(本年度学生便覧より抜粋)
◆講義◆
池田秀三(教授) 中国哲学史講義
中国文化の中核たる哲学・思想の学習・理解を通して、中国さらには東アジア全体の文化に対する認識と洞察を深める。前期は、中国哲学・思想の全体的特質とその思考様式を鳥瞰的に概説し、あわせて中国哲学史の研究方法を、中国古典文献学に重点を置きつつ解説する。後期は、中国哲学史上の主要な思想家および書物を取り上げ、通史的に概説する。本年度は明代の思想を対象とする。
◆講読◆
宇佐美文理(助教授) 中国哲学史講読
論語の注釈書のひとつ、梁・皇侃の『論語集解義疏』を読む。漢文読解力の養成を目的とし、目録学などの基礎的知識を解説しつつ、丁寧に漢文を読んでいく。
◆特殊講義◆
池田秀三(教授) 禮學略説
中国の学術・思想を理解するためには、禮學に対する造詣が不可欠である。本講では、黄侃『禮學略説』を精読し、禮學書の文章に習熟することを目指すとともに、禮書・禮學者・禮制等を中心に禮學に関する諸問題を講述する。なお、演習形式も取り入れるので、受講者は漢文読解の基礎力を修得していることが望ましい。
宇佐美文理(助教授) 中国藝術理論史研究
中国の芸術理論について、絵画理論を中心に時代を追って講述する。関係するテキストを読み、問題点を考えることが中心となるが、作品の紹介・解説、あるいは思想史上の問題点との関係や、文学理論、書論等にもふれつつ進めていく。今年度は昨年度に引き続き、論語からの予定。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 中国医学の理論構造とその思想的背景
中国医学の史的展開を概観しながら、理論構造の特色及びその思想的背景を探る。本年度は、先秦から隋唐に至るまでの間にどのような変遷があったかを考察する。主な話題としては、黎明期の医学と養生思想の関係、馬王堆・張家山出土医書から『黄帝内經』へ、薬物療法と煉丹術、隋唐の医書における疾病体系の特色と限界性等である。
船山徹(協力講座・人文科学研究所教授) 中国仏教思想史の研究
六朝隋唐期の仏教思想史を、インド仏教史との関わりのもとに、様々な観点から考察する。本年度は、とくに仏典の四大漢訳者の一人に数えられる眞諦譯の特徴、テキスト成立の諸問題、眞諦の思想的立場等を検討しながら、『婆藪槃豆法師傳』(ヴァスバンドゥの伝記)その他を精読する。
水上雅晴(講師・集中) 幕府体制と清代学術
地方官が築く行政・司法機構である幕府に関しては、政治史・制度史の観点から研究がなされることは多いが、その学術史的意義が論じられることは少ない。本講義では、幕府の構成員たる幕友の活動実態を中心に検討を加え、清代における考証的な学問の発展に幕府制度が果たした役割についてその一端の解明を試みる。
◆演習◆
池田秀三(教授) 『漢学商兌』
清の朱子学者方東樹の漢学批判書『漢学商兌』を、訓詁と典故に注意しつつ精読する。
文言読解力の向上を図るとともに、漢学と宋学それぞれの主張・論法を通して清代学術のあり方および性格を知る手掛かりを得ることを目的とする。
担当者は必ず訳注等の発表資料を準備すること。また、単位認定は平常点によるので、
受講者は毎回出席のこと。
宇佐美文理(助教授) 『困學紀聞』
王應麟『困學紀聞』を読む。なお、翁元圻の注をあわせ読む。
麥谷邦夫(人文科学研究所教授) 道教思想資料
道教思想にかかわる基本文献のうち、主に『無上秘要』『三洞珠嚢』『道教義枢』『雲笈七籤』などの類書の関連部分を読みながら、あわせて道教教理思想の基本概念について講ずる。
西脇常記(総合人間学部教授) 志磐撰『佛祖統紀』「法運通塞志」
『佛祖統紀』は、南宋の末期に志磐が撰述した天台宗の立場からの仏教歴史書である。その中で「法運通塞志」は、中国社会における仏教の興隆と衰退を記録した通史として、編年体で書かれている。これを読みつつ、儒教、道教と仏教の関係を明らめ、ひいては中国思想の特質を考える。