要求される条件
哲学を志した人でも最初から中世哲学をやろうという人は稀です。また中世哲学を専門的に学ぶことができる教育機関はごくわずかです。ですから、他大学や他学部で学部を卒業してから、本研究室の大学院で中世哲学を始めようという人がこれまでも結構多く見られました。しかし、他大学・学部から本研究室の大学院に入学しようとする人にも、中世哲学を学ぶために一定の用意のあることが期待されています。具体的には次の2つのことが要求されます。
- ラテン語の読解能力
本研究室の授業で扱われる原典テクストのほとんどがラテン語で書かれているので、中世ラテン語の読解能力は必須条件です。中世ラテン語といっても、通常学ぶ古典期のラテン文法と大きく異なるわけではありません。確かに、古代の教父の作品においても、いわゆるスコラ哲学の著作についても、文法上の破格用法や語彙の変化はあります。しかし、そうした中世ラテン語に特有の表現は慣れればれば処理できるものです。中世哲学研究の基礎は原典の読解にあります。ですから、本研究室で研究を希望する人は、何をおいても原典が書かれている言語(多くの場合ラテン語)の力を蓄えていることが必要です。
- 哲学・西洋哲学全般についての知識
京都大学の哲学・哲学史の専攻で学部を卒業しようとすれば、「哲学」、「西洋古代哲学史」、「西洋中世哲学史」、「西洋近世哲学史」の概論的講義を履修しておかなければなりません。ということは、大学院で中世哲学を研究しようとする人は、哲学的思考のありかたと古代から近世に至る西洋哲学史全体について一定の知識をもっていることが期待されています。大学院での研究は「専門的」なものですが、中世哲学の哲学・哲学史的重要性を理解するためには哲学・西洋哲学史全般の知識が不可欠です。
いくつかのプラクティカルな情報
- 大学院の入学試験は毎年8月初旬と2月中旬に行われます。その情報は文学部のページの冒頭からたどることができます。
- 哲学専修と西洋哲学史専修の入試問題は共通のものです。過去問は文学部の教務掛の窓口で見ることができます。
- 京都大学文学研究科・文学部には「学部聴講生」と「大学院聴講生」(修士号を持つ者に限定)の制度があります。上記のような「要求される条件」をクリアするために、聴講生を経て大学院入試に挑む人もいます。聴講生となるためにも試験が行われます。その情報も、上記の文学部のページ冒頭から情報を得ることができます。