〔授業の概要・目的〕
科学とは何かという問題を歴史的視点から考察する。前期は古代から17世紀科学革命までを、後期は19世紀後半から20世紀の科学を扱う。
〔授業計画と内容〕
前期は、近代西欧科学が誕生した17世紀科学革命の核心である力学の誕生について古代から17世紀までの天文学と運動論の展開を辿って検討する。
後期は、19後半から20世紀の科学について生物学の革命を中心に論じる。
(二つのトピックは関連し合っているので、完全に独立に論じるわけではない)
〔授業の概要・目的〕
科学哲学は「哲学」という視点から「科学」に切り込む分野である。本講義では、多様化のすすむ科学哲学のさまざまな研究領域を紹介し、受講者が自分の関心に応じて今後掘り下げていけるような「入り口」を提供する。
〔授業計画と内容〕
〔成績評価の方法・基準〕
4回のレポートで評価を行う。2回以上レポートをさぼると不可となるので注意されたい。
〔教科書〕
サミール・オカーシャ 『科学哲学』 (岩波書店)
〔授業の概要・目的〕
本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説から始め、最小論理・直観主義論理・古典論理での論理式の証明とそのモデルを使った議論が出来るようにすることを目的とする。その中で、単なる記号の処理を行なう体系が「論理」と呼ばれるにはどんな性質を満たす必要があるかを考察する。
〔授業計画と内容〕
前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。
また、前期の後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術 Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。
後期の前半では、論理結合子の意味とは何かを、「証明論的意味論」と呼ばれる立場から考察する。具体的には、ベルナップの「トンク」の例を題材に、論理結合子の条件とは何かを考え、保存拡大性や証明の正規化といった論理学の基本概念を理解することを目指す。
後期の後半では、最小論理に論理規則を付加し拡張した論理体系を紹介する。つまり、最小論理に矛盾律、排中律と論理規則を加え、直観主義論理、古典論理の体系を得る。これらの例により、論理規則が加わるにつれて、論理式の証明は難しくなるものの、そのモデルは簡単になることを示す。また、その考察により、健全性や完全性といった記号とモデルの関係に関する基本概念の理解を目指す。
〔教科書〕
毎回ハンドアウトを配布する。
〔参考書等〕
〔関連URL〕
http://d.hatena.ne.jp/kyoto_logic/
〔その他 (授業外学習の指示・オフィスアワー等)〕
体系を理解するためには、まず手を動かして練習問題の証明をやってみよう。~とは何か、と考えるのはそれから。
〔授業の概要・目的〕
落下法則に代表されるガリレオ・ガリレイの運動論は、近代力学、さらには近代自然科学の出発点といわれるが、それゆえに様々な問題を抱えた試みでもあった。講義では、彼の運動論が抱えていた問題点を歴史的文脈において検討する。
〔授業計画と内容〕
ガリレオのテクスト(主として日本語訳、必要によってイタリア語とラテン語)を読解しながら、これまでの研究を参照しつつ、基礎的力学概念(速度、加速度、力)をめぐる彼の数学的運動論の問題点を考察する。また彼の運動理論が、17・18世紀の力学の発展に果たした役割を検討する。
〔授業の概要・目的〕
ガリレオの望遠鏡による天体観測は近代天文学の誕生を告げたのみならず、宇宙観の転換を導いたことで知られる。彼の太陽中心説の主張は宗教裁判を引き起こすが、この事件の検討を通じて彼の科学的活動を考察する。
〔授業計画と内容〕
ガリレオのテクスト(主として日本語訳、必要によってイタリア語とラテン語)を読解しながら、これまでの研究を参照しつつ、以下のトピックについて考察する。
〔授業の概要・目的〕
The demarcation problem is once deemed as one of the central problems in the philosophy of science. Currently the theme is very unfashionable as a theoretical issue, but its practical importance is increasing. This lecture we investigate the issue from various perspectives, including sociological and ethical points of view.
〔授業計画と内容〕
Lectures are delivered both in Japanese and in English. Students are expected to do readings and take part in classroom discussions.
The topics:
〔履修要件〕
Adaptability to the bilingual environment
〔教科書〕
Reading assignments will be distributed in the class.
