2020年度授業概要

系共通(学部)

伊藤和行「科学史入門I」(講義)(前期水2)

〔授業の概要・目的〕
科学とは時間や空間を超えた普遍的なものと一般にみなされている.しかし人間の営みである以上,科学も歴史のなかで誕生し発展してきたものであり,その成果も歴史的な文脈によって規定されている.
近代科学は,17世紀西欧社会において誕生したと考えられている.近世日本(江戸時代)における自然研究および近代日本(明治時代)への西欧科学の導入を,当時の歴史的文脈の中で理解することは,現代科学の理解にとっても重要である.
〔授業計画と内容〕
本講義では,近世日本における科学の発展を,17世紀から20世紀初頭(江戸時代から明治・大正期)までたどり,どのようにして近代西欧科学が日本に移入され,定着されていったのかを考察する.
以下の項目に従って進める予定である.

  • (1) イントロダクション(第1回)
  • (2) 西欧における科学の誕生と発展(第2回)
  • (3) 江戸時代の科学(第3回~第8回)
    • 1. 天文学
    • 2. 医学
    • 3. 蘭学と洋学
  • (4) 近代日本の科学(第9回~第14回)
    • 1. 明治維新前後の科学
    • 2. 明治期日本の西洋科学の導入
    • 3. 大正期日本における科学の定着
  • (5) フィードバック(第15回)
伊藤和行「科学史入門II」(講義)(後期水2)

〔授業の概要・目的〕
科学とは時間や空間を超えた普遍的なものと一般にみなされている.しかし人間の営みである以上,科学も歴史のなかで誕生し発展してきたものであり,その成果も歴史的な文脈によって規定されている.
とりわけ近代科学は17世紀西欧社会において誕生したと考えられ,「科学革命」と呼ばれている.「科学革命」を当時の歴史的コンテキストの中で科学的活動を理解することは,現代科学の理解にとっても重要である.
〔授業計画と内容〕
本授業では,西洋世界における科学の歩みを,古代ギリシアから17世紀「科学革命」までたどる.
具体的には,近代科学誕生の際に中心となった天文学と運動論の歴史的変遷を考察する.
次のような計画に従って講義を進める予定である.

  • 1. イントロダクション(第1回)
  • 2. 天文学の歴史(第2回~第7回)
    • 2-1. 天体の運動について
    • 2-2. 古代の天文学:地球中心説(プトレマイオスの理論)
    • 2-3. 近代の天文学:太陽中心説(コペルニクスからガリレオへ)
  • 3. 運動論の歴(第8回~第14回)
    • 3-1. 古代・中世の運動論:アリストテレスと中世の哲学者たち
    • 3-2. 近代の運動論:ルネサンスの技術者とガリレオ
  • 4. 17世紀科学革命:ニュートンと近代力学の誕生(第13・14回)
  • 5. フィードバック(第15回)
伊勢田哲治「 科学哲学入門(上)」(講義)(前期水3)

〔授業の概要・目的〕
科学哲学は「哲学」という視点から「科学」に切り込む分野である。本講義では、多様化のすすむ科学哲学のさまざまな研究領域を紹介し、受講者が自分の関心に応じて今後掘り下げていけるような「入り口」を提供する。 前期の講義においては、科学とはなにかという問題、科学的推論や科学的説明をめぐる問題を、科学全体に関わるテーマと個別の領域に関わるテーマに分けて論じる。
〔授業計画と内容〕
以下のそれぞれのテーマに2~3週をかけて論じる。

  • 1 科学とは何か
  • 2 科学的推論
  • 3 個別科学における科学的推論
  • 4 科学的説明
  • 5 個別科学における科学的説明
伊勢田哲治「 科学哲学入門(下)」(講義)(後期水3)

〔授業の概要・目的〕
科学哲学は「哲学」という視点から「科学」に切り込む分野である。本講義では、多様化のすすむ科学哲学のさまざまな研究領域を紹介し、受講者が自分の関心に応じて今後掘り下げていけるような「入り口」を提供する。 後期の授業では科学的実在論や科学の変化、科学と価値などのテーマを順にとりあげ、関連する個別科学におけるテーマも検討する。
〔授業計画と内容〕
以下のそれぞれのテーマに2~3週をかけて論じる。

