Newsletter No.6
2004/03/31
日 時:2004年3月6日(土)
岩 城 聰(本研究科博士後期課程/キリスト教学)
【要旨】
COE研究プロジェクト『多元的社会における寛容性についての研究』の一環として、2003年8月2日から7日にかけて韓国のソウルとプサンを訪問し、聞き取り調査を実施した。これは当初、日本と韓国のキリスト者の歴史的な相互関係、とくにその接触のあり方をたどることによって、日本社会におけるキリスト教の寛容性、つまり異文化や異民族に対してどの程度寛容を示しうるのかについての手がかりをえることができるのではないか、という発想から出発した研究であった。
そのために、フィールドワークとしては2つの面から課題を設定した。一つは戦中・戦後の日本における在日韓国・朝鮮人キリスト者と日本人キリスト者の関係であり、これは日本国内での在日韓国・朝鮮人キリスト者とその教会活動を調査対象として聞き取り調査を行なう予定である。強制労働その他の事情で日本に移住した朝鮮人、中でもキリスト教信仰を持つ者を日本人キリスト者がどのように受容したかという問題は、日本のキリスト教にとってきわめて重要な問題である。もう一つの現地調査が、韓国キリスト者に対する今回の聞き取り調査であった。本調査は全く初歩的なもので、今後継続して行われる一連の調査の端緒として位置づけられる。実際に面接できた人数も限られたものであり、したがって得られた証言も限られた地方での限られた経験を反映しているにすぎないと言えるからである。しかし、日韓キリスト教史に関する先行研究等を参照しつつ、初歩的なまとめをしておくことは必要であろう