〔参考書等〕
伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』名古屋大学出版会
〔授業の概要・目的〕
量子力学の哲学は科学哲学の定番のテーマでありながら、必要とされる前提知識が多いために敷居の高い領域となっている。本講義では、アルバートやレッドヘッドらの入門書を利用して、必要最低限のバックグラウンドを身につけながら、量子力学の解釈問題へとアプローチしたい。
〔授業計画と内容〕
アルバートのテキストにそって授業をすすめていく。主な話題は以下のとおり。
〔教科書〕
D. Z. アルバート『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』高橋真理子訳、日本評論社
〔参考書等〕
マイケル・レッドヘッド『不完全性・非局所性・実在主義 量子力学の哲学序説』石垣壽郎訳、みすず書房
〔授業の概要・目的〕
近年急速に発展し続けている生命科学では、動物・植物から微生物まで、多数の生物のゲノム(全ての遺伝情報)が研究され、ヒトにおいても個々人のゲノムが解析できるようになった。その成果は医療だけでなく食品、農業、工業そして一般社会にまで及んでいる。一方、生命科学に関するELSI(倫理的・法的・社会的課題)も増えており、課題に取り組むためには、科学者だけでなく様々な専門家・関係者とともに問題を考える必要がある。本授業では最新の生命科学をトピックに、科学者以外の人々が科学技術をめぐる議論に参加する意義を考察する。
〔授業計画と内容〕
講義で取り上げる主なトピックは以下のものである。
生命科学の研究が営まれている現状及び、その研究成果を紹介する。またそれらが社会に及ぼす影響について講義し、研究の進め方、技術の利用の在り方についての議論を行う。
〔その他 (授業外学習の指示・オフィスアワー等)〕
生命科学に関する興味・関心や予備知識は必用ありません。授業及びレポートでは、新たな知識を得るだけでなく、自分の意見・考えをアウトプットするよう努めて下さい。
〔授業の概要・目的〕
この講義では、コンピューティング史において、システムと人間の関係がどのようにとらえられてきたのかについて考察する。歴史的には、人間はまず人間機械混成系(man-machine system)の一部の要素(human factor)とみなされ、やがて人間による処理への介入(human intervention)の研究を経て、「人間とコンピュータとの共生」概念が提示された後、現在のように、人間はシステムのユーザとみなされるようになっていった。そうした黎明期の概念の変遷を踏まえて、人間とコンピュータの関わりについて考える学問領域(Human Computer Interaction, HCI)の成立と発展の歴史について、当該分野における重要基本文献などを通じて検討する。
〔授業計画と内容〕
授業は基本的には歴史学的方法論で進めるが、必要に応じて、科学技術社会論の論点についても言及する。
授業概要(各項目について1~3回程度の授業を行う)
〔教科書〕
H.コリンズ・T.ピンチ『迷路のなかのテクノロジー』(化学同人、2001年)
適宜、授業内にプリント配布、およびウェブサイトに資料をアップロードなどする。
〔参考書等〕
喜多千草 『インターネットの思想史』(青土社)ISBN:4-7917-6021-2
〔授業の概要・目的〕
進化論をめぐる概念的な問題群の検討を通じ、生物学上の論争の分析・解決に哲学的考察がどこまで貢献しうるかという点について、理解と問題意識を深める。
〔授業計画と内容〕
授業は講義を主体としつつも、随時発言を求めたりディスカッションを取り入れたりする。取り上げるトピックとしては、以下のようなものを考えている。
〔参考書等〕
その他必要に応じて、参考図書・論文等を紹介する。
〔授業の概要・目的〕
集合論、第1階述語論理、圏論の形成されてくる過程の基底的な部分を見ていくことにより、新しい分野の創造に寄与した研究者達の考え方(方法論および哲学)への理解を深めることを目指します。彼等はどのような方法論上の態度を選択したといえるのか、考察します。そのような作業の過程で、上述の三分野の発展(とその応用)が、伝統的な哲学の諸問題を考察するうえで、何らかの手がかりや示唆をあたえるのであれば、それらがどのような解決を志向していると考えられるか、についても検討します。
〔授業計画と内容〕
授業は、大きく三つに分けられる。第一部では、カントール素朴集合論、デーデキントの貢献、公理的集合論の形成過程をとりあげる。構成的宇宙、巨大基数の幾つかに言及し、それらの仮定からえられる帰結・応用について言及する。抽象的実体としての集合の存在はどのような条件のもとで受け入れ可能となるのか、検討する。
