『哲学研究』は西田幾多郎や朝永三十郎ら京都大学哲学科草創期のスタッフによって結成された「京都哲学会」から刊行された雑誌である。
創刊の事情について朝永三十郎は「『哲学研究』の発足」と題されたエッセーの中で次のように記している。「京都の哲学科も創められておほよそ十年になり、教師の顔も一通り揃ひ、卒業生の数も次第に増えて行くにつれて、其等の卒業生諸君及び教師自身の手習草紙といふ意味のも のが欲しくなつた結果に外なりません。」
1916(大正5)年4月に出版された創刊号には西田幾多郎の「現代の哲学」という論文が、第2号には田辺元の「普遍に就いて」が発表されている。当時は月刊であり、西田は1916年から翌年にかけて、後に『自覚に於ける直観と反省』にまとめられる論文を毎月のように執筆している。『働くものから見るものへ』所収の論文「場所」も『哲学研究』に発表されたものである。
現在は年2回の刊行であり、近年では、2008年4月・10月にそれぞれ発行された585号・586号には出口康夫「真矛盾主義的一元論──後期西谷哲学の再編成──」(上)・(下)が、2006年4月に発行された581号には氣多雅子「京都学派と宗教哲学──西田幾多郎から西谷啓治へ──」と小野真「アリストテレスと西谷啓治」が、2002年10月に発行された第574号には山形頼洋「西田哲学における行為的自己とフランス哲学における自我と他者」が収められている。そのほか、第564号に藤田正勝「ことばと思索――あるいは日本語と哲学――」が、また第563号にJ・ W・ハイジック「種の論理とグローバル・ヴィレッジの批判」が収載されている。