研究室紹介

科学とは何だろうか、仮説はいかにして知識となるか、科学はどのように発展してきたか。現代文化の不可欠な一部である科学について、哲学と歴史学の視点からアプローチし、科学の認識論、学説史、そして科学と社会の関わりについても考察をめぐらす。

本研究室は文化行動学科の新設にともなって設置され、1993年4月に講座担当として内井惣七教授(科学哲学・現名誉教授)が倫理学講座から転じて着任した。また、1995年4月には伊藤和行助教授(科学史)が着任した。大学院重点化による組織換えにより、本研究室は現在は現代文化学専攻に所属している。内井教授は2006年3月に定年退職し、伊勢田哲治准教授(科学哲学・現教授)が2008年4月に着任した。2021年7月、伊藤和行教授が在職中に病によって逝去され、2022年10月、伊藤憲二准教授(科学史)が着任した。現在の専任教員は伊勢田教授、伊藤准教授の2名である。

近代科学が成立してすでに4世紀近くになるが、その間科学はいろいろな分野で目覚ましい進展を遂げ、現代文化の重要な一分野を形成するに至っている。本研究室では「科学とは何だろうか」という基本的な問いを哲学と科学史の二つの観点から掘り下げて追究することを目指す。科学的営みの実態を歴史をたどって明らかにするのは科学史の課題であり、科学的知識の成り立ちとあるべき姿を探るのは哲学の課題である。具体的な科学理論においても、基本的なところにさかのぼっていけば哲学的な問題が隠れている。歴史的に有名な科学者たちの思考法も、現代の教科書に書かれていることとはずいぶん違っている。こういったことを調べていくことによって、科学についてのわれわれの理解は一段と深まるはずである。また、科学と技術との区別と関係、科学および技術と社会との関わりを論じることも重要な研究課題の一つである。

授業科目としては、科学哲学および科学史の概論(学部)、科学史の基本的資料を読みこなして分析するための語学的あるいは論理的訓練や科学方法論(学部、大学院)だけでなく、物理学から社会科学にいたる具体的な科学理論にも関わる哲学と科学史の諸問題を扱う特殊講義や演習(学部、大学院)などが提供されている。専任教員で手薄な部分は、他大学から非常勤講師を招いて補っている。

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