2010年度の授業

（本年度学生便覧より抜粋）

◆講義◆

宇佐美文理（准教授）>　中国哲学史講義

【講義の概要】

中国哲学史における主要な問題を順次後述する。中国哲学の主な概念や考え方を知り、さらには中国文化全体に対する知識と理解をふかめることを目的とする。

【授業項目】

以下にあげる項目について、適宜基本的な文献をプリントして配布し、それを読みつつ、後述していく。中国における学術と哲学の関係/目録学と学術/気の思想の概略/中国人の死生観/天と自然/人間の本性についての議論/道をめぐる議論/価値をめぐる議論/無とはなにか/経書には何が書かれているのか（易・書・詩・礼・春秋）/論語と孔子/儒学の展開（漢代経学・朱子学・陽明学・清朝考証学）/司馬遷と史学思想/中国思想と文学・芸術の関わり/自然科学と中国術数学/中国における宗教的なるものの意味/養生思想と道教/中国仏教の特徴/

◆講読◆

池田秀三（教授）　　焦循『孟子正義』

中国古典を訓読によって読むための基礎的訓練を行い、漢文読解力の習得と向上を目的とする。テキストは『孟子』の代表的注釈書たる焦循『孟子正義』を用いる。代表的思想家たる孟子の思想に触れるとともに、中国古典の中心たる注釈書の様式・形態に慣れるためである。

◆特殊講義◆

池田秀三（教授）　礼学略説

中国文化の中核は儒学であり、その儒学の根幹をなすものは礼学である。したがって中国思想の研究には礼学の知識が必須不可欠である。本講義では、文献・制度・学説史等、礼学における重要事項を概説し、礼学に対する基礎的知識の獲得を図る。

宇佐美文理（准教授）　芸術の目録学

中国の知識人達が、芸術、なかでもとりわけ絵画という芸術をどのような意識で見てきたのかということを、芸術の目録の歴史の変遷と、蔵書目録に見られる絵画関係書の解題の内容という二つの観点から考える。

武田時昌（協力講座・人文科学研究所教授）　中国古代における科学と占術のあいだ

中国では、自然科学の諸分野が易やそれに派生する占術と複合した術数学と呼ばれるユニークな学問分野を形成した。先秦から後漢末における自然探求と易学、占術の諸様相を窺い、術数学の形成過程と理論構造の特色を探る。

船山徹（協力講座・人文科学研究所教授）　中国仏教における翻訳（漢訳）―その方法論と実態

中国仏教は、インドのサンスクリット語その他から翻訳された文献すなわち漢訳仏典を基礎にして発達した。この授業では主に後4世紀から7世紀を中心に、漢訳仏典というものの特徴を概観し、その問題点を考察する。

井波陵一（協力講座・人文科学研究所教授）　漢籍目録を「読む」ために

漢籍のカード作成要領を解説することにより、「菊を採る」人が「悠然として南山を見る」が如く、個々の研究テーマを包み込む中国学全般に対して、皆さんがおのずと目を向けるきっかけを作る。

◆演習◆

池田秀三（教授）　姚椿『国朝文録』

清朝散文総集の代表的一つである姚椿『国朝文録』をを精読する。本書を精読することによって、清士大夫たちの抱いていた様々な思想的課題を知るとともに、多様な文体に触れることにより古典読解力の幅を広げ、より高度な読解力を養うことを目的とする。

宇佐美文理（准教授）　翁注困学紀聞

考証学の先駆的著作とも言われる王應麟の『困学紀聞』を精読する。出典に細かく当たりながら読むことによって、中国古典学に対する理解を深めるとともに、漢文読解力を養成する。

麥谷邦夫（協力講座・人文科学研究所教授）　道教思想資料

六朝後半から隋・初唐にかけての時代は、道教が仏教教理の影響を受けつつも、自己の教理体系を形成・展開していった重要な時期にあたる。この時期の道教の思想・教理を理解するための基本的文献を選んで精読する。

池田秀三（教授）　春秋左傳正義

注疏の学が中国哲学の基本中の基本たること、昔も今も変らない。本演習はその代表の一つ、『春秋左傳正義』を講読し、注疏の文章に習熟することによってより高度な漢文力を習得するとともに、中国思想をして中国思想たらしめる所以の経学的思考法への理解も深める。

古勝隆一（人文科学研究所准教授）　魏晋思想文献を読む

魏晋南北朝時代（３－６世紀頃）に世に現れた思想文献のうち、代表的なものを幾つか選んで読解する。文言文読解の基礎を養うとともに、中国思想の基本的な概念と議論とを理解することを目的とする。

木下鉄矢（非常勤講師）　魏晋思想文献を読む

朱熹の『大学章句』および『朱子語類』巻第一六「大学三」を精読します。朱熹の思索がいかなる活動であったのか、その語彙選択の深層、発想の現場、その理路の主軸と展開を「読み」の遂行の中で生き生きと発見していく「読みの現場」を自ら展開しうる能力を養う。

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