21世紀COEプログラム

多元的世界における寛容性についての研究

京都大学大学院文学研究科
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■研究会リーダー 芦名定道

■研究会メンバー

学内
学外
キリスト教学
キリスト教学
芦名 定道 (文学研究科助教授)
金 文吉(釜山外国語大学教授)
岩野 祐介 (文学研究科博士課程) 金 承哲(金城学院大学人間科学部教授)
堀川 敏寛(文学研究科博士課程)
寺尾 寿芳(南山大学宗教文化研究員)
小原 克博(同志社大学神学部助教授)
社会学
今井尚生(西南学院大学助教授)
松田 素二 (文学研究科教授) 武藤 慎一(大阪府立工業高専助教授)
落合 恵美子 (文学研究科教授) 佐々充昭(立命館大学文学部助教授)
田中 紀行 (文学研究科助教授) 檜垣樹理(足利工業大学共通課程助教授)
竹沢泰子(人文科学研究所助教授) 今滝 憲雄(大阪電気通信大学・近畿大学生物理工学部非常勤講師)
大澤 真幸 (人間環境学研究科助教授) 岩城 聰 (プール学院中学・高等学校チャプレン)
岡 真理 (人間環境学研究科助教授) 近藤 剛(神戸国際大学非常勤講師)
徐 亦猛(関西学院大学大学院神学研究科博士課程)
社会学
宝月 誠 (立命館大学社会学部教授)
飯田 剛史(富山大学経済学部教授)
寺岡 伸悟(奈良女子大学文学部助教授)
佐藤 哲彦(熊本大学文学部助教授)
野村 明宏(四国学院大大学社会学部助教授)
野中 亮(大阪樟蔭女子大学人間科学部助教授)
松浦 雄介(熊本大学文学部助教授)
阿部 利洋(大谷大学文学部専任講師)
坂部 晶子 (島根県立大学総合政策学部助手)
水野 英莉 (岐阜医療科学大学保健科学部看護学科専任講師)

芦名 定道 ASHINA Sadamichi (文学研究科助教授:キリスト教学)

 19世紀以降のキリスト教思想についての思想史的研究、「宗教と科学の関係性」についての研究(17世紀のニュートン主義や進化論とキリスト教思想との関わり、エコロジーの神学など)が主要な研究テーマである。COE研究プロジェクトとの関わりでは、宗教的多元性や宗教間対話に関わる理論的研究(多元性の評価や対話の基盤をめぐる議論)と東アジア(日本、韓国、中国)のキリスト教思想についての実証的研究を進めつつある。

岩野祐介 IWANO Yusuke(文学研究科博士課程:キリスト教学)

関心領域は、日本・アジアのキリスト教思想史。
 自らのあり方を反省的に考えざるを得ないという点で、日本のキリスト教はある意味恵まれているのかもしれません。キリスト教、 あるいは各個キリスト者が現代の日本社会において、何らかの積極的な役割を果たし得るのかどうかということは、キリスト教的な家庭で育った私にとって大きな問題となっています。

堀川 敏寛 HORIKAWA Toshihiro(文学研究科博士課程:キリスト教学)



松田 素二 MATSUDA Motoji(文学研究科教授:社会学)

 主な調査関心は、東アフリカの都市−農村関係を基軸にした、社会編制過程のダイナミズムです。日本においても、熊野地方の農山村をフィールドにした地域調査をつづけています。今年度の研究会では、村的共同性(公共性)と宗教実践をテーマにして取り組む予定です。

落合 恵美子 OCHIAI Emiko(文学研究科教授:社会学)

 家族とジェンダーという相互に関連し合った二つの分野を中心に、歴史社会学および比較社会学的な方法から研究を進めてきた。すなわち、今、ここ、を相対化する視点だが、家族やジェンダーについても、我々が当たり前と思っているあり方は歴史的に不変ではなく、近代という一つの時代に成立したものにすぎないことを論じてきた。寛容性については、プライバシーの変容との関連を考えている。

田中 紀行 TANAKA Noriyuki(文学研究科助教授:社会学)

