2006年度の授業

2006年度の授業

(本年度学生便覧より抜粋)

◆講義◆

池田秀三(教授) 中国哲学史概説

中国文化の中核たる哲学・思想の学習・理解を通して、中国さらには東アジア全体の文化に対する認識と洞察を深める。

【講義の概要】

前期は、中国哲学・思想の全体的特質とその思考様式を鳥瞰的に概説し、あわせて中国哲学史の研究方法を、中国古典文献学に重点を置きつつ解説する。後期は、中国哲学史上の主要な思想家および書物を取り上げ、通史的に概説する。本年度は先秦時代の思想を対象とする。

【授業項目】

前期:中国哲学・思想の特質(現実主義、合理主義、人間主義、中庸の尊重、天人合一、知行合一)、儒教の宗教性、中国の思考様式(経験重視の帰紊法、待対論、経と権、修辞学と説得術、経学的思考法、西洋的論理との相違)、中国哲学史の研究法(哲学思想史、政治思想史、倫理思想史、社会思想史、学術史それぞれの立場とその総合)、中国古典(漢文文献)の取り扱い方(中国文献学の初歩的概説)

後期:周代の天命思想、春秋時代における合理的思想の抬頭、孔子、孟子、荀子、老子、荘子、楊朱、墨子、吊家、韓非、陰陽五行思想、近年の出土資料

◆講読◆

宇佐美文理(助教授) 論語集解義疏

『論語』の代表的な注釈の一つ、皇侃の『論語集解義疏』を読む。出典などを丹念に調べながら、丁寧に読んでいく。漢文読解に必要となる基礎的な学力の養成を目標とする。

◆特殊講義◆

池田秀三(教授) 礼学略説

中国の学術・思想を理解するためには、礼学の基礎知識が上可欠である。本講では、民国初期の国学者黄侃の著した『礼学略説』を精読しながら、礼書・礼学者・礼制を中心に礼学の基礎知識を講述する(昨年よりの継続)。

なお、演習形式も取り入れるので、受講者は漢文読解の基礎力を修得していることが望ましい。

宇佐美文理(助教授) 中国藝術理論史研究

中国藝術理論史に関わる様々な言説を、絵画理論を中心に取り上げつつ講述し、その問題点を考える。今年度は漢魏六朝時代を中心に取り上げる。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 術数学の学問的輪郭

中国特有の学問分野である術数学は、易を中核とする占術と天文暦数学、医薬学等の科学知識とが複合したものであり、哲学、宗教と科学の境界領域においてきわめてユニークな発展を遂げた。その形成と史的展開を考察することで学問的輪郭を明確にし、理論構造の特色を探る。主な論題は以下の通りである。

・東西科学比較文化論の視座

・新出土資料からみた黎明期の科学

・方術から術数学へ

・漢代の思想革命と科学知識

・後漢の科学者と占い師たち

・中世術数書の問題圏

・陰陽道の理論源

・医術とまじないのあいだ

・先天易の数理 術数学の近世的展開

・質測と通幾 西学と象数学の出逢い

船山徹(協力講座・人文科学研究所助教授) 仏教漢文とインド・中国仏教史

漢文仏典は、中国仏教研究とインド仏教研究のいずれからみても必須の歴史的資料である。この授業では、実際に具体的文献を読みながら、漢文仏典を扱う際の基本的注意事項を習得することを目指す。本年度は、六世紀前半の梁の武帝によって編輯された『出家人受菩薩戒法巻第一』という敦煌写本を取り上げ、大乗戒の受戒儀礼の詳細を、原文に即して理解する。

神塚淑子(講師・集中) 六朝道教思想研究

東晋中期以降、多くの道教経典が作られ、唐代の道教興隆の基礎が築かれた。本講義では、六朝期に作られた上清経と霊宝経を中心に、それぞれの形成の背景とその思想的特質、および後世に及ぼした影響などについて考察する。

◆演習◆

池田秀三(教授) 姚椿『国朝文録』

清朝文総集の代表の一たる『国朝文録』を読む。

清朝学人のさまざまな論題や文体の文章を精読することにより、古典読解力の向上を図るとともに、伝統的学術に対する幅広い素養を得ることを目標とする。

担当者は必ず訳注等の発表資料を準備すること。また、単位認定は平常点によるので、履修希望者は毎回出席のこと。

宇佐美文理(助教授) 日知録集釈

顧炎武の『日知録』を読む。なお、黄汝成の注をあわせ読む。

麥谷邦夫(協力講座・人文科学研究所教授) 道教思想資料

本年度は、唐杜光庭撰『道教霊験記』を読む。

他年度の講義へ
トップページへ戻る