産的なアイディアを単なるスローガンに終わらせないためには、メディア論・メディア史と科学技術史・科学技術社会論(STS)という異なる領域についての知識を組み合わせる必要がある。こうした学際的研究は知的関心を惹くものではあるが、自分の専門分野から外れた分野の知識を習得するというのは、単純に考えても読まないといけない本が増えるということであり、言うのは簡単ではあるが、実行することは難しい。
そこで本講義では、自分が必ずしも専門としない分野において、自分の関心にあう適切な学術書を探していくための技術を学ぶ。学術書を精読することは、大学で修得できる貴重なスキルであり、すでに高い評価が定まった古典読解において有効である。しかし、そもそも評価が定まっていない新刊や、自分のよく知らない分野などにおいて、何を読むべき本なのかを自主的に判断できる能力も重要となる。まだ読んでいない本が精読に値するのかを判断するというのは、一見不可能な事態に思えるが、研究者はさまざまな読みの技術を用いてこれを達成している。本講義ではそうした技法の一つである「英文学術誌に発表された書評を読む」と方法を練習することで、大量に存在する英文学術書の中から自分の関心に合った本を見つけ出す技術を習得する。
本講義は、メディア論・メディア史と科学技術史との交点を探ることを主目的としているので、特にメディア史・科学技術史系の本をとりあげる。だが、本講義で習得される技法は、他の分野においても応用できるだろう。 - 【前・後期・火3】露書講読 (伊藤順二)
<授業の概要・目的>
19世紀の思想家の文章の読解を通じて、ロシア語の一般的能力、および歴史的・批評的文書に対する読解力を向上させる。 - 【前・後期・火4】ポーランド書講読 (小山哲)
<授業の概要・目的>
ポーランド語で書かれた歴史書を精読することをつうじて、ポーランド語の読解力の向上を図るとともに、ポーランドにおける歴史認識や歴史研究の現状について理解を深めることを目標とする。 - 【前期・水4】仏書講読 (菅原百合絵)
<授業の概要・目的>
本講義では、モンテスキュー(1689-1755)の『ローマ人盛衰原因論(Considerations sur les causes de la grandeur des Romains et de leur decadence)』を講読する。名高い大著『法の精神』によって政治思想家として言及されることの多いモンテスキューだが、その『法の精神』を含め、彼の作品はいずれもきわめて該博な歴史の知識に裏打ちされている。当時のフランスに山積していた課題を考えるにあたって、彼はつねに縦(時間)と横(地域)の広がりに目を向けていた。『ローマ人盛衰原因論』における考察も、そうした彼の問題意識と切り離すことができない。ランケにより実証主義的な「歴史(学)」が確立される19世紀以降とは異なる18世紀フランスの特異な「歴史」のありように目を向けつつ、歴史家としてのモンテスキューの姿をテクストを通じて追うことを目指す。 - 【後期・水4】仏書講読 (菅原百合絵)
<授業の概要・目的>
本講義では、ルネ・ポモー著『彼自身によるヴォルテール』(スイユ社、1955)を講読する。現在では『カンディード』などの哲学的コントや『寛容論』によって名高いヴォルテールだが、彼は18世紀フランス随一の悲劇作者であり、さらに王室史料編纂官として『ルイ14世の世紀』を執筆するなど、歴史家としても活躍した。歴史はいかに書かれるべきかを考究した歴史哲学者としての側面も無視することができない。そのような人物の足跡を体系的にたどり、コンパクトにまとめた文献としてテクストを読んでいきたい。 - 【前期・水4】イタリア書講読 (村瀬有司)
<授業の概要・目的>
16世紀のイタリアを概観したI. Montanelli / R. Gervasoの“L’Italia della Controriforma 1492-1600”の第1部”La penisola”からユリウス2世とレオ10世を取り上げた章を読みます。
イタリア人による歴史書は、日本人によって執筆されたものとは史観・価値観が異なるうえに、イタリア人の読者を想定したものであるためにこれを読むにあたって必要となる知識もまた異なります。このような原書の講読は、イタリア文化そのものにダイレクトに触れる機会を与えてくれるはずです。
本書は比較的平易なイタリア語で書かれており、これを精読することによって伊語テクストの読解力を効率よく培うことができるでしょう。この読解力の養成が授業の主要な目的となります。 - 【後期】イタリア書講読 (村瀬有司)
<授業の概要・目的>
100枚の写真に即してイタリア近現代史のトピックを紹介した“Storia d’Italia in 100 foto”(V. Vidotto, E. Gentile, S. Colarizi, G. De Luna著)を講読します。
イタリア人による歴史書は、日本人によって執筆されたものとは史観・価値観が異なるうえ、イタリア人の読者を想定したものであるためにこれを読むにあたって必要となる知識もまた異なります。このような原書の講読は、イタリア文化そのものにダイレクトに触れる機会を与えてくれるはずです。
1860年から2017年までのイタリアを対象に、写真1枚につき1頁の解説をコンパクトに組み合わせた本書は、オーソドックスなイタリア語散文で書かれており、伊語テクストの読解力を効率よく身につけることができるでしょう。この読解力の養成が授業の主要な目的となります。
講義内容【実習】
- 西洋史学実習 (小山・金澤・安平)
<授業の概要・目的>
この授業は、学生が西洋史の卒業論文を作成するために必要となる研究能力を、知識と技術の両面から身につけることを目的に開講する。具体的な史料(外国語)の分析法、研究情報の収集手順から西洋史研究の方法論や史学思想、さらには論文における議論の作法まで、具体的に学ぶ。