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国際シンポジウム「歴史学の現在を問う」

国際シンポジウム「歴史学の現在を問う」

去る2002年11月30日(土)10:30〜17:00、文学研究科新館第3講義室において、文学研究科国際シンポジウム『歴史学の現在を問う』が開催された。

本シンポジウムは、以文会の協賛で毎年開催していた「文学研究科公開シンポジウム」を拡大し、6月15日開催の国際フォーラム「京都から世界へ─知の次なる一歩─」、12月2日開催の『「自然」という文化の射程』とともに、本年度の文学研究科国際シンポジウムの一環をなすものである。なお、本研究科の公開シンポジウムとしては第7回目となる。

本シンポジウムは、以下の主旨で計画された。

1980年代を中心に大きな曲がり角に立った歴史学は、各分野において新たな多くの研究成果を生み出した。それは国境を越えた共同発掘、従来は史料とみなされなかった素材の積極的な活用、同じ史料を扱う際にもそれを生み出した意識にまで切り込む深い洞察力、歴史像を構築するための方法論の変革など、幾多の試行錯誤をともなうものであった。

今回のシンポジウムは、考古学、東洋史学、現代史学、西洋史学における最新の研究成果を紹介し、関連する他分野からのコメントを通じて、歴史学の現在を問い、21世紀の歴史学構築のための地平を切り開くことを目的とする。

当日、午前中には、カリフォルニア大学ロサンジェルス校教授で本研究科客員教授のロータール・フォン・ファルケンハウゼン氏の御講演を賜った。演題は「現代考古学による中国古代史再考」で、近年、中国で行われている国際共同調査の成果とその意義の紹介がなされた。その調査の中には、氏御自身が主導している製塩遺跡調査なども含まれている。とくに科学的手法を駆使した新成果には眼を見張るものがある一方で、国際協調の難しさにもふれ、若い世代を中心とした国際共同調査の重要性を強調、推奨されたのが印象的であった。

昼の以文会総会、理事会をはさんで、午後は、以下の3つの報告と、それに対するコメントがなされた。

報告1夫馬 進「朝鮮燕行使と朝鮮通信使」→要旨
コメンテーター:藤井 讓治(本研究科教授、日本史学)→コメント
報告2永井 和「万機親裁体制の成立 −明治天皇はいつから近代の天皇となったのか−」 →要旨
コメンテーター:吉川 真司(本研究科助教授、日本史学)→コメント
報告3谷川 稔「究極のナショナル・ヒストリー? −ピエール・ノラと「記憶の場」−」→要旨
コメンテーター:杉本 淑彦(本研究科教授、二十世紀学)→コメント

いずれの報告も、ごく最近に公表された論文や著作、あるいは現在、推敲中の最新の研究成果であり、その成果に深く関わる他分野の立場からの、緊迫感にみちた鋭いコメントで、非常に中身の濃いシンポジウムとなった。当日の参加人数は163名。

[→報告1]