  • 1 実在論と反実在論
  • 2 個別科学における実在論問題
  • 3 科学の変化と科学革命
  • 4 個別科学における変化の問題
  • 5 科学と価値

*特殊講義(学部・大学院共通)

伊藤和行「ガリレオの運動論」(特殊講義)(前期木2)

[授業の概要・目的]
この授業では,17世紀科学革命の中心的人物であるガリレオ・ガリレイ(1564-1642)の数学的運動論について検討する.彼の主著である『世界系対話』と『新科学論議』を中心に,彼の運動論の内容を検討し,新しい自然研究の方法について考察する.
[授業計画と内容]

  • 1:イントロダクション(第1・2回)
    • 17世紀革命とガリレオの科学的業績(第1回)
    • ガリレイの人生と業績(第2回)
  • 2:『世界系対話』における運動の問題(第3回~第8回)
    • 慣性法則(第3・4回)
    • 落下法則(第5・6回)
    • 運動の合成(第7・8回)
  • 3:『新科学論議』における数学的運動論(第9回~第14回)
    • 均等運動(第9・10回)
    • 自然加速運動(第11・12回)
    • 投射体の運動(第13・14回)
  • 4:フィードバック(第15回)
○伊藤和行「近代日本におけるX線撮影装置の開発特殊講義)(後期木2)

〔授業の概要・目的〕
この授業では,19世紀末にX線が発見され,医療分野で診断に用いるためにX線撮影器械が移入・開発された過程を検討する.とくに島津製作所に焦点を当て,明治・大正期における日本の科学技術の発展について考察する.
〔授業計画と内容〕

以下の項目に従って進める予定である.

  • 1:イントロダクション(第1・2回)
  • 2:明治・大正期の科学技術の発展の概要(第3回~第5回)
  • 3:X線の発見と20世紀初頭の物理学(第6回~第8回)
  • 4:日本におけるX線撮影装置の導入と発展
    • 村岡範為馳とX線写真の撮影(第9回~第11回)
    • 島津製作所による医療用X線撮影装置の開発(第12回~第14回)
  • 5:フィードバック(第15回)
伊勢田哲治科学哲学入門上級」(特殊講義)(前期金2)

〔授業の概要・目的〕

この特殊講義においては科学哲学の古典的な論文や基礎的な論文を中心とした講義を通して、科学哲学という分野に入門することをめざします。具体的には、前半ではポパー、クーン、ヘンペルら科学哲学という分野を作ってきた哲学者たちの古典的な論文を核として、その背景についてレクチャーを行います。後半では、近年注目を集める研究領域からいくつかをピックアップし、関連する基礎文献をリーディングとしつつ、背景や現在の諸問題との関わり(特に日本という文脈での含意)についてレクチャーを行います。こうした文献の読解とレクチャーを通して、科学哲学という分野の広がりを知ってもらうことがこの授業のねらいです。

〔授業計画と内容〕

授業は日本語と英語で行われます。

  • 第一部 科学哲学の成り立ち
    • 1理論と証拠の関わり(3週)
    • 2科学革命論(2週)
    • 3デュエム=クワインテーゼ(2週)
  • 第二部 科学哲学のさまざまな基礎的課題
    • 4 科学的実在論の近年の展開 (2週)
    • 5 シミュレーションの哲学(2週)
    • 6 モード2研究の哲学(2週)
    • 7 人工知能の科学哲学(1週)
  • まとめ(1週)
伊勢田哲治「疑似科学の哲学  」(特殊講義)(後期金2)

〔授業の概要・目的〕

科学のようで科学でない領域、いわゆる疑似科学は長らく科学哲学の1つの関心領域となってきた。特に、ポパーの設定した「境界設定問題」において、科学と疑似科学の境界設定は中心的なテーマとなった。1980年代以降このテーマの研究は下火となっていたが、近年『疑似科学の哲学』というアンソロジーが編まれるなど、この問題への関心は再び高まりつつある。〔授業計画と内容〕
以下のようなテーマを扱う予定(一項目に1-2週かける)

