◆講義◆
宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]
中国哲学における「気」や「理」などの基本的諸概念の持つ意味を理解し、
中国文化に対する考察のみならず、人類の文化全体を考えるときの基礎的な知識として身につける。
宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]
中国哲学史上の重要な書物について、その書物が学問全体においてもつ位置とその内容についての知識を深める。
◆特殊講義◆
宇佐美文理(教授) 中国文献学研究
中国の文献学について理解を深める。とりわけ清朝の文献学者が漢籍をどのように見ていたかを理解する。
黄丕烈の『士礼居蔵書題跋記』を読むと同時に、毎時間、文学研究科所蔵の漢籍を資料として用いながら解説することによって、
「モノ」としての漢籍についての知識と理解を深める。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 治身の自然学(1) 古代・中世[前期]
現代社会において、高齢化が問題視され、「アンチエイジング」という目新しい造語で、加齢による機能低下を改善し、老化を抑制するための医療が唱えられている。しかし、長寿のサイエンスと呼びうる学問的体系はまだ成立していない。老化のメカニズムが十分に解明できていないからである。東アジアの伝統社会において、長寿達成、延年益寿のための取り組みはきわめて盛んであった。長生をめぐる言説は、治身から治国へという国家論からスタートし、宋明理学や清末の政治思想に至るまで、様々な言説を生むとともに、多種多様な技法や医薬が開発された。それらは、東洋的な養生術、健康法として近代以降にも受け継がれ、一部はサブカルチャーとして定着しているが、医薬学研究の枠外に置かれたままであり、そこに発揮されているアイデアが十分に活用されているわけではない。そもそも健康とは多義的なものであり、それを維持しながら充実した人生を全うするには、多元的、複眼的なアプローチが必要である。そのような視座において長寿社会の健康学の実現を構想するならば、伝統医療文化とその周辺に学ぶべき叡智があるように思われる。そこで、治身の自然学の系譜と展開を辿り、そこに発揮された中国的長生思考の特色を探る。前期は、古代、中世を扱う。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 治身の自然学(2) 近世・近代[後期]
現代社会において、高齢化が問題視され、「アンチエイジング」という目新しい造語で、加齢による機能低下を改善し、老化を抑制するための医療が唱えられている。しかし、長寿のサイエンスと呼びうる学問的体系はまだ成立していない。老化のメカニズムが十分に解明できていないからである。東アジアの伝統社会において、長寿達成、延年益寿のための取り組みはきわめて盛んであった。長生をめぐる言説は、治身から治国へという国家論からスタートし、宋明理学や清末の政治思想に至るまで、様々な言説を生むとともに、多種多様な技法や医薬が開発された。それらは、東洋的な養生術、健康法として近代以降にも受け継がれ、一部はサブカルチャーとして定着しているが、医薬学研究の枠外に置かれたままであり、そこに発揮されているアイデアが十分に活用されているわけではない。そもそも健康とは多義的なものであり、それを維持しながら充実した人生を全うするには、多元的、複眼的なアプローチが必要である。そのような視座において長寿社会の健康学の実現を構想するならば、伝統医療文化とその周辺に学ぶべき叡智があるように思われる。そこで、治身の自然学の系譜と展開を辿り、そこに発揮された中国的長生思考の特色を探る。後期は、近世と近代を扱う。
井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍目録法[前期]
漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。
井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍分類法[後期]
四部分類法を理解することを通じて、中国学の基礎構造を把握する。
船山徹(協力講座・人文科学研究所教授) 仏教漢語の解釈法:インドと中国の解釈の相違(1)[前期]
この授業は仏教語と呼ばれる用語のうち,誰もが知っているような基本的語彙を取り上げ,その語を中国仏教史ではどのように理解するかを学ぶ。資料は漢語(漢文)であり,訓読法で読む(現代中国語は使用しない)。中心的に扱う時代は六朝隋唐時代である。中国における解釈がインド仏教における解釈と同じか異なるかをも理解するため,漢語として残るインド仏教資料である漢訳仏典における同じ語の解説も紹介し,その相違から中国仏教の考え方と用語解説の特徴について考察する。読解するテキストは複数の文献に及ぶため,教員が準備し,それを初回以降,何回かに分けて配布する。
船山徹(協力講座・人文科学研究所教授) 仏教漢語の解釈法:インドと中国の解釈の相違(2)[後期]
この授業は仏教語と呼ばれる用語のうち,誰もが知っているような基本的語彙を取り上げ,その語を中国仏教史ではどのように理解するかを学ぶ。資料は漢語(漢文)であり,訓読法で読む(現代中国語は使用しない)。中心的に扱う時代は六朝隋唐時代である。中国における解釈がインド仏教における解釈と同じか異なるかをも理解するため,漢語として残るインド仏教資料である漢訳仏典における同じ語の解説も紹介し,その相違から中国仏教の考え方と用語解説の特徴について考察する。読解するテキストは複数の文献に及ぶため,教員が準備し,それを初回以降,何回かに分けて配布する。前期に学んだことを元に,後期には精読対象とする仏教語を変え,さらに理解を深める。
神塚淑子(名古屋大学 文学研究科 教授) 六朝隋唐道教の諸問題[前期・集中講義]
本講義では、六朝隋唐時代の道教の歴史を概観するとともに、その中で特に注目すべきいくつかの事柄を取り上げて、資料を紹介しながら説明する。道教は儒教・仏教とともに三教と呼ばれ、中国的思惟の一つの重要な部分を構成している。道教は文学・芸術・医学等の諸方面とも深く関わっており、道教の歴史とその思想を知ることは、中国思想文化の特質を知ることにつながる。また、道教の中には仏教から吸収した要素が少なからず含まれており、道教は中国における異文化受容のあり方を見る題材ともなる。
本講義では、これらの諸点に留意しながら話を進めていく。
◆演習◆
宇佐美文理(教授) 『日知録』精読
古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。
そのために顧炎武『日知録』を精読する。
吉本道雅(本研究科東洋史学専修教授) 『春秋左伝正義』
十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。漢文資料を文法的に正確に読解する能力を身につけるとともに、
経学(中国古典注釈学)の基礎的な方法論・春秋時代史の研究資料としての活用法を理解する。
中 純夫(京都府立大学 文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読
朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」 「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」 の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で 検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、 韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。
テキストはソウル大学校奎章閣蔵『朱子言論同異攷』を使用する(プリント配布)。
古勝隆一(協力講座・人文科学研究所准教授) 清代学術著作会読
現代の漢学研究においては多様な方法論が提唱されているが、そのうちの重要なひとつとして、清代学術に淵源を持つ方法がある。清儒の伝統学術研究については多くの研究蓄積があるものの、それら先行研究を咀嚼して清儒の方法に迫るという道以外に、清儒たちの声そのものに耳を傾ける必要がある。この授業では、現代的な視点から、代表的な学者の著作を読むこととする。
単に清朝学術を研究する資料として著作をとらえるのみではなく、それらの読解を通じて、我々現代人が中国古典といかに向き合うべきかという問いを問うこととする。
◆講読◆
宇佐美文理(教授) 蘇東坡文講読
中国古典を読むための基礎知識を身に付け、漢文読解力の習得と向上を目的とする。
最初の数時間は、出典を調べながら漢文を読む作業がどのようなものなのか等について概説をし、
その後、唐宋八家文としても著名な蘇東坡の文章を選読する。