21世紀COEプログラム

多元的世界における寛容性についての研究

京都大学大学院文学研究科
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研究会の趣旨

 現代世界におけるグローバル化の進展は、アメリカの政治軍事力を背景にして、アメリカ的価値観をスタンダードとする文化的運動を引き起こしている。そのなかで地域固有の「ローカル文化」と世界的規模をもつ「普遍文化」との表面上の相克は激化しているように見える。人種、民族、性、宗教といったカテゴリーが歴史的につくりあげてきた人間集団の実体化と相互対立が、21世紀の現代世界の一つの特質となっている。また国民国家の成立によって均質化されたはずの国民社会内部においても、その支配的規範から逸脱してみずからをマイノリティとして積極的に差異化していく下位集団が続出している。

 本研究は、こうした異なった価値意識や社会規範、行動規則などをもつカテゴリーに属する人々同士が、日常的実践のなかでいかに、世界観を競合させながら折り合いをつけていくかという社会過程に注目する。そして寛容性をキーワードにして、異なったシステムとそれにもとづく実践が、現実社会のなかでいかにして再編成され社会秩序を生成していくかについて、実証的な研究を行っていく予定である。

 具体的には、現代日本社会内部で逸脱者と見なされる人々に対するマジョリティの側の対応の仕方を調査して、社会の寛容性の度合いを実証的に分析する共同調査や、世界宗教としてのキリスト教が、欧米を中心とする近代化の文化要素として韓国やアフリカ社会に浸透して行く過程で、先行して定着していた諸要素とのあいだでどのような軋轢を生み、それがどのように再編成されていったのかについて解明しようとする共同調査などが計画されている。



21世紀COEプログラム
京都大学大学院文学研究科
「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」
「多元的世界における寛容性についての研究」研究会

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