  • 第一部 歴史的背景
    • 1 境界設定問題の歴史(1回)
    • 2 疑似科学概念の歴史 (1回)
  • 第二部 古典的論文
    • 3 ポパーの定式化(2回)
    • 4 クーンらの対案(1回)
    • 5 ルースと創造科学(1回)
    • 6 ラウダンの「薨去」論文(1回)
    • 7 境界確定作業の社会学(1回)
  • 第三部 近年の展開
    • 8 近年の再定義の試み(2回)
    • 9 プラグマティックアプローチ(2回)
    • 10 疑似科学にまつわる現在の問題(2回)
  • 11 まとめ(1回)
○田中泉吏「「生物学の哲学」から「生物の哲学」へ」(特殊講義)(前期集中)

〔授業の概要・目的〕
「生物学の哲学」は科学哲学の一分野として1980年代に成立し、今日に至るまで盛んに研究が行われてきた。その中では主として生物学の基本的な概念や理論、方法論に関する詳細な分析が行われ、科学に関する哲学的な理解が深められている。その一方で、従来の生物学の哲学における研究はもっぱら進化論に注目し、一部の動植物を偏重するきらいがあると指摘されもする。本講義ではこの反省を踏まえ、生物学の哲学におけるアンバランスの是正を目指す。さらに、その過程で、生物界の多様性を真摯に受け止め、可能な限り幅広い分野と多種の生物を視野に収めた「生物の哲学」の可能性も模索したいと考えている。
〔授業計画と内容〕

  • 1. 「生物学の哲学」から「生物の哲学」へ(3回)
  • 2. 微生物の哲学(4回)
  • 3. 植物と菌類の哲学(4回)
  • 4. 動物の哲学(4回)

*特殊講義(大学院)

伊勢田哲治「科学技術と社会に関わるクリティカルシンキング」(大学院横断科目)(後期木2)

〔授業の概要・目的〕
伊勢田ほか編『科学技術をよく考える』をテキストとして、科学技術と社会の接点で生じるさまざまな問題についてディスカッションを行い、多面的な思考法と、思考の整理術を学んでいく。理系の大学院のカリキュラムでは、科学と社会の関わりについて学ぶ機会はそれほど多く与えられない。他方、東日本大震災後の状況に特に顕著にあらわれているように、科学技術が大きな影響をおよぼす現在の社会において、研究者が自らの研究の社会的含意について考えること、アカデミズムの外の人々と語り合うことの必要性は非常に高まっている。そうした必要性に答えるため、広い視野と適切な思考の技術を持った大学院生を養成することが本授業の目的である。
〔授業計画と内容〕
授業はテーマにそったグループディスカッション、全体ディスカッション、講義、演習の組み合わせで行われる。
テキストは以下の10のテーマから構成されているが、本授業ではそのうち6つをとりあげ、関連する知識やスキルとあわせて各2回程度を使って議論を行う。
・遺伝子組み換え作物         ・脳科学の実用化
・喫煙                ・乳がん検診
・血液型性格判断           ・地球温暖化
・地震予知              ・宇宙科学・技術への公的投資
・動物実験              ・原爆投下の是非を論じること自体の正当性
取り上げる題材は受講者の興味も踏まえて決定する。初回に前半のテーマ3つを決定する。5回目の授業で後半のテーマ3つを決定する。

*演習(学部・大学院共通)

○伊藤和行「19世紀前半のイギリスにおける「恐竜」の発見と古生物学の発展見」(演習)(前期火3)

〔授業の概要・目的〕
この授業では,19世紀前半イギリスにおける「恐竜」の発見という事件を取り上げ,この時代の古生物学の発展に関する理解を深める.この「発見」には、Gideon Mantell,William Buckland,Mary Anning,Richard Owenら複数の人物が関係していたことが知られており,同時発見の具体的事例として考察する.

〔授業計画と内容〕

イントロダクションののち,Mantell,Buckand,Owenらの英語論文を読解する.
以下の項目に従って進める予定である.

  • 1:イントロダクション(第1・2回)
    • 19世紀前半の生物学,とくに古生物学の歴史的概要
    • 恐竜学の誕生と歴史
  • 2:関係論文読解(第3回~第14回)
    • Mantell (1825). “Notice on the Iguanodon, a newly discovered fossil reptile, from the sandstone of Tilgate forest, in Sussex”.
    • Buckland (1824). ”Notice on the Megalosaurus or great Fossil Lizard of Stonesfield”
    • Owen (1842). “Report on British Fossil Reptiles. Part II”
  • 3:フィードバック(第15回)
○伊藤和行「ガリレオ『世界系対話』における自然研究」(演習)(後期火2)

〔授業の概要・目的〕
この授業では,17世紀を代表する科学者であるガリレオ・ガリレオの『世界系対話』の原典(イタリア語)読解を通じて宇宙論の革新と,新しい自然研究の誕生過程に関する理解を深める.

