京都大学大学院文学研究科21世紀COE 「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」

王権とモニュメント


所蔵資料の整理

山野道三コレクションは、1920年に京都大学法学部を卒業した山野道三氏が各地で採集した瓦コレクションであり、1970年にご令嬢・川田禎子氏が本学考古学研究室に寄贈した。本研究会ではこの資料を整理し、『京都大学所蔵古瓦図録 I 』として刊行した。詳細はそちらをごらんいただきたい。

統一新羅の瓦その2 統一新羅の瓦その1

天沼俊一コレクションは、本学工学部教授(昭和11年退官)であった天沼俊一博士が各地で採集した瓦資料である。古代〜近代の瓦以外に、朝鮮半島・中国の資料が多く含まれている。これに加えて、寺社の解体修理の際に屋根から降ろした完形の瓦がいくつか存在し、発掘では決して得られない資料を提供している。また、朝鮮半島資料も充実しており、特に統一新羅時代の軒瓦が多数を占める。

写真は、いずれも統一新羅時代の資料の一例である。この時期の軒瓦はバリエーションが非常に豊富なため、これまでのところ編年があまり進んでいない。したがって、この資料を整理することで瓦研究に新たな一石を投じると期待される。コレクションの一部は、過去に博士自身が『家蔵瓦譜』としてその一部を紹介しているが、資料の全貌を現代の研究レベルで整理すれば、さらに多くの知見が得られると考えられる。

現在、「王権とモニュメント」研究会では、天沼資料の実測・拓本・写真撮影を継続して行っている。写真と計測データを掲載したデジタル・データ・ベースの作成を行って、この資料を広く公開していくとともに、『京都大学所蔵古瓦図録 II 』として、図録を刊行する予定である。