2017年3月14日~18日に、香港城市大学中文及歴史学系において、第五回東アジア人文研究ワークショップが開催され、京都大学文学研究科の中国語学中国文学専修、中国哲学史専修、地理学専修、社会学専修の大学院生10名(および共同研究者1名)、ならびに木津祐子教授、田中和子教授が参加しました。
このワークショップは、2013年より復旦大学と京都大学の合同で行われてきました。初回は京都で開催され、以降は、復旦大学の所在する上海と京都とで交互に開催されてきました。2016年のワークショップに香港城市大学がゲスト参加し、2017年には、同大学がホスト校を担当しました。これにより、正式に三大学合同のワークショップとなりました。
ワークショップには、復旦大学14名、京都大学10名、香港城市大学9名、あわせて33名の博士課程の院生が参加しました。15日と16日の二日間にわたる研究発表は、「古代文学と文化」、「現代文学」、「人文地理」、「地域文化研究」、「芸術と考古」、「古代歴史と思想」、「古今人物研究」、「東アジアの歴史と文化交流」、「言語学と訓詁学」の9セッションに分かれ、各セッション座長も参加学生が担当しました。1発表あたり20分の持ち時間、使用言語は中国語あるいは英語として、発表と討議が行われました。二日目の最後には、ラウンド・テーブル形式で、三大学の教員6名を交えて総括討論が行われました。
17日は「香港の水陸」というテーマで巡検が行われました。香港湾の埠頭に近い海事博物館、香港北部の新界に早くに定住した鄧一族の集落に遺る伝統的建造物群をたどる屏山ヘリテージ・トレイル、対岸の深圳を眺める尖鼻咀などをめぐり、香港が占める独特の地理的な位置とその意味を、歴史的視点からも今日的な視点からも学び、かつ、考えさせる有意義な巡検でした。
18日には、京都大学の参加学生が、「都市発達と交通・観光」、「民間信仰と習俗」、「出版事情」などのテーマを決め、数班に分かれて、事前準備をした上で、現地調査を行いました。このレポートは、2017年3月末に刊行予定の『報告書』に掲載されます。
本ワークショップにおいては、準備段階から現地での活動、報告書のとりまとめにいたるまで、参加学生が「第5回 京都大学-復旦大学-香港城市大学 東アジア人文研究討論会 実行委員会」を組織し、委員全員が協力して担当しました。ワークショップの回数を重ねつつあるなかで、ゲスト側とホスト側の両方を経験することで、学生たち自身がワークショップ運営により積極的に関わるようになってきたこと、三大学の学生同士の交流が継続的でより親密なものになっていることを実感できる、実り多いワークショップでした。
ワークショップの様子は、こちらをご覧ください。
次回2018年のワークショップは、京都大学文学研究科で開催の予定です。
なお、本事業は、平成28年度全学経費(064510)「若手研究者による異文化理解と多言語による学際的研究交流のための事業経費」の資助を受けた。