〔授業計画と内容〕

最初の2回程度をイントロダクションにあて,以後ガリレオの『世界系対話』を講読する.

以下の項目に従って進める予定である.

  • 1:イントロダクション(第1・2回)
    • 17世紀科学革命とガリレオの業績
    • 『世界系対話』の概要
  • 2:『世界系対話』の読解(第3回~第14回)
    • Dialogo sopra i due massimi sistemi del mondo, 1632.
  • 3:フィードバック(第15回)
○伊勢田哲治「歴史科学と科学的実在論 」(演習)(前期金3)

〔授業の概要・目的〕
科学哲学の近年のトピックとして、文理を問わず過去の出来事の流れを研究する領域(古生物学、地質学、考古学、歴史学、古文書学など)を「歴史科学」というカテゴリーでくくる考え方が広まりつつある。この演習では歴史科学の哲学の代表的研究者であるデレク・ターナーの『先史時代を作る』を手がかりに、過去を再現するという営みにまつわる哲学的な諸問題について考え、理解を深めていく。
〔授業計画と内容〕
以下のテキストを輪読形式で読み、内容についてディスカッションを行う。
Turner, D. (2007) Making Prehistory: Historical Science and the Scientific Realism Debate. Cambridge University Press.
第1章、第2章、第3章、第6章を主に読む。
基本的に一回の授業でテキスト15ページ程度を読み、それについてディスカッションする形ですすめる。学生は一人ないし複数で一回の発表を担当する(担当者は事前に決めておく)。
授業の進行は以下のとおり
イントロダクション(1回)
学生による発表担当(13回)
まとめ(1回)

伊勢田哲治「科学哲学の現在の諸課題」(演習)(後期金3)

〔授業の概要・目的〕
本演習では、受講生が現在の研究関心にそった英語論文を各自持ち寄り、それについてディスカッションする形で、科学哲学の現在の諸課題について理解を深めていく。

〔授業計画と内容〕
授業は受講生が毎回1名発表担当する形ですすめる。担当順は初回の授業で決定する。
担当者は、自分の研究との関わりで自分が現在読んでいる(これから読む、最近読んだ、でも可)論文を1つ発表用に選択する。選択した論文は事前に(できれば2週間前に)受講生全員に配布し、他の受講生もできるかぎり授業までにその回紹介される論文を読んでくる。
授業では、担当者はおおむね1時間で論文の内容を紹介し、残りの30分でその論文についてのディスカッションを受講者全員で行う。
論文の選択基準は以下のとおり
・広い意味で科学哲学に関するものであること(哲学的な論点を含む限りにおいて、各分野の基礎論的な論文や、科学史や科学技術社会論の論文も可)
・英文で15-20ページ程度を目安とすること。(学部生についてはもう少し短いものも可)
・邦訳のない論文を選ぶこと(学部生については邦訳のある論文でも可)
授業の進行は以下のとおり
イントロダクション(1回)
学生による発表担当(13回)
まとめ(1回)

瀬戸口明久「客観性と自己の科学思想史」(演習)(後期火3)

〔授業の概要・目的〕
サイエンスカフェとは、飲み物を片手に研究者と市民が気軽に科学について語り合うイベントである。研究者の講演が中心になる講演会などと異なり、参加者とのあいだの双方向的なやりとりや対話が重視される点に特徴がある。狭義の科学にかぎらず、人文社会系の学問もふくめた幅広いテーマが扱われる。イギリス、フランスではじまったサイエンスカフェは、日本でも2005年以降に急速に広がり、現在、全国各地で開催されている。
サイエンスカフェの普及の背景には、この数十年のあいだに科学技術と社会との関係がおおきく変化してきたことがある。社会にとって重要な問題を専門家や行政だけで決めるのではなく、そのプロセスに市民が関与することが重視されるようになってきた。そのような研究者と市民のコミュニケーションに取り組むのがサイエンスコミュニケーションである。
本授業では、サイエンスカフェに代表されるよう近年のサイエンスコミュニケーションの動向や課題について検討するとともに、実際に受講生でサイエンスカフェ(あるいは類似の対話型のイベント)を企画する。

