『京都大学所蔵古瓦図録 I 』山野道三コレクション
- ■第14研究会「王権とモニュメント」編
- ■B5版・並製・88ページ(観察表9ページ含む)
- ■2003年3月23日発行
本書は、京都大学文学部考古学研究室が所蔵する瓦資料、山野道三コレクションの図録である。資料は、1920年に京都大学法学部を卒業した山野道三氏が各地で収集したコレクションであり、1970年に山野氏のご令嬢・川田禎子氏より本学に寄贈された。「王権とモニュメント」研究会では、こうした基礎資料集の作成をメイン・テーマの一つとしており、本書はこの計画の嚆矢となる。
右側が本書の一例である。左ページに資料の実測図と拓本を掲載し、右ページにその写真を並載する形をとっている。実測図の縮尺は、1/3大と報告書等に比して大きめであり、詳細な図面になっている。
全部で300点近い瓦の実測図・拓本・写真を掲載し、巻末には各個体の観察表を付載している。奈良県・大阪府などで採集した瓦が中心となっているが、中には朝鮮半島の資料も含まれている。なかでも、奈良県下採集と考えられる資料群は数もまとまっており、学術的価値は高い。時代は日本ではじめて瓦が用いられてた飛鳥時代のものから、中世にまで及んでいる。ほかにも、瓦当部完形の軒瓦、刻印を持つ平瓦など貴重な資料が多く、本図録の刊行によってこれらの基礎資料の利用が可能となった。公刊の意義は、この点にある。
本研究会では、現在『京都大学所蔵古瓦図録 II 』の刊行を目指し、工学研究科建築学教室所蔵の瓦コレクションである天沼資料を整理中である。
京都大学大学院文学研究科 「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」
王権とモニュメント研究会 ouken-hmn@bun.kyoto-u.ac.jp