現代史学専修 2010年度講義題目

現代史学専修記録講義題目前年 / 次年

※本ページは、本専修の講義内容の概要を示すことを目的に制作されている。このため最新の状況を正確に反映しているとは限らない。「講義題目」「KULASIS」および各種掲示を必ず確認のこと。

基礎現代文化学系共通科目(学部) – 専門I(講読・関連語学・基礎演習II),専門II(講義)

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系共通科目のうち、現代史学専修の単位表の専門Iおよび専門IIの必修科目または選択必修科目のみを掲げる。他の自由選択科目については「学生便覧」を参照のこと。

種別 担当教官 題目 曜時限
講義 永井 和 日本近現代史概説 金2

開国からサンフランシスコ講和・日米安全保障条約締結までの日本の近現代史を概観する。日本の近現代史を、内部にとじたものとしてではなく、常にそれが世界史の一部であることを念頭において、考察する。

基礎演習II 前期 小野澤 透
後期 永井 和
ニ十世紀学・現代史学研究入門 火2

二十世紀学と現代史学研究に関連するテクストを輪読し、現代社会の文化、歴史に関する主要な問題につき理解を深め、あわせて基礎的な研究の方法を学ぶ。

講読I 井上 治 英書講読 前期木3

授業では、ジョサイア・コンドルの The Flowers of Japan and the Art of Floral Arrangement をテキストに用いる。コンドルの論理的な文章の精読を通じて英文読解の力を養うとともに、明治期の西洋人が見た日本文化の姿に触れる。

講読I 溝上 宏美 英書講読 後期木3

バルカン史を専門とする歴史家が、英仏を中心とする西欧史からの見方とは異なる独自の視点で20世紀ヨーロッパ史を描いた、Mark Mazower, Dark Continent: Europe’s Twentieth Century を精読する。学術的に書かれた英語文献読解に必要な基礎力をつけることを目的とする。

講読II 園屋 心和 独書講読 月4

ドイツにおける歴史上の人物や出来事などを記憶史の観点から論じたドイツ版『記憶の座』(E. François / H. Schulze (Hg.), Deutsche Erinnerungsorte, 3 Bde., München 2001)所収の論文を選読し、ドイツ語の読解力の向上を目指す。

講読III 田中 祐理子 仏書講読 火3

フランス語で書かれた論文を精読する。文法的事項を確認しつつ、フランス語の文章を丁寧に読み解く訓練を授業の主眼とする。訳語の選択に関しても細かく議論し、これを通じて研究上のカギ概念についても学んでいく。

講読IV 伊藤 順二 露書講読 木2

ロシア語文献の講読を通じて、ロシア語の一般的読解力を向上させ、同時に19世紀前半頃のロシア語の文体にも習熟させる。

講読V 小野寺 史郎 現代中国の社会問題をめぐる言論状況 火2

現代中国の抱えるさまざまな社会問題を取り上げた中国語の新聞や雑誌、インターネット上の論説・論文などをテキストとして購読する。中国語論説の読解能力を養うとともに、現在の中国における質の高い議論を取り上げ、その内容を検討する。

講読VI 天野 恵 イタリア史概説講読 水4

文学作品ではなく歴史書を講読することにより、イタリア文化研究をめざす学生に要求する知識を提供しながら、様々な専門分野の学術論文をはじめとする知識人向けに書かれたイタリア語文献を読解・理解する能力を育成する。

関連語学 長谷川 信弥 スペイン語中級 火5

スペイン語の初級文法を終えた学生を対象とし、比較的容易なスペイン語のテキストを講読する。新聞記事や小説など様々な種類の文章を読み、読解力の向上を目指す。

関連語学 千田 俊太郎 朝鮮語中級 月5

中級文法の解説のほか、聞き取り・読解・簡単な会話を含む作文練習などを行う。音声あるいは映像資料を使用した聞き取りの練習では、やや長い文章を聞き取ってその要点をかけること、会話においてはよく使用される口語体の表現を習得することを目指す。

  • 履修上の注意

2008年度(平成20年度)以前現代史学専修分属者
1.現代史学専修の学生は,講義4単位,基礎演習II4単位のほか,語学の単位として,講読I~VIと関連語学2科目のなかから,8または6単位を修得することを卒業必須要件とする。なお,基礎演習IIの重複履修は認めない。
2.今年度開講の講読と関連語学で必修単位として認められるのは上記の表にある科目のみである。なお,講読IVは3回生以上でなければ受講できないが,他の講読および関連語学は2回生から受講可。
3.基礎演習IIを2年次に履修しなかった者は,下に掲げる現代史学演習IIの任意の科目で読みかえることができる。