〔授業計画と内容〕

  • 第1回 イントロダクション
    演習の概要について話す。自己の歴史、視覚のテクノロジーとしての科学という視点、本書の意義について紹介する。
  • 第2回~第14回 Objectivityの講読。
○中村征樹「サイエンスコミュニケーション演習」(演習)(後期月2)

〔授業の概要・目的〕
サイエンスカフェとは、飲み物を片手に研究者と市民が気軽に科学について語り合うイベントである。研究者の講演が中心になる講演会などと異なり、参加者とのあいだの双方向的なやりとりや対話が重視される点に特徴がある。狭義の科学にかぎらず、人文社会系の学問もふくめた幅広いテーマが扱われる。イギリス、フランスではじまったサイエンスカフェは、日本でも2005年以降に急速に広がり、現在、全国各地で開催されている。
サイエンスカフェの普及の背景には、この数十年のあいだに科学技術と社会との関係がおおきく変化してきたことがある。社会にとって重要な問題を専門家や行政だけで決めるのではなく、そのプロセスに市民が関与することが重視されるようになってきた。そのような研究者と市民のコミュニケーションに取り組むのがサイエンスコミュニケーションである。
本授業では、サイエンスカフェに代表されるよう近年のサイエンスコミュニケーションの動向や課題について検討するとともに、実際に受講生でサイエンスカフェ(あるいは類似の対話型のイベント)を企画する。

〔授業計画と内容〕

  • 1回 ガイダンス
  • 2~3回 講師によるサイエンスコミュニケーションに関する講義
  • 4~8回 受講生による文献紹介
    • サイエンスコミュニケーションやサイエンスカフェに関する文献の紹介
  • 9~12回 サイエンスカフェの企画・立案
    • 3名程度のグループをつくり、サイエンスカフェの企画を立案する
  • 13~14回 サイエンスカフェ企画案のプレゼンテーション
  • 15回 議論の総括

なお、授業の進捗と受講者の状況によって、上記の予定を変更することがある。

○標葉隆馬「定量テキスト解析を用いた社会科学的アプローチ入門-科学社会学的展開の可能性」(演習)(前期集中)

〔授業の概要・目的〕
現代において、新聞記事、Twitter、ブログ、議事録、アンケートの自由記述データなど様々なテキストデータが活用可能となってきている。
本演習では、テキストデータに関する量的分析を実際に体験し,定量テキスト分析に関するデータの理解と実践力を深める。
具体的には、サンプルデータを用いた分析実習・体験を交えながら、テキスト分析を活用した社会調査の方法論の基礎を習得すると共に、テキストデータを用いた社会調査の基礎的な理論・考え方についての理解を深めていく。

