〔授業の概要・目的〕
科学とはどのような営みなのだろうか。このような問いについて、歴史的なアプローチを通じて考えようとするのが科学史という分野である。この講義では、これまで科学史がどのような科学像を提示してきたのか振り返り、現在の科学技術のあり方について考えることを目的とする。前半ではおもに物理学史を専門とする論者をあつかうが、後半では生命科学の論者を取り上げる。
〔授業計画と内容〕
I 科学とは何か:科学史と科学革命(1回)
II 科学史とは何か(4回)
1.パラダイム:クーン
2.ビッグ・サイエンス:プライス
3.実験室化する世界:ハッキング
III.日本の科学史(4回)
1.科学の体制化:武谷三男 vs. 廣重徹
2.反科学論:柴谷篤弘 vs. 坂本賢三
IV.生命の科学史(4回)
1,生命倫理の登場
2.メタ・バイオエシックス
まとめ:科学技術社会における生命(1回)
フィードバック(1回)
〔授業の概要・目的〕
この講義では、現代の科学技術にかかわる諸問題について歴史的な視点から考えていく。とくに注目するのは環境をめぐる科学技術である。歴史の役割は、現在の諸問題への解を与えるのではなく、現在をまったく違う視点から考えられるようになることである。この授業では、長期的なスパンで環境の科学技術史を見ていくことで、自然と人間の関係について考え直すための視座を提供したい。
〔授業計画と内容〕
I 自然と人間の科学技術史(1回)
II 災害と科学技術(7回)
1.病気の科学技術史
2.3.11の科学技術史
3.害虫の科学技術史
4.自動車の科学技術史
III 環境と科学技術(5回)
1.石炭の科学技術史
2.鉄道の科学技術史
3.野生生物の科学技術史
まとめ:科学技術社会における環境(1回)
フィードバック(1回)
〔授業の概要・目的〕
科学哲学は「哲学」という視点から「科学」に切り込む分野である。本講義では、多様化のすすむ科学哲学のさまざまな研究領域を紹介し、受講者が自分の関心に応じて今後掘り下げていけるような「入り口」を提供する。 前期の講義においては、科学とはなにかという問題、科学的推論や科学的説明をめぐる問題を、科学全体に関わるテーマと個別の領域に関わるテーマに分けて論じる。
〔授業計画と内容〕
以下のそれぞれのテーマに2~3週をかけて論じる。
〔授業の概要・目的〕
科学哲学は「哲学」という視点から「科学」に切り込む分野である。本講義では、多様化のすすむ科学哲学のさまざまな研究領域を紹介し、受講者が自分の関心に応じて今後掘り下げていけるような「入り口」を提供する。 後期の授業では科学的実在論や科学の変化、科学と価値などのテーマを順にとりあげ、関連する個別科学におけるテーマも検討する。
〔授業計画と内容〕
以下のそれぞれのテーマに2~3週をかけて論じる。
[授業の概要・目的]
近世日本に伝来した西洋と中国の天文学・宇宙論知識をとりあげ、その理解や利用のあり方を考察することにより、科学史・東西交流史についての理解を深める。後半には、京大が所蔵する関連史料の実地調査に参加し、その整理や取り扱いの方法を学ぶ。
[授業計画と内容]
1.本授業の位置づけ
2・3.近世日本天文学とその史料
4・5.キリシタンと科学伝来
6・7.西学書の舶載と影響
8・9.江戸後期の天文暦学と蘭学
10~14.京大所蔵史料の調査・整理
15.フィードバック
〔授業の概要・目的〕
この授業では、コンピュータをはじめとした多岐にわたる情報処理技術の歴史(コンピューティング史)を概観しながら、そのヒストリオグラフィのありかたについて検討する。理論史・思想史・文化史・ハードウェア史をはじめとしたコンピューティング史への多様な取り組み方について理解を深めつつ、コンピュータをとりまくさまざまな研究分野の重なりや関連性、またその変化、ひろく技術史の研究手法についても考察したい。
〔授業計画と内容〕
以下の項目に従って進める予定である.