2009年度(平成21年度)以降現代史学専修分属者
1.現代史学専修の学生は,講義4単位,基礎演習II4単位, 基礎現代文化学英書講読4単位のほか,語学の単位として,講読II~VIと関連語学2科目のなかから,2単位を修得することを卒業必須要件とする。なお,基礎演習IIの重複履修は認めない。
2.今年度開講の講読と関連語学で必修単位として認められるのは上記の表にある科目のみである。なお,講読IVは3回生以上でなければ受講できないが,他の講読および関連語学は2回生から受講可。
3.基礎演習IIを2年次に履修しなかった者は,下に掲げる現代史学演習IIの任意の科目で読みかえることができる。

現代史学専修専門科目 – 専門III:特殊講義(学部・大学院共通)

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種別 担当教官 題目 曜時限
特殊講義 小野澤 透 冷戦とアメリカ外交 月4

アメリカ外交文書の具体的な分析に即して、冷戦史の諸問題を考察することにより、アメリカ外交史研究の学説史や方法論を習得する。

特殊講義 高木 博志 近代古都論 水2

帝都東京に対して、古都として「歴史」「伝統」を体現する奈良・京都の歩みを、近代天皇制との関わりにおいて考察する。明治維新期から1945年の敗戦までを見通したい。

特殊講義 水野 直樹 20世紀前半朝鮮における人の移動 水2

20世紀前半の朝鮮半島は、大規模な人の移動、とりわけ朝鮮外への移動を経験した。日本、中国(とくに「満洲」)、シベリアなどへの移住・移民がどのような過程を経て、いかなる要因で起きたのかを考察する。

特殊講義 B. Hayashi 近代アメリカ史 水4

This course will cover the political, diplomatic, social, and cultural historu of the United States, from the Civil War to the present. It is designed to provide you with a workibg knowledge of American history.

特殊講義 森 時彦 中国社会の近代化過程 金2

中国はいまや世界の工場と称される存在となった。本講義では、アヘン戦争以降イギリスをはじめとする欧米諸国が、人類に残された最後のしかも最大の市場としての中国に進出し、工業化社会に組み込んでいったプロセスを検討することを通じて、中国社会近代化の深層を明らかにする。

特殊講義 高木 博志 近代天皇制と奈良・京都 水2

帝都東京に対して、古都として「歴史」「伝統」を体現する奈良・京都の歩みを、近代天皇制とのかかわりにおいて考察する。明治維新期から1945年の敗戦までを見通したい。

特殊講義 渡辺 和行 移民とユダヤ人から見たもうひとつのフランス史 火1

前期は移民と外国人のフランス史を、後期は第二次大戦中のカトリック教会の対応を中心に、反ユダヤ主義の歴史を講述する。移民とユダヤ人を通したフランス近現代史を学ぶことで、国民国家についての理解を深める。

特殊講義 藤目 ゆき 近現代女性史:軍事主義と性暴力 後期水3

近現代日本の公娼制度・買売春制度とそれをとりまく社会動向を考察する。

特殊講義 高橋 秀樹 戦争・ホロコーストの記憶と戦後体制の変遷――ドイツを中心に 後期木5

第二次世界大戦と大量虐殺の記憶が戦後体制の成立とその変遷とともにどのように移り変わっていくのかを、ドイツ現代史を対象に考察することによって、現代における記憶をめぐる問題(国際的教科書問題や性暴力をめぐる歴史認識問題など)を歴史的にとらえることを目指す。

特殊講義 中野 聡 アジアにおけるアメリカ帝国:関係性の現代史学を求めて 集中

アメリカ合衆国とアジア・太平洋地域の近現代における関係性から生まれてきた歴史経験の諸相を、(帝国と戦争)、(アメリカニゼーション)、(人の移動)、(記憶と表象)の4つの角度から整理・考察することを通じて、現代詩学における関係史の方法的可能性を考える。

特殊講義 小関 隆 イギリス史における第一次大戦(その3):アイルランドから考える 水2

2008年度および2009年度に引き続き、イギリス史における第一次大戦の意味を考えることに授業の主眼を置く。今年度の授業では、総力戦を戦おうとするイギリスにとって最も厄介な存在となったアイルランドの動向に注目し、最終的には自由国の成立から内鮮にまで議論をつなげたい。

特殊講義 伊藤 順二 ロシア帝国と第一次大戦 火2

ロシアにおいては、革命とその後の内戦(干渉戦争)のインパクトのために、第一次世界大戦そのものの研究は比較的手薄である。本講義では大戦そのもの、そして大戦を予期させる各種の政策や思想を研究し、ロシア革命も含めた20世紀という時代について考察したい。