専攻:社会学史、文化社会学、歴史社会学
 マックス・ヴェーバー、ブルデューなどの学説研究をベースにして、 近現代ドイツと日本のケースを中心に社会的資源としての「教養」や文化エリートとしての知識人に関する歴史社会学的研究を行っている。とくに大学知識人世界の形成と変容、およびこれに関連して、教養に関する規範の変容といったテーマに関心がある。


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金 文吉KIM Moongil (釜山外国語大学校東洋語大学日本語科教授:キリスト教学)

 専攻は日本近代における日韓関係史。特に『近代日本キリスト教と朝鮮――海老名弾正の思想と行動』(1998年 明石書店)と『津田仙と朝鮮――朝鮮キリスト教受容と新農業政策』(2003年 世界思想社)において上記研究をおこなってきた。最近では、朝鮮キリスト教と仏教・儒教の関わりについても研究を進めている。古代から伝来されている朝鮮仏教の土台の上に儒教が受容されている過程と儒教の土台の上にキリスト教がどのように受容されてきたかに焦点を合わせ、朝鮮キリスト教の性格について考察している。朝鮮キリスト教の特性は根本主義(元来、宣教師の宣教方法)神学から福音主義思想を掲げているが、福音主義キリスト教が朝鮮社会においてどのように展開しているかが研究課題である。

金 承哲 KIM SeungChul(金城学院大学人間科学部教授:キリスト教学)

 専門はキリスト教神学(組織神学)で、キリスト教と他宗教との対話に関心を持っています。他宗教との出会いによって形成される神学的パラダイムの可能性について研究しております。

寺尾 寿芳 TERAO Kazuyoshi(南山大学宗教文化研究所研究員:キリスト教学)

 専攻は宗教哲学、諸宗教の神学、比較文明学。
第二ヴァティカン公会議以降の他者に開かれた姿勢をよりいっそう発展させるべく、現代カトリック神学の立場からことにキリスト教と仏教の対話を探っている。最近、比較文明学的な視点を活用すべきだと思いつつあり、同時に「記憶」や「死者の尊厳」という人間学的なテーマにも関心を抱いている。華麗な前衛思想と泥臭い宣教現場をつなぐ「ミッション」たりえれば本望なのだが。

小原 克博 KOHARA Katsuhiro (同志社大学神学部助教授:キリスト教学)

 近代化・世俗化の流れの中で、一神教(ユダヤ教・キリスト教・イスラーム)の寛容理解がどのように変容してきたかに関心を持っている。それぞれの宗教の中には世俗主義に対し「非寛容」であることを美徳とする人々も多数存在している。原理主義的宗教の復興現象は、西欧において形成されてきた「寛容」を、一様に近未来社会のルールとすることができない困難を示唆している。宗教多元社会の今後を占うという意味で、EUの宗教政策にも関心を寄せている。また、日本の論壇で繰り返されている、多神教世界が「寛容」であるという主張に対しては、批判的な検証が必要であると考えている。
 専門は、キリスト教思想、比較宗教倫理学。 現代社会が直面する先端的課題に対し、フェミニズム、生命倫理、エコロジーなど多様な学問領域を切り口にしながら応答を試みている。

今井 尚生 IMAI Naoki (西南学院大学文学部助教授:キリスト教学)

 「寛容」という概念に集約される思想が、思想史的に見てどのような文脈の中で成立してきたのか、どのような構造を有しているものなのかを具体的事例に即して明らかにする。そして、今日における問題状況の中で、「寛容」の思想がどれだけの射程を有しうるのか、またこの思想が実際社会において有効性を発揮するための条件は何かを解明していきたい。

武藤 慎一 MUTO Shinichi(大阪府立工業高専助教授:キリスト教学)

専門は教父学、シリア学、解釈学。東方キリスト教思想を研究している。
本研究会では、「地域文化としてのキリスト教―そのマイノリティーとしての自己意識―」をペルシアの賢者アフラハトの著作を通して考察する。

佐々充昭 MITSUAKI Sassa (立命館大学文学部助教授:キリスト教学)

    

檜垣 樹理 HIGAKII Jullie (足利工業大学共通課程助教授:キリスト教学)

 
今滝 憲雄 IMATAKI Norio(大阪電気通信大学・近畿大学生物理工学部非常勤講師:キリスト教学)