授業は以下の計画で進める。講義形式の授業と、授業内で指定した文献に関するディスカッション等を組み合わせながら進める予定である。
ガイダンス
技術史と歴史記述(ヒストリオグラフィ)(2回)
コンピューティングの史的展開を概観する(4回)
コンピューティングの理論と数学史・科学史(2回)
コンピューティングと文化、ジェンダー(2回)
コンピューティングと政治、経済、経営(3回)
まとめ・フィードバック
〔授業の概要・目的〕
この特殊講義においては科学哲学の古典的な論文や基礎的な論文を中心とした講義を通して、科学哲学という分野に入門することをめざします。具体的には、前半ではヘンペル、キッチャー、ファン=フラーセン、ファインらの古典的な論文を核として、その背景についてレクチャーを行います。後半では、近年注目を集める研究領域からいくつかをピックアップし、関連する基礎文献をリーディングとしつつ、背景や現在の諸問題との関わり(特に日本という文脈での含意)についてレクチャーを行います。こうした文献の読解とレクチャーを通して、科学哲学という分野の広がりを知ってもらうことがこの授業のねらいです。
〔授業計画と内容〕
授業は日本語と英語で行われます。
第一部 科学哲学の古典的諸問題
1科学的説明(4週)
2科学的実在論(3週)
第二部 科学哲学のさまざまな基礎的課題
3 統計の哲学 (3週)
4 フェミニスト科学哲学(2週)
5 科学的理解(2週)
まとめ(1週)
〔授業の概要・目的〕
現在、英米の哲学を中心として、哲学の方法論を問い直す動きが盛んである。これまで分析系の哲学で当然のツールとされてきた概念分析や直観の使用が再検討の対象となり、経験科学の知見や手法を哲学の中に取り入れる動きも大きくなっている。この授業では、哲学の方法論の再検討の現状を知り、いかにして哲学するかという問題についてあらためて考えたい。
〔授業計画と内容〕
以下のようなテーマを扱う予定(一項目に1-2週かける)
第一部 歴史的背景
1論理経験主義
2 日常言語アプローチ
3 ウィトゲンシュタインのデフレ主義
4哲学的自然主義
第二部 伝統的方法論の再検討
5 反照的均衡
6 概念分析
7 直観
8 想像可能性
第三部 近年の展開
9 モデリング
10 実験哲学
11 脳神経科学と哲学
12 言語学と哲学の方法論
13 文学・映画の哲学の方法論
14 フェミニズム
15まとめ
〔授業の概要・目的〕
私たちの心は(広い意味で)歴史的かつ社会的な産物である。歴史的な産物であるというのは、私たちの心が生物学的な進化過程の結果であるということに加えて、文化的な進化過程、そして(独特な)発達過程の結果であるという意味である。さらに、これらの過程のいずれにおいても、すぐれて社会的な動物である人類においては、個体間の社会的相互作用が重大な要因としてかかわっている。この授業ではこうした観点から、縦糸としての歴史と横糸としての社会がどのように絡み合って私たちの心を織りなしているのかを、関連する科学分野の知見を参照しながら、丁寧に解きほぐしていく予定である。
〔授業計画と内容〕
1.イントロダクション
2.生物学・心理学の哲学概説
3.社会的な知性とモジュール的な心
4.協力的採食と社会的学習
5.第1回フィードバック
6.社会的学習とその進化
7.現代人的行動の謎とネアンデルタール人絶滅の謎
8.繁殖協力とおばあちゃん仮説
9.狩猟と協力複合体
10.第2回フィードバック
11.コミットメント
12.感情
13.情報共有とコミュニケーション
14.道徳的な心
15.第3回フィードバック
〔授業の概要・目的〕
伊勢田ほか編『科学技術をよく考える』をテキストとして、科学技術と社会の接点で生じるさまざまな問題についてディスカッションを行い、多面的な思考法と、思考の整理術を学んでいく。理系の大学院のカリキュラムでは、科学と社会の関わりについて学ぶ機会はそれほど多く与えられない。他方、東日本大震災後の状況に特に顕著にあらわれているように、科学技術が大きな影響をおよぼす現在の社会において、研究者が自らの研究の社会的含意について考えること、アカデミズムの外の人々と語り合うことの必要性は非常に高まっている。そうした必要性に答えるため、広い視野と適切な思考の技術を持った大学院生を養成することが本授業の目的である。
