2011年度の授業

2011年度の授業(当年度講義題目より抜粋)

◆講義◆
池田秀三(教授) 中国哲学史講義
中国文化の中核たる哲学・思想の全体的特色とその研究方法を講述する。中国思想の理解を通して、中国さらには東アジア全体の文化に対する認識と洞察を深めることを目的とするが、とくにいわゆる「中国的思考」とは何かについて知ることを主要な目標としたい。

◆講読◆
池田秀三(教授) 孟子正義
中国古典を訓読によって読むための基礎的訓練を行い、漢文読解力の修得と向上を目的とする。テキストは『孟子』の代表的注釈書たる焦循『孟子正義』を用いる。代表的思想家たる孟子の思想に触れるとともに、中国古典の中心たる注釈書の様式・形態に慣れるためである。

◆特殊講義◆
宇佐美文理(准教授) 芸術の目録学
中国の知識人達が、藝術、なかでもとりわけ絵画という藝術をどのような意識で見てきたのかということを、藝術の目録の歴史の変遷と、蔵書目録に見られる絵画関係書の解題の内容という二つの観点から考える。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 中国古代における科学と占術のあいだ
中国では、自然科学の諸分野が易やそれに派生する占術と複合した術数学と呼ばれるユニークな学問分野を形成した。先秦から後漢末における自然探究と易学、占術の諸様相を窺い、術数学の形成過程と理論構造の特色を探る。
宇佐美文理(准教授) 内藤湖南の絵画論
内藤湖南の行った講義録「支那絵画史」は、湖南の歴史かとしての面目躍如たる作品となっているが、同時に湖南が目睹した絵画作品に書き記した題跋は、「支那絵画史」には見られない自由な発想による絵画に対する斬新な見方を随所に見せている。本講義では、湖南の画跋を読みながら、湖南の絵画論を考えていく。また、2011年度には、関西の中国書画を所蔵する美術館博物館九館が、中国書画に特化した特別展を連続して開くという非常に稀な鑑賞のチャンスである年なので、その特別展に合わせて、美術館博物館を訪れ、内藤湖南が書画跋を書いた作品を中心に、実作品を見ることによって、中国書画に対する知識と感性を深めることを目指す。
船山徹(協力講座・人文科学研究所教授 『梵網経』の思想と影響
『梵網経』は西暦五世紀頃に中国で成立した経典である。東アジアの仏教史とくに戒律に関する歴史は『梵網経』の上に成り立っている。この授業ではこのテキストに焦点を当て、その特徴について文献学的、思想史的に検討を加え、同経の成立に関わる様々な問題点もとりあげる。
井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授)
漢籍目録の作成要領および四部分類法を理解することを通じて、中国学の基礎構造を把握する。

◆演習◆
池田秀三(教授) 姚椿『國朝文録』
清朝散文総集の代表的一つである姚椿『國朝文録』を精読する。本書を精読することによって、清代士大夫たちの抱いていた様々な思想的課題を知るとともに、多様な文体に触れることにより古典読解力の幅を広げ、より高度な読解力を養うことを目的とする。
宇佐美文理(准教授) 翁注困学紀聞
考証学の先駆的著作とも言われる王應麟の『困学紀聞』を精読する。出典に細かく当たりながら読むことによって、中国古典学に対する理解を深めるとともに、漢文読解力を養成する。
麥谷邦夫(協力講座・人文科学研究所教授) 道教思想資料
六朝後半から隋・初唐にかけての時代は、道教が仏教教理の影響を受けつつも、自己の教理体系を形成・展開していった重要な時期にあたる。この時期の道教の思想・教理を理解するための基本的文献を選んで精読する。
古勝隆一(協力講座・人文科学研究所准教授) 『周易正義』を読む
唐代初期の孔穎達らが編纂した『易』の注釈、『周易正義』を会読する。特に、中国思想を理解する上で必須の文献である『易』繋辞伝を選び、その本文を読み進めるが、注釈の読み方、及びその思想をも同時に読解してゆく。『周易正義』の読解を通して、文言文読解の基礎を養うとともに、中国思想の基本的な概念と議論とを正確に理解することを目的とする。
木下鉄矢(総合地球環境学研究所特別客員教授) 中庸章句・朱子語類
朱熹の『中庸章句』および『朱子語類』巻第六十二「中庸一」以下を精読します。朱熹の思索がいかなる活動であったのか、その語彙選択の深層、発想の現場、その理路の主軸と展開を「読み」の遂行の中で生き生きと発見して行く「読みの現場」を自ら展開しうる能力を養う。

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