 専攻は宗教哲学(西田哲学と無教会キリスト教との架橋)、教育学(平和、人権教育実践の基礎理論)。
これまでの研究テーマは、内村鑑三の流れを汲む無教会キリスト者、矢内原忠雄(1893−1961)の平和思想について、その信仰と実践との連関性を西田哲学を通じて究明することを試みてきました。その際、矢内原の矛盾的自己(「罪人の首」と同時に、「日本第一の大人」としての自覚を有する)における愛と寛容の思想が、現代社会における未決の問題に、どのように貢献し得るのかといった課題が残されました。よって、本研究会では無教会の信仰と実践の原理の具体化の意義を「ハンセン病」という市民社会における公共的課題(社会復帰や相互交流、相互理解、共生の実現)との関連で究明したいと考えています。

岩城 聰 IWAKI Akira(プール学院中学・高等学校チャプレン:キリスト学)
COE研究テーマ:在日コリアンにおける宗教間対話の状況
 修士過程入学時提出論文では、ティリッヒを中心に諸宗教の神学(宗教間対話)の可能性を論じたが、修士論文では前期〜中期ティリッヒの宗教社会主義論を取り上げた。現在は,ティリッヒに軸足を置きつつ、同時に19〜20世紀の英米神学とその社会思想に視野を広げている。
 冒頭のテーマを取り上げるのは次の理由からである。私自身の活動領域が次第に具体的な宣教や社会活動との接点を広げているため、現代における宣教のあり方、多元社会における共生、人権問題、児童虐待や教育問題など、取り組まなければならない課題が広がってきている。中でも、日本聖公会生野センターの活動にも関与していることから、在日コリアンの人権問題や日本人社会との共生という問題は、中心的な関心に上りつつある。今回の研究においては、在日コリアンの宗教的状況から調査研究を開始し、その中での宗教間対話、特にキリスト教と諸宗教の関係を探っていきたい。また、韓国との相違点はどこから生まれているのかも重大な関心事となっている。


近藤 剛 KONDO Go (神戸国際大学非常勤講師:キリスト教学)

 専門領域は組織神学・宗教哲学で、特に現代プロテスタント神学を代表するパウル・ティリッヒの神学思想を研究している。そうした理論的研究を踏まえて、宗教間対話にも実践的に取り組んでいる。本プロジェクトでは「宗教的寛容性」の成立と発展に関して、思想史的な観点から(近代ヨーロッパを中心に)考察を進めたい。詳細に関してはhttp://www.bun.kyoto-u.ac.jp/christ/kondou.htmlを参照されたい。

徐亦猛 XU Yi Meng(関西学院大学大学院神学研究科博士課程:キリスト教学)

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宝月 誠 HOGETSU Makoto(立命館大学産業社会学部教授:社会学)

現在の関心は、犯罪・逸脱といった社会事象を構築し統制する過程総体をとりあつかう社会的コントロールの諸相にあります。具体的な社会事象から出発して、人間の生の営みの深部を明らかにするという立場から、この研究会にも関わりたいと考えています。

飯田 剛史IIDA Takahumi (富山大学経済学部教授:社会学)

・在日コリアンの宗教と社会
・北米における日・韓移民の社会と文化
・社会学理論研究(デュルケーム社会学、自己組織性論)

寺岡 伸悟TERAOKA Shingo (奈良女子大学文学部助教授:社会学)

専攻:エスニシティ論、地域社会学。
 民族をその文化内容から本質主義的に捉えていくのではなく、あくまでも現代的社会現象として表象次元に留意しつつ捉えていく視角でエスニシティ論を専攻してきた。その一方で、中山間地域の地域社会学の研究にも取り組んでいるが、ここでも生起する現象の表象次元に着目しつつ、そこに生きることの意味を考えるというアプローチによって研究を進めている。また、以上のようなフィールドの異なるふたつの研究領域において、共通の切り口を私に教えてくれたものとしてシカゴ社会学への学史的関心も継続してもっている。

佐藤 哲彦 SATO Akihiko (熊本大学文学部助教授:社会学)