〔授業計画と内容〕
授業はテーマにそったグループディスカッション、全体ディスカッション、講義、演習の組み合わせで行われる。
テキストは以下の10のテーマから構成されているが、本授業ではそのうち6つをとりあげ、関連する知識やスキルとあわせて各2回程度を使って議論を行う。
・遺伝子組み換え作物 ・脳科学の実用化
・喫煙 ・乳がん検診
・血液型性格判断 ・地球温暖化
・地震予知 ・宇宙科学・技術への公的投資
・動物実験 ・原爆投下の是非を論じること自体の正当性
取り上げる題材は受講者の興味も踏まえて決定する。初回に前半のテーマ3つを決定する。5回目の授業で後半のテーマ3つを決定する。
〔授業の概要・目的〕
進化論の出発点をどこに置くかは議論の余地がある。ここでは仮に『種の起原』の初版が出版された1859年をスタート地点としておこう。そのうえで、ダーウィンによって大きく問題提起された進化論が、日本語文化圏に移入され展開していく過程で、日本語文化圏の諸思想とどのように交絡したか、また、「進化論」自体が日本語文化圏の一思想としてどのような位置と形態を持ったかを考えてゆく。
昨年翻訳出版された、クリントン・ゴダール著、碧海寿広訳の『ダーウィン、仏教、神 ― 近代日本の進化論と宗教』をメインテキストとして精読し、関連の一次資料や二次文献をサブテキストとして使用して、より広く立体的な理解を測るように演習を進めていく予定である。
基本的には、「科学」という自然についての理解や説明が、どのように非自然領域にも影響し浸透するか。「科学」が諸「思想」や諸「宗教」とどのように交差するか、また、日本語文化圏においては、「進化論にどのような特質がみられるか、といったことに関して、一定の了解するための図式を手にすることを演習の目的としたい。
〔授業計画と内容〕
第1回:ガイダンスとイントロダクション(必ず出席ください)
演習担当者が整理した、「科学」「技術」「科学技術」について概説し、さらに「生物学」の出現と意味、また、「進化論」の位置を説明する。そのうえで、演習の進め方を提案し、テキスト担当者を決める。演習参加者の人数が少ない場合は、複数回担当することがあり、また、多い場合(13人以上)は、サブテキストを適宜使用し担当してもらう。
第2回~第14回:『ダーウィン、仏教、神 ― 近代日本の進化論と宗教』を読む
『ダーウィン、仏教、神 ― 近代日本の進化論と宗教』をメインテキストとして精読し、関連する一次資料や二次文献をサブテキストとして検討してゆく。毎回のテキスト担当者は、レジュメを用意してテキストの内容について解説検討批判する。また、論点となる要素を摘出し提示する。その後、参加者で相互に議論/ディスカッションする。
第15回:まとめ
『ダーウィン、仏教、神 ― 近代日本の進化論と宗教』を基軸としつつ、日本語文化圏における進化論の展開拡散についてまとめ、今後考えるべき課題や疑問点問題点を整理する。
〔授業の概要・目的〕
セクソロジーは、19世紀末に出現したが、明確なディスプリンとして確立したかどうかに関して、議論がある分野である。特に日本においては、性科学という訳語があるとはいえ、独立した分野として展開しているとは言えない状況である。しかし、性科学≒セクソロジー由来の概念は、日本語文化圏の中で、使用され、他者や自らを記述し、説明する語彙として重要性があるものも少なくない。
この演習では、そうしたセクソロジーをスタートさせた人物についての批判的研究を精読する。
メインテキストとしては、以下の2冊を考えている。両方、または、どちらか一方を読み進めながら、関連の一次資料や二次文献をサブテキストとして使用して、より広く立体的な理解を測るように演習を進めていく予定である。
基本的には、「科学」という自然についての理解や説明が、他者や主体を記述し、また、把握する語彙や図式としていかに拡散し浸透していくのか、ということに関する、図式を手にすることを演習の目的としたい。
①Harry Oosterhuis, Stepchildren of nature : Krafft-Ebing, psychiatry, and the making of sexual identity. University of Chicago Press, 2000.
