2020年度の授業

◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

 

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

 

◆講読◆

池田恭哉(准教授)『文選』の文章を読む

漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることを最大の目的とする。最初は漢文とその読み方について概説をし、またテキストとなる『文選』について紹介する。その上で、実際の『文選』収録の文章として、三国魏の曹植による「七啓」を読解する。なおその際、『文選』に附された李善による注釈もあわせて読むことで、漢文読解における注釈の意義について考えてもらう。

 

◆特殊講義◆

池田恭哉(准教授)北朝正史の儒林伝を読む

南北朝時代、中国は南北に分かれ、その学問の在り方も様相を異にした部分が多い。例えば中国思想の根幹を成す儒学、その学問に精通した人物を列挙した儒林伝が正史には設けられるのが通例である。北朝では『魏書』『北斉書』『周書』、さらに『隋書』に設けられるが、南朝の『宋書』『南斉書』には設けられないのである。では如上の状況は、如何なる理由によって生じたのか。そのことを考えるための基礎作業として、本講義では北朝正史の儒林伝を読むことに着手したい。北朝における学問伝承の様子を丹念に、時には南朝の動向をも視野に入れつつたどることで、北朝ではどのような学問を備えることが目指されたのかを、考えていく。また北朝を一括りにせず、隋をも含む各王朝での学問の差異、または継承ということにも留意する。

 

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

 

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

 

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)仏教漢語の語義解釈:梵語的側面と漢語的側面

漢字仏教語(仏教漢語)は中国と日本の仏教思想史の発展を知るための基本である。中国の仏教徒は,サンスクリット語原典を逐一比較することなく,専ら漢語で仏教を理解した。その結果,仏教漢語を理解する際に,インド本来の語義に加え,漢語特有の中国的解釈法を重ね合わせ,一語を二重三重に解釈して,意味や思想に幅を持たせる重層的効果を実現した。
この授業では,漢語に基づく仏教理解が,インド文化から何を継承し,中国でいかなる独自の展開を遂げたかを,基本的仏教語の語義を原文をもとに解明する。このことは仏教という外来文化を理解するための文化的・言語的・学術的背景を知ることにも役立つ。

 

倉本尚徳(協力講座・人文科学研究所 准教授)中国の僧伝を読む:『続高僧伝』講読(一)

中国初唐の道宣が撰した『続高僧伝』は、南北朝期から初唐にかけての中国仏教史を考える際に最も基本となる史料であり、日本仏教にも大きな影響を与えている。この書は、僧伝にかかわる関連史料の網羅的な収集と各地の実地踏査をもとに幾度も増補改訂がなされ、同種の書に例をみない豊富な内容と版本ごとの大きな異なりを有している。
授業では、『続高僧伝』の成立過程・撰者道宣の伝記について概観した後、主要な僧の伝について、研究史を紹介し、複数の版本を比較検討し、同一人物についての他の史料と比較検討しながら読み進める。それによって、仏教史の理解を深め、僧伝の内容にいかに撰者の主観が大きく影響しているかを考えてみたい。

 

内山直樹(千葉大学大学院人文科学研究院 教授)秦漢期の学術[集中講義]

秦漢期は経学をはじめとする中国の伝統学術の基礎が形成された時代であり、そこでは思想上・学説上の変化のみならず、学問伝授の方法や知識社会の構造といった知的環境の転換が同時進行的に生起した。この授業では当時における知識人の活動形態や書物の著述形態に注目することで、そのような総体的転換の一端を垣間見たい。

 

◆演習◆

宇佐美文理(教授)国朝文録精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。そのために『国朝文録』を精読する。授業は、各文章毎に、学生諸氏に訳注を準備してもらい、授業時に参加者全員で内容等について議論検討する、という形式を取る。出典に確実に当たることを重視し、本文の文章や語句などすべての典拠、用例について、もとの書物(紙で出来た書物)を調べる作業を重視する。今年は巻八の論の部分を読む。

 

池田恭哉(准教授)孫志祖『読書〈月坐〉録』

清・孫志祖『読書〈月坐〉録』を読む。孫志祖が関心を持ったテーマに対し、様々な角度から考察した過程を、『読書〈月坐〉録』を精読することで追体験してもらう。多彩なテーマの考証を読むことは、古典読解能力を高めるとともに、その考証の手法を学ぶことをも可能にするであろう。話題は経学を中心としつつ、中国の多様な時代、分野に及ぶので、様々な専攻の学生の出席を望む。

 

吉本 道雅(本研究科東洋史学専修教授)『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。

 

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所 准教授 )『礼記正義』講読

この授業では、儒教文献『礼記』曲礼上を講読する。その経文・鄭玄注・孔穎達正義、そして『経典釈文』(礼記音義)を講読の対象とする。
テクストに正面から向かい合い、正確な理解を目指すのはむろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識もあわせて習得することを目標としている。

 

中純夫(協力講座・京都府立大学文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読

朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。
テキストはソウル大学校奎章閣蔵『朱子言論同異攷』を使用する(プリント配布)。

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