〔授業計画と内容〕

  • 1.メディアテキストを分析することの意味 本講義における基本的テーマや関心事項について共有すると共に,「言葉」に注目する分析アプローチの特徴について概説する。とりわけ「言葉」を量的に分析することについての基礎的な約束事項の理解を目指す。また分析に必要となるツールやデータの特性について理解する。
  • 2.定量テキスト解析の技法①:新聞記事テキストのサンプルデータを用いて,頻度分析、クラスター解析、対応分析、共起ネットワーク分析を体験する。
  • 3.定量テキスト解析の技法②:新聞記事テキストのサンプルデータを用いて,頻度分析、クラスター解析、対応分析、共起ネットワーク分析を体験する。
  • 4.先行研究事例を知る①:東日本大震災を巡るメディアテキストデータの実際の分析事例から、定量テキスト分析の活用方法や得られる知見特性について学ぶ。
  • 5.新聞記事データ収集実践①:データベースから取得した新聞記事テキストデータは,そのままでは分析しづらい状態のデータであることも多い。この回では,以降の分析に使用できる状態にテキストデータを加工し,注目するキーワードの抽出,またその出現状況データの取得を行うプロセスを実際に体験する。
  • 6.新聞記事データ収集実践②:データベースから取得した新聞記事テキストデータは,そのままでは分析しづらい状態のデータであることも多い。この回では,以降の分析に使用できる状態にテキストデータを加工し,注目するキーワードの抽出,またその出現状況データの取得を行うプロセスを実際に体験する。
  • 7.内容分析を体験する①:新聞記事テキストデータを用いて,内容分析について実際に行う。
  • 8.内容分析を体験する②:新聞記事テキストデータを用いて,内容分析について実際に行う。
  • 9.中間まとめ:分析結果の書き方を学び、ここまでに体験した新聞記事分析結果のまとめ方と解釈について検討する。
  • 10.実践練習①:自分で決めたキーワードに関するテキストデータを実際に収集する。
  • 11.実践練習②:自分で収集したテキストデータについて分析を行い、トレンドの可視化をする。
  • 12.実践練習③:分析したデータを解釈し、レポート形式にまとめる。
  • 13.先行研究事例を知る②:萌芽的科学技術を対象とした定量テキスト分析を活用した社会科学的分析の実例を基に、分析方法の特性とその背景にある社会科学的な理論枠組みについて習熟する。
  • 14.先行研究事例を知る③:萌芽的科学技術を対象とした定量テキスト分析を活用した社会科学的分析の実例を基に、分析方法の特性とその背景にある社会科学的な理論枠組みについて習熟する。
  • 15. まとめ
○伊藤和行・伊勢田哲治「科学哲学科学史セミナー」(演習)(前期 水4)

〔授業の概要・目的〕
科学史および科学哲学における、基礎的な知識の理解を向上させるとともに、近年の研究動向についての知識を得る。それらを基盤として、卒業論文/修士論文の作成に必要な基礎的な力を養う。また関連する研究会や学会での発表に向けて、日本語および英語での発表の技量を磨くとともに、研究会誌や学会誌への投稿へ向けて執筆に必要な基礎力を養う。
〔授業計画と内容〕
授業に出席する各学生に研究の進行状況を報告してもらい、研究テーマの設定、先行研究についての理解などについて個別に指導を行う。研究会や学会の発表に備えてそのシミュレーションを行ってもらい、各自のプレゼンテーション技法について指導を行う。発表順や具体的な発表課題・内容等については、出席学生と担当教員とで相談をして決める。

○伊藤和行・伊勢田哲治「科学哲学科学史セミナー」(演習)(後期 水4)

〔授業の概要・目的〕
科学史および科学哲学における、基礎的な知識の理解を向上させるとともに、近年の研究動向についての知識を得る。それらを基盤として、卒業論文/修士論文の作成に必要な基礎的な力を養う。また関連する研究会や学会での発表に向けて、日本語および英語での発表の技量を磨くとともに、研究会誌や学会誌への投稿へ向けて執筆に必要な基礎力を養う。
〔授業計画と内容〕
授業に出席する各学生に研究の進行状況を報告してもらい、研究テーマの設定、先行研究についての理解などについて個別に指導を行う。研究会や学会の発表に備えてそのシミュレーションを行ってもらい、各自のプレゼンテーション技法について指導を行う。発表順や具体的な発表課題・内容等については、出席学生と担当教員とで相談をして決める。

○矢田部俊介「論理学演習1」(演習)(前期 火5)

〔授業の概要・目的〕
本授業の最終的な目標は、受講者が論理的で明晰な思考に慣れ、何かを主張する際にはその主張がどのような根拠に基づいているかを明確化し、抜けも漏れもない論証ができるようになることである。そのための練習の題材としては、哲学的論理学、そのなかでも 「論理とは何か」という問題をとりあげる。我々は日常、推論を行い、そして「論理的」という言葉をよく使う。もちろん「論理的」であることが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできる、「論理」と呼ばれうるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。 具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説と問題演習を行う。
〔授業計画と内容〕
最小述語論理は、論理結合子の導入規則と除去規則のみを持つ、基本的な論理体系の一つである。前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。また、後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。
具体的な授業計画は以下の通り。

