本研究室は、日本では数少ない科学史科学哲学の専門家成機関として1993年に設置された、文学研究科内では比較的新しい研究室である。専任のスタッフだけではカバーしきれない領域については非常勤講師を招いて、広く科学史および科学哲学の問題が扱えるように配慮している。在籍する院生の研究テーマ、これまでの卒論・修論などについては、「院生・学生」のぺージを参照されたい。
大学院生に要求される条件として、科学の学説内容を理解できるだけの科学的知識だけでなく、語学力や文献解読の能力という人文学特有の能力も必須である。科学を知らずに科学哲学や科学史をやることが無謀であるのと同様、科学の古典的著作を読みこなすための人文学的素養を軽視することも無謀である。例えば、18世紀以前の西欧科学を研究するにはラテン語は必修である。研究テーマによっては、その他の言語を修める必要が出てくるかもしれない。似たようなことは科学哲学についても言える。時空論をやるには相対論を勉強せずにすませることはできないし、19世紀以後の科学哲学を検討するときに確率論の知識は必要である。修士課程に入る段階でこういう条件が満たされていることは期待しないが、その条件を自分の研究の必要に応じて将来満たしていく心構えはほしい。