専攻:犯罪社会学・医療社会学・薬物政策史研究。
研究テーマ:ドラッグ使用をめぐる寛容性の社会的組織化。
 現代社会において最も禁忌される行為の一つである「ドラッグ使用」をめぐって、それがどのような状況下において寛容性の対象となりうるのか、そこで達成される寛容性はどのように組織されるのかを、具体的で量的に有限な当の政策、その決定過程、その政策に関する議論の過程、などを事例として分析することで明らかにし、これによって寛容性という現象が社会的に組織される様相を明らかにする。

野村 明宏 NOMURA Akihiro (四国学院大学社会学部助教授:社会学)

 グローバリゼーションや情報化の進展において変容するポストモダニティについて、文化研究やメディア研究の視座から検討をおこなうのが現在の主要な研究テーマである。本研究会では、近代主義的な主体概念に対する批判的検討を通じて、諸個人に内在する「多元性」や「触発性」に基づく日常的実践が、重層的にネットワーク化された現代社会による流動的な調整と管理との関係において、いかなる社会的意味と効果を備えているのかについて考えていきたい。なお、ケーススタディとしてボランティア活動などの公私の交錯や主客の転倒する場における暫定的な倫理や寛容性についての実証的研究も行なう予定である。

野中 亮 NONAKA Ryo (大阪樟蔭女子大学人間科学部専任講師:社会学)

専攻:宗教社会学、理論社会学。
 理論研究と平行して、「オウム真理教と地域社会」をテーマとした実証研究をおこなっている。事件の重大性からすれば、オウム問題についての社会学的研究 は意外なほど層が薄く、しかもそのほとんどが宗教論、ユース/サブカルチャー論、逸脱論などの文脈での研究である。当研究会では、地域社会論の観点から、寛容性/非寛容性というキーワードに沿ってこの問題を考察する。

松浦 雄介 MATSUURA Yusuke (熊本大学文学部助教授:社会学)

専攻:理論社会学、文化社会学。とくに記憶の社会学的研究。自己やアイデンティティを規定するものとしての記憶が、現代社会の中でどのように変容しつつあるのかを、一方で文学、ライフ・ヒストリー、精神分析などのミクロな日常生活の領域で、他方でグローバル化やナショナリズム、多文化主義などのマクロな現代世界の領域で研究し、これら二つの領域を接合する理論的パースペクティヴについて考察する。

阿部 利洋 ABE Toshihiro(大谷大学文学部専任講師:社会学)

専攻:宗教社会学、エスニシティ論、アフリカ地域研究。紛争後の多元社会において、どのように/どのような規範の再構築がはかられるのかという問題関心にもとづいた社会学的研究を行ってきた。とくにアパルトヘイト期以降の南アフリカ社会を分析対象とする。現在は和解というテーマに関する宗教的諸要素のはたらきやその独自のあり方について考察をすすめている。


坂部 晶子 SAKABE Shoko (島根県立大学総合政策学部助手:社会学)

専攻:文化社会学、植民地社会論。
 理論的には相互作用過程における主体形成過程に関心をもつ。具体的フィールドとしては、「満洲国」期における植民者、被植民者の植民地経験の諸相について、当時についての記憶、植民地期以降の語り等をとおして、植民地の生活世界の再現していく作業を試みている。この作業から、植民地構造下における植民者、被植民者それぞれの主体形成についての分析をめざしている。

水野 英莉 MIZUNO Eri (岐阜医療科学大学保健科学部看護学科専任講師:社会学)

研究テーマ:ホスト・ゲスト関係でみる地域文化の寛容性―― 観光とスポーツの観光人類学的考察。
 世界資本主義化の進展において変容するコミュニティおよび地域文化について、観光人類学的視点から検討するのが主要な研究テーマである。本研究会では、血縁や地縁でつながった人々からなる旧来型のコミュニティではなく、観光やスポーツを媒介として集まるさまざまな人々からなるコミュニティがどのように形成され、人々の相互依存、回避・排除、または受容という関係性がどのように展開しているのかを実証的に研究する。事例として、サーフィン文化の中心地であるアメリカ西海岸のコミュニティへの調査を継続中である。




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21世紀COEプログラム
京都大学大学院文学研究科
「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」
「多元的世界における寛容性についての研究」研究会

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