      • ①論理学とは何をする学問か
      • ②形式言語
      • ③最小命題論理の⇒-導入規則および除去規則
      • ④最小命題論理の∧、∨-導入規則および除去規則
      • ⑤最小命題論理の問題演習
      • ⑥遠回りのない証明
      • ⑦量化子と最小述語論理
      • ⑧最小述語論理の∀-導入規則及び除去規則
      • ⑨最小述語論理の∃-導入規則及び除去規則
      • ⑩最小述語論理の問題演習
      • ⑪形式的な自然数論
      • ⑫原始再帰的関数と”2+2=4″の証明
      • ⑬再帰関数の数値的表現可能性
      • ⑭総合演習
      • ⑮形式的な論理学と言語の哲学
○矢田部俊介「論理学演習2」(演習)(後期 火5)

〔授業の概要・目的〕
我々は日常的に推論を行う。また「論理的」という言葉をよく使う。哲学においてももちろん「論理的」であるこ とが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
また「論理」とはいったい何かという問題は、現代の大きな問題である。というのも、20世 紀以降、古典論理の体系以外にも多くの異なる論理体系が提案されているからである。それらの非古典的な体系が論理と呼ばれるなら、ある体系が「論理」と呼ばれるためには、どんな性質を満たしていることが必要だろうか。
本演習では、最小述語論理の自然演繹の体系の解説から始め、最小論理・直観主義論理・古典論理での論理式の証明とそのモデルを使った議論が出来るようにすることを目的とする。その中で、単なる記号の処理を行なう体系が「論理」と呼ばれるにはどんな性質を満たす必要があるかを考察する。
〔授業計画と内容〕
前半では、前期に紹介した最小述語論理を例にとり、論理結合子の意味とは何かを、「証明論的意味論」と呼ばれる立場から考察する。具体的には、ベルナップの「トンク」の例を題材に、論理結合子の条件とは何かを考え、保存拡大性や証明の正規化といった論理学の基本概念を理解することを目指す。 後半では、最小論理に論理規則を付加し拡張した論理体系を紹介する。つまり、最小論理に矛盾律、 排中律と論理規則を加え、直観主義論理、古典論理の体 系を得る。これらの例により、論理規則が加わるにつれて、論理式の証明は難しくなるものの、そのモデルは簡単になることを示す。また、その考察により、健全性や完全性といった記号とモデルの関係に関する基本概念の理解を目指す。
最後に、論理学の話題として、ゲーデルの不完全性定理等も紹介する。
具体的な授業計画は以下の通り。

    • ①論理結合子の意味とは何か、意味の理論1と意味の理論2
    • ②意味の理論2と論理結合子の条件:プライアーの「トンク」、ベルナップの保存拡大性
    • ③プラヴィッツの「反転原理」
    • ④ダメットと証明の正規化可能性
    • ⑤「ホームズ論法」と矛盾律、直観主義論理
    • ⑥直観主義論理の問題演習
    • ⑦排中律と古典論理
    • ⑧古典論理における証明・問題演習
    • ⑨古典論理と真理表
    • ⑩古典論理と完全性定理
    • ⑪完全性定理の証明
    • ⑫総合演習
    • ⑬(エクストラ課題)ゲーデルの不完全性定理
    • ⑭(エクストラ課題)ゲーデルの不完全性定理の証明
    • ⑮(エクストラ課題)不完全性定理の意義

授業時間割表

※上段は前期を、下段は後期を表す

1限 2限 3限 4限 5限
 

中村 演習
サイエンスコミュニケーション演習

伊藤演習
19世紀前半のイギリスにおける「恐竜」の発見と古生物学の発展

伊藤 演習
ガリレオ『世界系対話』における自然研究

 

 


瀬戸口 演習
客観性と自己の科学思想史

矢田部 演習
論理学演習1

矢田部 演習
論理学演習2

伊藤 講義
科学史I

伊藤 講義
科学史II

伊藤・伊勢田
科哲史セミナーI

伊藤・伊勢田
科哲史セミナーII

 伊藤 特講
ガリレオの運動論

伊藤 特講
近代日本におけるX線撮影装置の開発

伊勢田 特講
科学技術と社旗に関わるクリティカルシンキング

伊勢田 特講
科学哲学入門上級

伊勢田 特講
擬似科学の哲学

伊勢田 演習
歴史科学と科学的実在論

伊勢田 演習
科学哲学の現在の諸課題

 

集中・その他

(前期集中)特講 田中「生物学の哲学」から「生物の哲学」へ」
(前期集中)演習 標葉 定量テキスト解析を用いた社会科学的アプローチ入門-科学社会学的展開の可能性