②Elena Mancini, Magnus Hirschfeld and the quest for sexual freedom : a history of the first international sexual freedom movement. Palgrave Scholarly Books, 2015(2010).
〔授業計画と内容〕
第1回:ガイダンスとイントロダクション(必ず出席ください)
演習担当者が整理した、「科学」「技術」「科学技術」について概説し、さらに「生物学」の出現と意味、医学の生物学化、および、個体の性の対象化について簡単に説明する。そのうえで、演習の進め方を提案し、テキスト担当者を決める。演習参加者の人数が少ない場合は、複数回担当することがあり、また、多い場合(13人以上)は、サブテキストを適宜使用し担当してもらう。
第2回~第14回:上述のメインテキストのいずれか、または、両者を読む
上述のメインテキストを精読し、関連する一次資料や二次文献をサブテキストとして、セクソロジーや性科学について検討してゆく。毎回のテキスト担当者は、レジュメを用意してテキストの内容について解説検討批判する。また、論点となる要素を摘出し提示する。その後、参加者で相互に議論/ディスカッションする。
第15回:まとめ
〔授業の概要・目的〕
統計学の方法論は現在非常に関心を集める話題となっている。古典統計学における有意性検定が批判の対象となり、対案としてのベイズ統計に注目があつまっている。デボラ・メイヨーは錯誤統計学という独自の科学方法論の立場から、統計学の哲学においても独自の議論を展開している。今回の演習ではメイヨーの近著を手がかりに、メイヨーの考えを理解することを目的とする。
〔授業計画と内容〕
以下のテキストを輪読形式で読み、内容についてディスカッションを行う。
Mayo, D.G. (2018) Statistical Inference as Severe Testing : How to Get Beyond the Statistics Wars. Cambridge University Press.
基本的に一回の授業でテキスト15ページ程度を読み、それについてディスカッションする形ですすめる。学生は一人ないし複数で一回の発表を担当する(担当者は事前に決めておく)。
授業の進行は以下のとおり
イントロダクション(1回)
学生による発表担当(13回)
まとめ(1回)
〔授業の概要・目的〕
時空の哲学は物理学の哲学の伝統的なテーマの一つである。このテーマを本格的に研究するならば一般相対性理論などについての専門的な知識が必要となるが、入門的なテキストからでもある程度この分野の基本的な問題について知ることができる。この授業ではティム・モードリンの教科書を使って時空の哲学の理解を目指す。
〔授業計画と内容〕
以下のテキストを輪読形式で読み、内容についてディスカッションを行う。
Maudlin, T. (2012) Philosophy of Physics: Space and Time. Princeton University Press.
基本的に一回の授業でテキスト15ページ程度を読み、それについてディスカッションする形ですすめる。学生は一人ないし複数で一回の発表を担当する(担当者は事前に決めておく)。
授業の進行は以下のとおり
イントロダクション(1回)
学生による発表担当(13回)
まとめ(1回)
〔授業の概要・目的〕
科学史および科学哲学における、基礎的な知識の理解を向上させるとともに、近年の研究動向についての知識を得る。それらを基盤として、卒業論文/修士論文の作成に必要な基礎的な力を養う。また関連する研究会や学会での発表に向けて、日本語および英語での発表の技量を磨くとともに、研究会誌や学会誌への投稿へ向けて執筆に必要な基礎力を養う。
〔授業計画と内容〕
授業に出席する各学生に研究の進行状況を報告してもらい、研究テーマの設定、先行研究についての理解などについて個別に指導を行う。研究会や学会の発表に備えてそのシミュレーションを行ってもらい、各自のプレゼンテーション技法について指導を行う。発表順や具体的な発表課題・内容等については、出席学生と担当教員とで相談をして決める。
〔授業の概要・目的〕
科学史および科学哲学における、基礎的な知識の理解を向上させるとともに、近年の研究動向についての知識を得る。それらを基盤として、卒業論文/修士論文の作成に必要な基礎的な力を養う。また関連する研究会や学会での発表に向けて、日本語および英語での発表の技量を磨くとともに、研究会誌や学会誌への投稿へ向けて執筆に必要な基礎力を養う。
〔授業計画と内容〕
授業に出席する各学生に研究の進行状況を報告してもらい、研究テーマの設定、先行研究についての理解などについて個別に指導を行う。研究会や学会の発表に備えてそのシミュレーションを行ってもらい、各自のプレゼンテーション技法について指導を行う。発表順や具体的な発表課題・内容等については、出席学生と担当教員とで相談をして決める。