特殊講義 佐藤 卓己 メディア文化論 前期月3

比較メディア論を中心に、現代社会のなりたちを世界システムとの関連で考察する。とくに、「メディア論とはメディア史である」という立場から、歴史社会学的な視点を重視する。

特殊講義 大門 正克 民衆の戦争経験・戦後経験 集中

1930-55年に至る激変の時代の歴史的意味を、私自身の聞き取りや多様な資料を用いて、民衆の戦争経験と戦後経験をたどるなかで考える。その際に、時間(戦前・戦時・戦後)と、空間(大日本帝国の膨張・崩壊・東アジアの冷戦)の両面の変化に留意する。

特殊講義 小浜 正子 中国の計画生育政策とリプロダクティブ・ヘルス/ライツ 集中

中国の計画生育政策(いわゆる「一人っ子政策」)の展開過程と女性たちの対応について、档案等の文献史料と口述史料に拠りつつ論じる。現代中国における国家と個人、ジェンダー構造の変化等について考察するとともに、中国社会史・ジェンダー史研究の史料調査と分析の方法を学ぶ。

  • 履修上の注意

現代史学専修の学生は,現代史学特殊講義の中から8単位以上を履修しなければいけない。今年度開講の特殊講義は上記の科目である。

現代史学専修専門科目 – 専門III:学部演習

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種別 担当教官 題目 曜時限
卒論演習 永井 和
小野澤 透
卒業論文作成に向けて (4回生必修) 金4

4年間の大学生活の総決算となる卒業論文の作成を目的に演習をおこなう。受講生は自分が選んだ卒業論文のテーマに即して、研究の目的と問題関心、研究文献と関連資料についての調査結果、先行研究の読破とそれにもとづいた問題点の整理作業、自己の研究の到達点等について授業で報告し、指導教官からアドバイスを受ける。報告は、前期に1回、後期に1回、あわせて2回おこなう。卒業論文を提出する予定の4回生以上の学生は、必ず受講しなければならない。

演習I 永井 和
小野澤 透
現代史学演習I:現代史の諸問題 火3

実際に研究文献や史料を読むことによって、現代史学の研究方法を身につける。前期ではすぐれた歴史家の著作を読み込み、大きなパースペクティブで歴史をみるとはどういうことかを学ぶ。後期では現代史学研究の基礎となる史料の読解と分析の方法を学ぶ。

演習II 石川 禎浩 中国現代史演習 月2

中国現代史に関する文献(瞿秋白「多余的話」など)を精読する。文章に述べられた事柄、出典を細かく調べながら読むことによって、中国現代史・革命についての理解を深める。

演習II 李 昇燁 朝鮮語文献演習 後期水3

「朝鮮人留学生たちの京都」
戦前京都の中学・高校・大学などに学んだ朝鮮人留学生の回顧録・エッセーを選読する。

演習II 杉本 淑彦 世界史デジタル教材(現代の社会と文化)を作る 隔週金3,4

高校生ならびに大学1年次生向けの現代世界史デジタル教材の作成実習を通じて、現代の社会と文化への理解を深めることをめざす。教材に組み込むゲーム・アニメを企画し、さらに制作を部分的に実習する。

演習II 福間 良明 「戦争の記憶」のメディア史(I)~映像資料の分析を中心に 前期隔週金1,2

戦後日本における「戦争の語り」を検証しながら、戦後の戦争観の変容プロセスやその社会的背景について考察する。授業では、研究紹介や戦後思想を適宜扱うほか、映像メディア(映画・ドキュメンタリー等)の分析・批評に重点を置く。

演習II 福間 良明 「戦争の記憶」のメディア史(II)~ポピュラー・カルチャーの分析を中心に 後期月4

戦後日本における「戦争の語り」を検証しながら、戦後の戦争観の変容プロセスやその社会的背景について考察する。授業では、研究紹介や戦後思想を適宜扱うほか、マンガ、ツーリズム、記念館、文学、ジャーナリズム等の分析・批評に重点を置く。

演習II 山登 義明 映像メディア論A 前期月末木金3,4

映像メディアの手法というものをドキュメンタリー番組制作の視点からとらえる。本演習では、企画・取材・編集・発表を実際に体験しながら番組を一本作り上げ、それを通して映像の構造や意味を考察する。

演習II 山登 義明 映像メディア論B 集中

映像は現代の暮らしに大きな影響を与えている。作為であれ不作為であれ映像は操作されて視聴者に届けられる。ドキュメンタリーの過去の作品10余本を取り上げて、作り手の意図、視点を読み解いていく。

