2005年度の授業

2005年度の授業

(本年度学生便覧より抜粋)

◆講義◆

池田秀三(教授)・宇佐美文理(助教授) 中国哲学史概説

中国文化の中核たる哲学・思想の学習・理解を通して、中国さらには東アジア全体の文化に対する認識と洞察を深める。

【講義の概要】

前期は、中国哲学・思想の全体的特質とその思考様式を鳥瞰的に概説し、あわせて中国哲学史の研究方法を、中国古典文献学に重点を置きつつ解説する。後期は、中国哲学史上の主要な思想家および書物を取り上げ、通史的に概説する。本年度は清代の思想を対象とする。

【授業項目】

前期:中国哲学・思想の特質(現実主義、合理主義、人間主義、中庸の尊重、天人合一、知行合一)、儒教の宗教性、中国の思考様式(経験重視の帰紊法、対対論、経と権、修辞学と説得術、経学的思考法、西洋的論理との相違)、中国哲学史の研究法(哲学思想史・政治思想史・倫理思想史・社会思想史・学術史それぞれの立場とその総合)・中国古典(漢文文献)の取り扱い方(中国文献学の初歩的概説)

後期:顧炎武と日知録、黄宗羲と明夷待訪録、乾隆帝と四庫全書の編纂、閻若璩・惠棟と古文尚書、錢大昕・王鳴盛の歴史学、章学誠と文史通義、戴震の孟子字義疏証、段玉裁と説文解字注、王念孫と王引之、公羊学と康有為

◆講読◆

宇佐美文理(助教授) 李善注文選

『文選』を精読する。李善注をあわせ読むこととし、李善注のもとづいた原点を丁寧に調べつつ読み進める。巻五十一の「論《から読み始める。

◆特殊講義◆

池田秀三(教授) 礼学略説

中国の学術・思想を理解するためには、礼学に対する造詣が上可欠である。本講では、黄侃『礼学略説』を精読し、礼学書の文章に習熟することを目指すとともに、礼書・礼學者・礼制等を中心に礼学に関する諸問題を講述する(昨年よりの継続)。なお、演習形式も取り入れるので、受講者は漢文読解の基礎力を修得していることが望ましい。

宇佐美文理(助教授) 目録学研究

中国学の基礎学とされる目録学に関して講述する。最初に、目録の歴史を簡単にたどった後、現在用いられている代表的な四部分類の構造と内容について講述しつつ、その分類のもつ学術史的意味について考察する。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 中国医学の理論構造とその思想的背景

中国医学は、脈診等によって病気を診断し、五臓六腑につながる経穴に針灸を施すことで治療を行うという独特の医療技術を発達させてきたが、当時の思想的な背景を明らかにしながら、その理論構造の特色を探る。本年度は、馬王堆・張家山漢墓から出土した医学書と『黄帝内経』の関係を考察した後に、隋唐期の医学書までの史的展開を概観する。

船山徹(協力講座・人文科学研究所助教授) 漢訳仏典の研究

六朝隋唐期の仏教思想史を、インド仏教史との関わりのもとに、様々な観点から考察する。昨年度に引き続き本年も、仏典の四大漢訳者の一人に数えられる真諦(6世紀後半)の翻訳活動を主に取り上げ、『仏性論』を精読する。仏典訓読の基礎知識の習得を主たる目標とする。

三浦秀一(講師・集中) 明代荘学史研究

明代後半の嘉靖期以降、多数の荘子注が作成・出版された。本講義では、そうした荘子注のなかから、陽明学者である朱得之の『荘子通義』・道士である陸長庚の『南華副墨』・博学をもって知られる焦竑の『荘子翼』といった書物をとりあげて、それぞれの思想内容や注釈相互の影響関係を考察し、あわせて、この時代の思潮全体における荘子諸注の位置を明らかにしてゆきたい。

◆演習◆

池田秀三(教授) 『漢学商兌』

清の朱子学者方東樹の漢学批判書『漢学商兌』を、訓詁と典故に注意しつつ精読する。

文言読解力の向上を図るとともに、漢学と宋学それぞれの主張・論法を通して清代学術のあり方および性格を知る手掛かりを得ることを目的とする。

担当者は必ず訳注等の発表資料を準備すること。また、単位認定は平常点によるので、

受講者は毎回出席のこと。

宇佐美文理(助教授) 日知録集釈

顧炎武の『日知録』を読む。なお、黄汝成の注をあわせ読む。

麥谷邦夫(協力講座・人文科学研究所教授) 道教思想資料

昨年度に引き続き、道教思想にかかわる基本文献のうち、主に『無上秘要』『三洞珠嚢』『道教義枢』『雲笈七籤』などの類書の関連部分を読みながら、あわせて道教教理思想の基本概念について講ずる。

西脇常記(人間・環境学研究科教授) 志磐撰『佛祖統紀』「法運通塞志《

『佛祖統紀』は、南宋の末期に志磐が撰述した天台宗の立場からの仏教歴史書である。その中で「法運通塞志《は、中国社会における仏教の興隆と衰退を記録した通史として、編年体で書かれている。これを読みつつ、儒教、道教と仏教の関係を明らめ、ひいては中国思想の特質を考える。

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