第二部では、G.フレーゲ以降の論理学の形成の過程をとりあげる。新しい論理学の創出にあたり、論理学の基礎に横たわる諸問題を彼がどのように切り分けて行ったのか、分析する。ここでは、とりわけ、述語の指示するものがいったいどのような在り方をするのか、関数(function) の在り方を手がかりにしながら、比較・検討を進める。証明可能性と論理的導出関係という概念の定式化において想定されていた方法論における両者の相違を押さえた後で、証明論とモデル理論の方法態度の違いが何処に由来するのか、両者の指向する哲学の相違まで敷衍し考察する。第三部では、全射、単射、半順序、モノイドを例にとり、圏論と集合論による表現の相違を比較する。function の機能、操作といった側面に注目し、集合とどのように在り方が異なるか、探求する。
〔教科書〕
使用しない。講義のなかで導入する諸概念は、できる限り講義のなかで定義し、説明するよう心がける。
〔授業の概要・目的〕
ウォレス(Alfred Russel Wallace, 1823-1913)は、ダーウィンと並び、自然選択説の発見者として知られ、また進化論の重要な擁護者だった。彼の理論をダーウィンのものと比較しつつ検討する。
〔授業計画と内容〕
1.導入として以下のトピックについて概観する。
2.ウォレスが自然選択説を発表した次の論文を読む。
これらは、The Alfred Russel Wallace Page (http://people.wku.edu/charles.smith/index1.htm)よりダウンロード可能である。またこのウェブページには、ウォレスに関する豊富な情報がある。
〔参考書等〕
その他必要に応じて、参考書・論文等を紹介する。
〔授業の概要・目的〕
アインシュタインの日本訪問は大正時代におけるビッグ・イベントだったが、それを可能にしたのは、彼の講演を通訳・解説する能力を備えた日本人物理学者の存在である。アインシュタイン訪日を中心に、それに関わった物理学者らの活動についても考察する。
〔授業計画と内容〕
以下のトピックなどに関して文献を読み、出席者に発表をおこなってもらう。
〔参考書等〕
その他必要に応じて、参考書・論文等を紹介する。
〔授業の概要・目的〕
われわれは数学的な知識は経験科学の知識よりも確実なものだと思っている。しかしそれは何についての知識なのか。数的な対象というものがどこかに存在しているのか、それとも数学的知識もこの世界についての知識なのか。本演習では数学の哲学に関する解説論文を読むことでこの領域についてある程度の見通しを得ることを目的とする。
〔授業計画と内容〕
授業は基本的に一回の授業でテキスト10ページ程度を読み、それについてディスカッションする形ですすめる。学生は一人ないし複数で一回の発表を担当する(担当者は事前に決めておく)。取り上げる話題としては以下のようなものを考えている。
〔教科書〕
Andrew D. Irvine, Philosophy of Mathematics. Elsevier, 2009.
〔授業の概要・目的〕
この演習では、カール・ポパーの『実在論と科学の目的』を読んでいく。特に帰納の問題、実在論の問題、確率の問題について、1950年代のポパーがどのように考えていたかを読み取っていく。
〔授業計画と内容〕
授業は基本的に一回の授業でテキスト20ページ程度を読み、それについてディスカッションする形ですすめる。学生は一人ないし複数で一回の発表を担当する(担当者は事前に決めておく)。取り上げる話題としては以下のようなものを考えている。
〔教科書〕
Karl R. Popper Realism and the Aim of Science. Routledge.
〔授業の概要・目的〕
発表演習。四回生必修。卒論作成に向けて、卒論のプランや途中経過などの研究発表をしてもらいます。
〔授業計画と内容〕
欠席が多い学生には、発表しただけでは単位を与えないことがあるので注意してください。
※上段は前期を、下段は後期を表す
1限 | 2限 | 3限 | 4限 | 5限 | |
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月 | 伊藤 特講 ガリレオの運動論 伊藤 特講 |
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火 | 伊藤 講義 科学史入門 |
伊藤 演習 ウォレス 伊藤 演習 アインシュタイン |
矢田部 基礎演習 I 論理学演習 |
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水 | 伊勢田 特講 科学と疑似科学 伊勢田 特講 量子力学の哲学 |
伊勢田 演習 数学の哲学 伊勢田 演習 ポパー |
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木 | ※前期は 授業なし 喜多 特講
人とコンピュータ |
白井 特講
生命科学と社会 ※後期は 授業なし |
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金 | 伊勢田 講義 科学哲学入門 |
伊藤・伊勢田 科哲史セミナー |
集中