2018年度の授業

◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

◆購読◆

池田恭哉(准教授)『文選』の文章を読む

漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることを目的とする。最初は漢文とその読み方について概説をし、またテキストとなる『文選』について紹介する。その上で、実際の『文選』収録の文章を選読する。なおその際、『文選』に附された李善による注釈もあわせて読む。

◆特殊講義◆

宇佐美文理(教授)中国文献学研究

中国学を学ぶための基礎学である文献学について理解を深める。とりわけ清朝の文献学者が漢籍を
どのように見ていたかを理解する。黄丕烈の『士礼居蔵書題跋記』を読むと同時に、毎時間、文学
研究科所蔵の漢籍を資料として用いながら解説することによって、「モノ」としての漢籍について
の知識と理解を深める。

池田恭哉(准教授)中国家訓研究

中国には数多くの「某某家訓」と銘打たれた文章があるし、また後世の者に遺した言葉も多く伝わ
る。だがそれらに共通する特質は何なのかということは、なお明らかにされていない部分が多い。
本講義では、唐・欧陽詢撰『芸文類聚』巻23・鑑誡に収められる文章の中から、明確に子や家に
伝えようと著されたものを読む。それらの文章が鑑誡の名の下にまとめられていることをヒントに、
家訓の淵源や特質について探究する。また南北朝時代に著された家訓も合わせて読むことで、家訓
が歴代どのような体裁、内容のものとして認識されてきたのかを考察する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)五ー六世紀中国の在家者の理解した仏教思想と仏教史

中国の仏教の歴史は,インド伝来の外来情報を漢訳を通じて受け継ぐ面と,仏教伝来以前から中国
に存在した伝統的学術に基づく面の両面から成る。特に在家仏教の実態を知るにはこの両面を理解
する必要がある。この授業ではいかにも中国的な仏教の特色を示し始める紀元後5世紀頃(南斉と
梁)の南朝貴族仏教を理解するため,その代表的文献である南斉の蕭子良『浄住子』を取り上げ,
その内容を理解することを目指す。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所 教授)易と老子の自然哲学

中国における科学思想の理論的特質や史的展開を総合的に研究しようとするならば、その理論的
基盤を明確にしておく必要がある。理論的基盤を提供したのは、易と老子の自然哲学である。儒家、
道家の経典としての成立過程や注釈史はこれまでの研究で大いに議論されているが、両書が自然探
究の学問や技芸にどのような思考ベクトル、認識パターンを提供したかについては、まだ検討の余
地が残されている。とりわけ、八卦の象数に投影させた数理思想、老子の長生論を発展させた養生
思想には独特の科学的思考がある。それらを理論的根底に据えて数学、天文学、医薬学といった自
然科学分野の理論化がなされ、同時に先秦方術、神仙養生思想から諸占術や養生術、身体技法が生
み出され、科学と易を核とする占術が複合した術数学が形成された。
そこで、中国的自然哲学の構造的把握を目的として、前期は「道(タオ)」「仙」という概念装
置によって思想文化に何がもたらされ、いかなる社会的作用を発揮したについて、多角的な考察を
試みる。
中国的自然哲学の構造的把握を目的として、後期は易卦の数理を構造的に把握し、易文
化の特色について、多角的な考察を試みる。

井上進(名古屋大学人文学研究科 教授)明代における出版動向と学術の変遷研究[前期・集中講義]

明代における学術の変遷を、書物事情、特に出版情況の動向を通じて跡づけ、時代の風気と学術
の関係を考察する。
なお本講義では、単に事柄の推移を概説するというのではなく、そうした推移を表現している文
献史料を紹介し、受講生とともにこれを読み進め、各時期の学術的、文化的風気を理解ないし感得
することをめざす。

◆演習◆

宇佐美文理(教授)国朝文録精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。そのために『国
朝文録』を精読する。授業は、各文章毎に、学生諸氏に訳注を準備してもらい、授業時に参加者全
員で内容等について議論検討する、という形式を取る。出典に確実に当たることを重視し、本文の
文章や語句などすべての典拠、用例について、もとの書物(紙で出来た書物)を調べる作業を重視
する。今年は巻二十一の序跋の部分を読む。

池田恭哉(准教授)孫志祖『読書〈月坐〉録』

清・孫志祖『読書〈月坐〉録』を読む。孫志祖が関心を持ったテーマに対し、様々な角度から考察
した過程を、『読書〈月坐〉録』を精読することで追体験してもらう。多彩なテーマの考証を読む
ことは、古典読解能力を高めるとともに、その考証の手法を学ぶことをも可能にするであろう。

吉本 道雅(本研究科東洋史学専修教授)『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所 准教授 )『荘子』郭象注を読む

『荘子』は道家思想の核心的な文献であるが、同書を理解するために欠かせないのが、西晋の郭象
が書いた注釈である。この授業では、『荘子』郭象注をなるべく厳密に読み解くことを目標とする。
ただ、『荘子』が難解であるのみならず、郭象の注も相当に難解である。テクストに正面から向か
い合い、正確な理解を目指すのはむろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識も
あわせて習得することを目標としている。
前期は、逍遙遊篇を読むこととする。

中純夫(協力講座・京都府立大学文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読

朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」
「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」
の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で
検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、
韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。

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