〔授業の概要・目的〕
本授業の最終的な目標は、受講者が論理的で明晰な思考に慣れ、何かを主張する際にはその主張がどのような根拠に基づいているかを明確化し、抜けも漏れもない論証ができるようになることである。そのための練習の題材としては、哲学的論理学、そのなかでも 「論理とは何か」という問題をとりあげる。我々は日常、推論を行い、そして「論理的」という言葉をよく使う。もちろん「論理的」であることが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできる、「論理」と呼ばれうるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。 具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説と問題演習を行う。
〔授業計画と内容〕
最小述語論理は、論理結合子の導入規則と除去規則のみを持つ、基本的な論理体系の一つである。前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。また、後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。
具体的な授業計画は以下の通り。
〔授業の概要・目的〕
我々は日常的に推論を行う。また「論理的」という言葉をよく使う。哲学においてももちろん「論理的」であるこ とが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
また「論理」とはいったい何かという問題は、現代の大きな問題である。というのも、20世 紀以降、古典論理の体系以外にも多くの異なる論理体系が提案されているからである。それらの非古典的な体系が論理と呼ばれるなら、ある体系が「論理」と呼ばれるためには、どんな性質を満たしていることが必要だろうか。
本演習では、最小述語論理の自然演繹の体系の解説から始め、最小論理・直観主義論理・古典論理での論理式の証明とそのモデルを使った議論が出来るようにすることを目的とする。その中で、単なる記号の処理を行なう体系が「論理」と呼ばれるにはどんな性質を満たす必要があるかを考察する。
〔授業計画と内容〕
前半では、前期に紹介した最小述語論理を例にとり、論理結合子の意味とは何かを、「証明論的意味論」と呼ばれる立場から考察する。具体的には、ベルナップの「トンク」の例を題材に、論理結合子の条件とは何かを考え、保存拡大性や証明の正規化といった論理学の基本概念を理解することを目指す。 後半では、最小論理に論理規則を付加し拡張した論理体系を紹介する。つまり、最小論理に矛盾律、 排中律と論理規則を加え、直観主義論理、古典論理の体 系を得る。これらの例により、論理規則が加わるにつれて、論理式の証明は難しくなるものの、そのモデルは簡単になることを示す。また、その考察により、健全性や完全性といった記号とモデルの関係に関する基本概念の理解を目指す。
最後に、論理学の話題として、ゲーデルの不完全性定理等も紹介する。
具体的な授業計画は以下の通り。
※上段は前期を、下段は後期を表す
1限 | 2限 | 3限 | 4限 | 5限 | |
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月 |
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火 | 齋藤演習
日本語文化圏における進化論の移入と展開 齋藤演習 人間個体/個人の「性」(セクシュアリティ)の「科学」的「医学」的記述解析(セクソロジー)の展開を学ぶ |
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矢田部 演習 論理学演習1 矢田部 演習 |
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水 | 瀬戸口 講義
科学史入門I(生命の科学技術史) 瀬戸口 講義 科学史入門II(環境の科学技術史) |
伊勢田 講義
科学哲学入門(上) 伊勢田 講義 科学哲学入門(下) |
伊藤・伊勢田 科哲史セミナーI 伊藤・伊勢田 |
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木 | 平岡 特講
東西宇宙観の出会いと交流 伊勢田 特講 科学技術と社旗に関わるクリティカルシンキング |
杉本 特講 コンピューティング史のヒストリオグラフィを考える
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金 | 伊勢田 特講 科学哲学入門上級 伊勢田 特講 |
伊勢田 演習 メイヨーの統計学の哲学 伊勢田 演習 |
集中・その他
(前期集中)特講 田中 歴史的かつ社会的な産物としての心