演習II 吉村 和真 マンガとマンガ論を〈読む〉 後期金2

いくつかのテーマにそって、特定の漫画作品とその評論・研究を講読するこれを通じ、マンガを〈読む〉〈描く〉〈語る〉ことの関係性について考察するとともに、マンガ言説史の一側面を検証し、今後の漫画研究の可能性と課題を展望する。

演習II 酒井 隆史 都市/空間/表象 後期金5

人間はつねに空間の中に住まい、空間の中で生きてきた。しかし、その経験のあり方や、空間と取り持つイメージは多様である。複数の社会や歴史を見つめつつ、またさまざまな空間や地理、都市についてのテキストを参照にしつつ、考えてみたい。

演習II 小林 剛 英語コミュニケーション演習:メディア文化研究 前期木4

本演習では、メディア文化研究の代表的論文を英語で読解しながら、英語コミュニケーション能力の向上を図るとともに、20世紀のメディア文化史について一定の理解を得ることを目標とする。

演習II Dick Stegewerns 英語コミュニケーション演習:外国の日本人観および日本の自画像・対外観 集中

近現代の日本の自画像と対外観、そして外国の近現代日本観を、本・映画・漫画・CMというメディアを通じて分析する。英語での講義・輪読・発表・議論とレポートによって、総合的英語力を向上させる。

  • 履修上の注意

2003年度(平成15年度)以前に入学した現代史学・現代文化論専修分属者
上記の演習のうち卒業論文演習4単位,現代史学演習I4単位の取得を卒業必須要件とする。

2004年度(平成16年度)以降現代史学専修分属者
上記の演習のうち卒業論文演習4単位,現代史学演習I4単位,現代史学演習Ⅱ4単位の取得を卒業必須要件とする。

現代史学専修専門科目 – 大学院演習

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種別 担当教官 題目 曜時限
演習 永井 和
杉本 淑彦
小野澤 透
大学院演習
(現代史学および二十世紀学専修の大学院生必修)
金5

修士論文および博士論文作成に向けて,(1)テーマの設定、(2)先行研究の評価、(3)議論構築、(4)文献調査、(5)聞き取り調査などについて、受講生に個別指導すると同時に、集団ディスカッションを通じて、現代史に関わる多様な研究テーマに対する学知を深める

演習II 永井 和 倉富勇三郎日記を読む 火5

国立国会図書館所蔵の倉富勇三郎日記を解読し、翻刻テキストを作成する。解読、翻刻にはデジタル化時代の文献・史料研究ツールであるSMART-GSを使用する。

博士論文
指導
永井 和 博士論文指導 水3

学位論文の作成を目指す博士課程の大学院生に対し論文指導をおこなう。

学部共通科目 – 系ゼミナール

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種別 担当教官 題目 曜時限
ゼミナール 冨永 望
鹿 雪瑩
溝上 宏美
佐藤 夏樹
中尾 央
有賀 暢迪
現代文化学への招待(基礎現代文化学系ゼミナールI) 前期木5

現代文化学専攻の博士課程を修了した若手研究者が、現代文化学系を志す後輩たちに、自分たちの最新の研究成果をふまえつつ、現代文化学系の学問についてわかりやすく講義する。

  • 1週目:オリエンテーション
  • 2-3週目:戦後天皇制の出発(冨永)
  • 4-5週目:自民党内親中派と戦後日中関係(鹿)
  • 6-7週目:歴史を通じて移民問題を考える(溝上)
  • 8-9週目:ラテーノ・アイデンティティの形成(佐藤)
  • 10-11週目:18世紀ヨーロッパの科学と文化・思想(有賀)
  • 12-13週目:文化進化論について(中尾)
  • 14週目:まとめ
ゼミナール 田中 泉吏
杉本 舞
井上 治
小林 敦子
川嵜 陽
現代文化学への招待(基礎現代文化学系ゼミナールII) 後期木5

現代文化学専攻の博士課程を修了した若手研究者が、現代文化学系を志す後輩たちに、自分たちの最新の研究成果をふまえつつ、現代文化学系の学問についてわかりやすく講義する。

  • 1週目:オリエンテーション
  • 2-3週目:生物学から世界を眺める―科学哲学への誘い(田中)
  • 4-5週目:コンピューティング入門―「世界最初のコンピュータ」とは?(杉本)
  • 6-7週目:近代日本における芸道思想の展開(井上)
  • 8-9週目:1930年代の思想と文学(小林)
  • 10-11週目:帝国日本と植民地朝鮮―朝鮮にとっての日本、日本にとっての朝鮮(川嵜)
  • 12週目:まとめ